超マニアックなワルサーGSP、CMC製です。
大きく、重い迫力満点の精密機械です。
52年規制により主力商品を奪われプラ製にも後れを取ったCMCが生き残る手段なのか
実銃に忠実なモデルを生産しだして、会社の方向付けが定まった。
そうして登場した「あっ!」とおどろくターゲットピストル。
軍用銃が主流のトイガン界にあって競技用の銃をモデルアップするなんて
相当な冒険だったと思います。
上の箱写真には22口径と32口径とありますが、両用のモデルは下記書籍によると
GSPCですね。
(床井氏の書籍にはGSP が登場します)
その本によると、
ワルサーOSPが頂点で本物のラピッドファイア競技モデル。22ショートを使用します。
ワンランク下のモデルがGSP。22ロングライフル弾を使用します。
その下のランクモデルがGSPCでCMCがモデルアップした物です。
22ロングライフルと32S&Wロング・ワッドカッター弾が使用できます。
カールワルサーの息子のフリッツワルサーはPPなどの有名銃を開発した技術者ですが、 射撃も大変熱心だったようです。ワルサー社の銃はPP の銃身を長くしたようなオリンピアモデルで 1932年、36年に金メダルを取っています。このGSP もオリンピック競技用に開発されています。
マガジンはモーゼルC96 のようにトリガー前方にあり、実銃同様5発装填できます。
22ロングライフルとしっかり書いています。右側のラッチを回転させると バレル部分がスッポリ前方に抜けると思いますます・・・が、借り物なので 恐ろしくてやっていません。
このCMC・GSP は、実銃に忠実なゆえ壊れやすいと聞いたことがあるので 恐ろしくて触れませんね。なにせ今は貴重品です。
左から32S&Wロング(薬莢のみ)、CMCカート、22ロングライフル、22ショート(薬莢のみ)
こうやって並べてみると32S&W ロングは、ワッドカッター弾しか使えないのが良く判ります。 ちなみに32口径を使用するときは、バレルとマガジンを交換したようです。フレームはそのまま。 したがって32S&Wロングは、ギリギリの長さです。
なにやら正確そうなロックナットにレバー。メカメカしい。
知らない銃は、何の装置か良く判りません。
トリガーは通常の銃と違い下から生えている。
CMC は実銃に忠実でトリガーアッセンブリー式です。
実銃の分解図を見てもこの部分は、アッセンブリーで詳細は載っていません。
CMC のも同様でバラす事は危険です(精密で複雑)。
リアサイトにはbelと刻印がありますが、ドイツ語かな?何の略でしょう?
ボルトストップは丁寧なミゾ入り加工。実銃のOSPはここが丸い。
下からのぞくとハンマースプリングが見えます。そう、ストライカー式ではなく
ハンマー式なのです。CMC製はシアやトリガー付け根が壊れやすいのか、
強化パーツが今でもオークションに出ています。
でも自分で取り替えるのは大変そうです。
燦然と光るCMCマーク、とSMG。
このモデルガンは写真で見ると何だか不恰好のように思えていましたが、手にすると素晴らしい形です。
握った感触も良く、バランスも当然良いです。ターゲットに穴を正確に開けるために作られた
専用道具の機能美に溢れています。すばらしい。
実際に競技者がこれで練習していた話しも読んだ事があります。
かなり大きく重たい銃です。
銃は、人を殺すために作られている物がほとんどですが、この競技専用銃には
そういう後ろめたさを感じなくてほっとします。
マニアックな会社がマニア向けに作ったマニアックなモデルガン。
まさにオトナ向けの高級玩具です。貴重なお宝を拝見させていただきました。
文中引用の書籍は、こちら。
ワルサー3部作のNo.3 「WALTHER BY JAMES L.RANKIN」
なお、上記の本は1980年までの事しか書いていません。床井雅美氏の「ワルサー・ストーリー」という 本にはGSPC は、登場していません。代わりにGSP (cal.22&.32)とGSPジュニア と本家OSP が載っています。
Gun誌 広告
1979年11月号のGun誌、広告です。同年9月号に予告が載りましたので順調に発売されたようです。 グリップは実物が付いている写真のようです。実際の販売品はノミの跡が激しく残る品物でした。
紙 箱
ドイツ語の口径を表す Kal が雰囲気満点です。
分解ビデオ
分解図
|
|
分解法