最近発売されたランパントのシックスシューターです。福岡のMGC に5個くらい入荷したものですが、ランパントのホームページには、まだ予約受付中になっています。
このモデルはいわく因縁付きで、もともとAタイプ、Bタイプ用に作ったフレームの品質に満足がいかなかった為に泣く泣くボツにした500個のフレームの転用だということです。
外観はタイプAと同じなので素晴らしい形をしています。
色は微妙な色です。よくこれでsmG検査が通ったなぁという感じで、金色とも銀色ともとれる色合いで 「これは黄色ですか、白ですか」と言われると、うーーん困りますね。
「グレーです」と答えましょうか。
塗装面の一部に、すこしの浮き部分がありますが全体にきれいに仕上がっています。
後述しますがこの塗装膜は大変に硬いのでボルトの落下傷ができにくいです。
写真にシリンダーの手打ちとみられる刻印が見えます。全部の製品が同じナンバーです。
エジェクターの頭は、オールドタイプで丸くなっています。
ベースピン取付け部周りのフレーム形状は、素晴らしく実物と同じ形をしています。
下の図のように、実物は、横方向の加工をあとから刃物でえぐっているので形状変化点が出来ているのですが 今までのモデルガンでは、ここの部分はほぼ円で処理していました。
この微妙な曲線が再現されていることに驚きました。
ホビーフィックスの亜鉛製金属ガバメントを見た時以来の感動でした。
最高の形状のランパントがお安く購入できるので、塗装モデルとはいえお買い得だと思います。
また、メッキ品は指紋が付いたり、傷が目立ったりしますが、塗装モデルは全然目立ちませんので 触って遊ぶには向いていると思います。
チラシより
このチラシには10月1日予約開始、限定450挺 とあります。実物と同じエッチングという方法で施されたというシックスシューターの刻印です。
この長円で囲まれた刻印を再現したものは日本初です。
これは実物の写真ですが、すり減っていてはっきりとは見えませんね。
刻 印
このモデルには、刻印があちこちに打たれています。
トリガーガードにある44CFが、44口径センターファイア弾を使用する意味です。
軍用は45コルト弾ですが、44−40を使うシックスシューターは、ウインチェスターライフルと 同じ弾が使用できるので人気があり普及したそうです。
ゲートやハンマー打撃部分にも刻印が施されています。バレルの下側にも44口径の刻印が あります。廉価版モデルなのに手を抜くことなく打たれた刻印に感激です。
トリガーガードを取り外すとフレーム内の会社名の刻印が現れます。
なんだか金型にシールをペタッと張ったような感じです。あきらかに下写真のタイプBとは違う鋳造です。 B型はメッキ工程が終わってレーザーでランパントの刻印を彫っています。鋳造した後はまっ平らだったはずです。
うん??、ということはこの塗装フレームは、不良メッキ品をボツにした物ではなくって、塗装モデル用に新たに鋳造されたものかな??まぁ、どちらでも構いませんが。
グリップ
プラスチック製のグリップは最高の出来栄えです。
写真左側はセカンドジェネレーションと思われるコルト社の実物グリップですが、ランパントの方が 出来が良いくらいです。
ちなみにグリップ用のネジはインチで切っているらしく、コルト純正と互換があります。
他のネジもそうなのかもしれませんが、確かめようがありません。
ただ一つ残念なのは、この時代のオールドコルトには細身のグリップが装着されていたと思われるのですが ランパントのグリップはセカンドジェネレーション以降の太いグリップをコピーしていることです。 まぁ、廉価版なので仕方ありませんが・・・。
胴を絞ったオールドグリップは、かつてのMGCとCMC68初期モデルに見ることができます。
写真の細グリップはCMC68の初期のタイプをランパント・タイプBに装着したものです。
CMC68のグリップは後期にはセカンドジェネレーション・タイプの太いものに変わりました。
メ カ
メカはメッキ品モデルと全く同じでクオリティの高いものです。
ボルトも鋼材製です。ロストワックス工法でしょうか。
バラしていませんが、シリンダーにはブッシュも入っています。
全周キズ
店頭でテープを剥ぎ、いじっていましたら、当初はキズがひとつも無かったシリンダーに全周キズが入ることが 判りました。これは、ハーフコックの時にボルトが落ちてシリンダーに傷が入ってしまったものです。 ハンマーをハーフコック位置から少しでも後ろに倒そうものならボルトがカムから落ちてシリンダーに接地 してしまい、傷が入ります。また、当初の調整では写真の位置にボルトが着地していました。 しかし焼き付け塗装の表面が強いためにボルト着地地点の傷はシリンダーには入りません。
このあとボルト調整しましたら、ハーフコックの問題も解決しました。
ボルト調整
下のハンマー、ボルトの写真は、購入時からバッチリのタイミングになっていたランパント・タイプBのものです。タイミングの悪い塗装モデルとの比較で並べてみましたが、なんら変わったところはありません。
しかし、こうやって並べてみますとカムにかかる羽根の部分の勾配が違うことがわかります。 タイミングが良い方が寝ています。
そこでボルトを左手に持ち、羽根部分をペンチで挟んで右に曲げました。
ペンチに力を掛けると、すこし曲がったかな?と思う感触が左手にかかります。
そこでやめて一度セットして確かめます。私の場合、曲げすぎてカムより低くなりましたので 再びペンチで、今度は逆に起しました。鋼製のボルトは、案外柔らかくて調整がしやすいです。
CMCのプレス品よりも調整が楽だと感じました。
ボルトタイミングが良くなったら、ハーフコックでのカムからの落下も無くなり全周キズも 入らなくなりました。ついでなので、カムとは関係ない方の羽根をすこし外側に曲げて、ボルト自体がカム側にテンションがかかるようにしました。
カート
この塗装モデルには、カートが付属していません。そこでマルべりのカートをMGC店長が入れてみましたが 1mmほど入りませんでした。ランパントは実物カートが使えないようにインサートの位置を工夫しているようで、44−40、45コルト共に入れることは出来ませんでした。
写真右端がランパント・タイプBのカートですが、1mmほど実物よりも短いのが判ります。 したがってマルべりのカートを使うのなら弾頭を外して1mmほど全長を削らないといけません。
紙 箱
廉価版らしく紙箱も普通のもので詳しいSAA解説書も付属していません。
良いことではないでしょうか?ごく普通のお値段で高品質なモデルが手に入るのですから 省けるところはどんどん省いていいと思います。
おわりに
メッキ品モデルの発売時には期待感があまりに大きかったので、製品への苦言しか生まれてきませんでしたがこちらの塗装モデルは、もともとあまり期待していなかったので、すばらしい出来映えに感激でした。
人間っていい加減なものです。ほぼ同じ製品なのにね。
このモデルガンは、ひょっとしたら量産金属モデルガンのラストランナーになるかもしれません。 この世界的な不景気の中、モデルガン業界も苦戦していることは間違いありません。 各社意欲的なモデルも発売されていますが、金属モデルガンは登場してきません。 1960年から始まった金属モデルガンの歴史もいよいよ幕が下りようとしています。 量産品として、金属モデルガンの歴史の最後を飾るのにふさわしい最高の出来の ランパント・シックスシューターの紹介でした。