写真00 とびら絵のミリタリータイプのほかコマーシャル、ゲシュタポタイプが発売になりました。

友人からうんちくを教えていただいたので披露します、CMC のミリタリーのグリップは、グリップ中央付近の切れたミゾが 5本タイプで 実銃では珍しいものだそうです。MGC と中田は 6本タイプです。


登 場

写真08 1971年10月号(昭和46年)のGun 誌です。ステンは、すでに発売されているようですが、P-38 は予約受付中となっています。
「従来のとは違います」 とは、タニオのMGC とリアルのナカタ・モデルの事で、わがCMC は実銃メカだと 自信がみなぎっていますね。当初からゲシュタポは、プロジェクトにあったことが判ります。

46年規制は10月20日からだそうなので、このGun 誌の原稿時点の8月ごろには、まだP-38 は発売になっていなかったのでしょう。 と、いうことは規制前型は、ほんの2か月くらいしか売られなかったのでしょうね。不運でした。

(わたしはかつて規制前には発売にならなかったと思っていましたが、じつは発売されたようです。実物を拝見させてもらいました。)

余談ですが、52年規制の直前にも六人部さん設計のMGC P38 MJQ が発売になりましたが、1、2年で法規制で売られなくなりました。 六人部さんのP38 は、中田以外は運が悪いタイミングでした。


登場の背景

写真01 写真下のCMC が登場するまでの日本モデルガン界でのP38 は、写真上の中田製、真ん中のMGC 製が販売されていました。 中田製は、爆発的に売れたようですが実は本物のP38 と姿が違っていました。写真で見るだけでもなんだか上方向に伸ばした感じと やたらでっかいトリガーガードが気になります。しかし、実はそれよりも大きな違いがあったのです。
写真02 それは、スライドの厚さです。中田ののちに発売されたMGC 製は実銃と同じ幅で作られ、お尻がボテッとした P38 の姿をよく表しています。写真右の中田製はスリムで全然印象が違います。

写真21 このことは、六人部さんも気にしていたようで、のちのGun 誌のインタビューで、MGC のP38に「やられたー!」と 発言しています。ひょっとしたらこのような背景があり、P38でリベンジしたかったのかもしれません。

インタビューでは、照れ隠し?で採寸したと言っていますが、私から言わせてもらえば絶対に採寸していませんね。ですから 情報が整ったので、是非とも作り直したかったのではないかと想像させます。


写真20 地味な部分ですが、マガジンの大きさも違います。左の小さな方が中田で右がCMC です。 リアルサイズで作り直したって事でしょうか?

これまた友人からの助言ですが、実銃マガジンは入らないそうです。まぁ、モデルガンですから、そういう風に作っているのでしょう。


再 登 場

写真09 46年規制から2年後、 1973年3月号に「3月中旬発売」と文字のみ載っています。 そうして1973年8月号にやっと写真が掲載されました。写真のようにCMC は、黄色規制後もずっと 黒い色のまま広告していました。優等生ではありませんでした。

このころのCMC は、ブローニングやラーマも新発売で、乗りに乗っている感じですね。


ミリタリー

写真05 46年規制後の製品です。上から発売順で、王冠マーク入り、マーク無し、sm マーク入りとなります。 王冠マークは以前の自主規制で法的なものではないので黄色規制後は各社で省略されました。またsm 規制は、その後の 自主規制マークでやはり法的なものではありません。

byf記号はモーゼル社オーベンドルフ工場で1944年製造を表します。軍用はイーグルマークがフレームにあるはずですが、 CMC にはありません。


写真04 byfのフォントが微妙に違っています、あとから彫っているのでしょうか?

