写真x 2021年11月の時点で金属ハンドガン量産品の最後のモデルガンです。
1960年ごろから始まった金属モデルガンの歴史は、いよいよ最終段階に到達しています。 まるでその当時を生きてきた団塊の世代の先輩方の人生そのもののようです。

たびたびの法規制によりプラスチックモデルガンが台頭し、1980年代半ばからは、BB弾を発射するソフト・エアガンの隆盛により 金属モデルガンは、量産生産されなくなり、現在ではホビーフィックス社が少量生産する高価カスタム製品のみとなっています。


外 観

写真03 タナカの14年式は、モデルガン部門を廃業したハドソン産の金型を改修して生産されています。 作動性能が良くなっていますので金型にも若干手が入れられているのではないかと思います。

かつてのハドソンさんの物はここにHUDSON と刻印がありました。


写真04 写真05

写真06 写真07

ハドソンさんのN3 は、良い仕上げのモデルでしたが、タナカさんの物はより以上に素晴らしい仕上げです。 チカラ入っています。


刻印

写真21

こんなところにもしっかりと刻印が入っています。実銃のようでうれしいところです。


N1型と比較

写真08 写真09

ハドソンのN1 より少し大きく感じます。また、ボルト後端のコッキングピースも大きくなっています。

ハドソンさんは、N1 以降のモデルアップした N2,N3 とは、バレルフレームを分割式にして作りやすくしています。 タナカも同様になっています。逆にいえば、実物のフレームは、そうとうに生産しにくい形状だったと思われます。


写真14

N1 の14年式と違って、バレルフレームが分割式になっている事が分かります。 そういえば、N1 の時には、ロッキングブロックもありませんでしたので、その後の進化は 素晴らしいものがあります。


登 場

写真03 いったい、いつ頃発売されたものか全然覚えていなかったので、もしかしてと思い
ニューMGC 福岡店 https://www.newmgc.com/  さんの 写真を調べさせていただいたら、2012年の10月11日に撮影されていました。
ニューMGC さんは、ちゃんと入荷した品物そのものの写真を独自に撮影していますので、今回は参考になりました。 地道な誠意ある活動に感謝です。
写真03 裏付けに、やはり地道にブログを更新していらっしゃる旧マルゴーである
Take Five さん https://ameyoko05.exblog.jp/  の同日付近のブログを調べさせてもらったら2012年10月10日にカートとマガジンを販売しています。これは、おそらく本体の入荷が ごく少数で、すぐに売り切れてしまったせいではないかと思います。 1か月後の11月15日に本体の販売が記述されています。再入荷でしょう。

と、いうことでタナカの14年式は、2012年10月に発売になったことは間違いありません。 ついこの間のように感じますが、もう9年も経っているのですね、驚きです。


カタログ

写真02 初期ロットが生産されてから再販には至っていないようですが、2021年の今でもタナカさんのWEB カタログには 掲載されています。税抜きでは¥48,500−です、価格は、2012年にデビューしてから変わってはいないようです。


発火動画

しょうのモデルガン保管庫 http://smglocker.com/ さんのページに発火動画が貼ってありました。 また、そのページにはタナカワークスさんの製作予告動画も貼ってありました。参考になります。有難うございます。
youtube では、下記で見られます。

https://www.youtube.com/watch?v=qKoOklXoIos

2012/05/21 の日付で投稿されていますので発売の約半年前ですね。
ビデオでは、快調に動いていて明日にでも発売されそうですが、このあと5か月もかかるのですね。 品物を作って売るということは大変なのだなぁと感じさせます。


メ カ

写真20 エキストラクタとエジェクタ以外は、分解してみました。右の実物写真と同じように並べてみました。 実物の右上にあるパーツは何でしょう?エジェクターではないかと思いますが、実物ではエジェクターは カシメられていますので外せません。また、マガジン押さえのバネもカシメられていると思いますが 右の分解写真では、外されていますね、これでは分解ではなくって破壊ではないでしょうか?

写真10 と、いうことで私はモデルガンのエジェクターは、実銃と違ってネジ止めなので外せるのですが あえて外していません。
根性曲がっています、天邪鬼です。

右の実銃の分解図のようにエジェクターは外せないのでパーツとしては書かれていません。


写真15 実銃の14年式のボルトの撃針ミゾは、各種が存在します。リコイルスプリングと相反する関係にある 撃針スプリングは、調整が難しい悩ましいところです。これにより発火不良やスライド後退不足など 発射不具合の元になりえます。

モデルガンのボルトの溝は、後期型の短めが採用されているようです。


モデルガン化

写真17 写真16

ハドソンのころから、モデルガン化に際していくつか実銃と構造を変えています。 フレーム分割やエジェクターもそうですが、右写真の黒いところ、ロッキングブロック部分を別パーツにしていることも 生産性を助けているようです。


トリガーストッパー

写真18 また、タナカ製になってからトリガーの裏に見えます、イモネジが新規に追加されています。 このイモネジは分解図にも載っていませんが 円滑な動作に必要な重要な部品です。

私は、このたびモデルガンを分解して組み立てましたが、組みあがるとトリガーを引いてもシアが落ちなくなっていました。 調査してみるとトリガーが引かれたときにシアバーを持ち上げるのですが、そこで滑ってしまっていました。 剛性や公差の関係でしょうか、うまくシアバーが持ち上げられないでいたのですが、このイモネジを調整することによって (引っ込める)ちゃんとシアバーが動くようになりました。実銃には存在しませんが、円滑動作のために重要なネジでした。 さすがにタナカさんでした。


カート

写真11

写真12 5mm キャップ火薬を使用します。非常に特殊な作りですが、発火性能は良いようです。右のバネは、カラ打ち用に入っているので 発火するときには外します。


紙 箱

写真13 初回生産のおまけ、ランヤード付きの紙箱です。
しかし、その後再生産はされていないようなので、いまのところタナカの14年式は、すべてがランヤード付きと言えます。 カートは当初は5発しか付属していません。

うんちく

写真22

写真23 知っている人は知っているのでしょうが、私は知らずに恥ずかしい目にあいました。

左は、矢印のところにあるようにファイアリングピンがシアバーにかかっています。 すなわちコッキングされています。

この状態では、エクステンションを押さえてもコッキングピースは回せないのです。 知りませんでした。撃針をパチンと落としてからでないと分解できません。

youtube を見ると外国の方は、 ボルトを引いてストップさせてからコッキングピースを回している人もいますね。驚きですが納得です。

それにしても分解や調整が面倒くさい銃です。モデルガンで良い勉強になります。


おわりに

写真19 かつてハドソンのN3も持っていましたが、それは全く動作しないものでした。マガジンには4,5発しか入らず ボルトを引いても1発もチャンバーに滑り込まないもので、あきれていました。

それがタナカさんちに行ったとたんにこんなに素晴らしく生まれ変わっちゃいました。 カートはちゃんと8発入りますし、手動で作動させるとしっかりエジェクトします。 もったいなくって発火はさせませんでしたが、きっと素晴らしく動くのではないでしょうか?

しかしそれなりには値段が高くはなりましたが・・・。
それよりも金属モデルガンの最後を飾るにふさわしい、出来の良いモデルガンを供給してくれた タナカさんに感謝したいです。有難うございました。


参考書籍

写真27 文中の実銃分解図とボルト列挙の写真は、こちらの本からです。素晴らしい書籍ですので 是非購入をおすすめします。

分解図

分解図 ハドソンのN3の時には、トリガーガードを止めるピンが存在していましたが、タナカではイモネジに 変更になっています。また、前述しましたがトリガーストッパーのイモネジは図面には存在しません。