最初にGun 誌に出た時の写真には、刻印はsvw 44 (1945年からのモーゼル社コード)でしたが、実銃にはない物だそうで byf コードに訂正されています。


実銃ミリタリー

写真06 オークションサイトから取ってきた実物写真です。フレームにイーグルマークがあります。

コマーシャルタイプ

写真03 王冠マーク入りと無いタイプ、王冠の方が古いものです。全部そうだとは言えないのですが、ブローバック・タイプの ハンマーは黒染めでした。

コマーシャル刻印

写真25 CMC のコマーシャル刻印は、一体何を参考にしたのかよく分からないものになっています。チラシには戦後版P-38が 完全に再現されていますが、実際の製品は全然違う刻印となっていて、戦中モデルを彷彿させるフォントになっています。

戦中戦後型

写真26 ついでに戦中戦後タイプの比較写真ですが、CMC のスライドストップは、戦後型を模しています。また、コマーシャルグリップも戦後型ですね。写真の戦中コマーシャルは、スウェーデン向け製品です。出典はこちら icollector.com

https://www.icollector.com/Early-Pre-World-War-II-Walther-Model-HP-9mm-Commercial-Pistol_i17059468


メ カ

写真10 ロッキングブロックのピンは、CMC では打ち殺しピンで止まっているので抜けません。

実銃写真の右上に並んでいるハンマーブロック関係がモデルガンでは再現されていません。 また、ファイアリングピン、セフティ系も違った形になっていますが、それ以外は、ほぼ実銃に似た形で作られています。 力の入ったモデルガンだと分かります。

また、特筆すべきことにシアがロストワックス工法で作られていることです。中田のP38 では、せっかくのダブルアクションが亜鉛製のシアの摩耗ですぐに動かなくなっていましたので、CMC の鋼製シアは画期的でした。P38 独特のダブルアクションを再現できました。


写真18 右写真のようにスライド上部は、全然実銃と違っていますが、内臓パーツが多いことに変わりはないようです。 実銃もギッシリ詰まっています。

ブローバックタイプ

写真15

写真11 写真上がブローバックタイプで、ショートリコイルしないようにバレルは延長され、ロッキングブロックは削られて 固定されています。


写真16 おかげでフィードランプが長くなり、マガジンからカートの供給がスムーズではありませんでした。 また、ブローバックも私の記憶では調子悪かったです。写真左がブローバックタイプ。
写真17 写真上は1975年発売のMGC のMJQ ですが、下のCMC と同じく六人部さんの設計です。が、MGC の小林さんにより バレルの固定ネジ追加とストレート・トリガーガードに変更されています。なかなか興味ある違いが、この 兄弟機種には見られます 。

チラシ規制前

写真12 46年規制直前に発売されたCMC P38 に入っていたチラシです。
4000円の価格表示があります。

チラシ規制後

写真13 銃口閉鎖、黄色塗り規制の46年規制後に発売されたP38 のチラシです。
価格表示が無くなり、裏表紙がゲシュタポになっています。
私の持っているチラシには、東京レプリカのシールが貼られています。

また、分解図の下端には黄色規制のことが書かれています。 写真14


紙 箱

写真19 規制後の紙箱です。46年規制の前に発売されたモデルの紙箱は、発泡スチロールに赤い絨毯のような装飾がしてありました。 見せてもらったことがあります。

規制前の紙箱

写真24 規制前の紙箱です、見たこともあったのですが写真を撮っていませんでした。この度、数年前のメール整理していましたら、Gun 誌で活躍された 上阪 光 さんから頂いた写真が発見されまして、文面には使っていいよと書かれていましたので、ここに掲載させていただきました。

当時上阪さんは、モデルガンの本を出版することに情熱を傾けていらっしゃいましたが、その後音沙汰無しですが、お元気でいらっしゃるのでしょうか?

なお、友人から教えていただきましたが、規制後に発売前から予約しておいて購入したモデルは、規制前と同じ赤い絨毯の紙箱だったそうです。わたしも結構すぐに購入したのですが、私は王冠マークで白い発泡スチロールでした。
規制後も少数は赤箱が存在したようですね。情報頂き有難うございました。


カート

写真

上写真は、ブローバックタイプです。下写真はスタンダードカートです。左端は9mmパラのダミーカート。

写真


カート図 カート図

スタンダードとブローバックカート。


おわりに

写真23 今回、あらためてCMC P38 のページを記述していないことに気が付いて、書き直しました。 それに伴い、友人たちに多くのCMC モデルを持ってきていただき写真を取らせていただきました。 おかげさまで気持ちよくページを書くことができました。感謝しています、有難うございました。


刻 印

刻印図
刻印図
刻印図


おまけ

分解図