写真08

上が2代目で下は初代です。初代は、米国マテルのコピー品でしたが、2代目で 本格的なモデルガンに生まれ変わりました。2代目は登場年からマニアの間では68モデルとも呼ばれます。 当初は貫通シリンダーで、外観ではスパーが長いハンマーで他と見分けられます。


登 場

写真12

1968年(昭和43年)8月号のGun 誌の広告です。 当初は、シングル・アクション・アーミー ではなくシックス・シューターと言っていた様です。

SAA は、すでに1967年にMGC から発売されていましたので、負けてなるかと開発されたことでしょう。


68モデル

写真03

実銃でパテント日付が入っている場所に「MODEL OF 1968」と刻印があり、 1968年発売を表しています。よって、このCMC 2代目を「68モデル」などとも言います。

刻印の「丸に馬」は実銃では1900年から1912年ごろの物のコピーです。この2代目は、全体に この頃のコルト SAA をモデルにしている感じがします。


3型との識別点

写真02

こだわりのCMC は、2代目から10年後の1978年に3代目を発売します。左のモデルです。
2代目で不満足であった部分を改修しています。

見た感じもかなり違うので、SAA に詳しい人は2、3代目の区別はすぐに付きます。
でも私も初めの頃は判りませんでした。以下2代目の特徴です。

  1. トリガーガードフレームが厚い、長さは3代目より短い
  2. トリガーガード形状が前方に突き出ている
  3. フルートの形が変
  4. フレーム前方切り欠きに段差なし
  5. グリップ下部に段差あり

4番のフレーム段差なしは、実銃でも1900年ごろまでは、段差がありませんでした。 右側では、ローディングゲートが 2代目のほうが大きいので、リコイルシールド からバックストラップにかけての形状に差が見られます。


写真04

下側から見たらトリガーガード・フレームの長さがぜんぜん違うのがよく判ります。
3型は、長すぎます。どうしてここに止めネジを持ってきたのか判りませんが、 私にとって 3型の一番気に入らない部分です。


写真05

まぁ、ここを見ただけで2代目と気付くようになったらあなたもSAA マニアです。


メ カ

写真06

ごく普通のSAA 機構ですが、登場した時はハンマー、ボルトがブラックホークのような プランジャー式でした。 また、2代目はハンマーにセフティノッチが最初から無いのが特徴です。
バックストラップにリブがあります。


シリンダー変遷

写真07

初期のころは貫通シリンダーでした。そのかわりにシリンダ後方部分が安全対策として大幅にカットされています。 のちのスリット規制よりも激しいカットです。前撃針は銃身後端部にあり、ハンマーの打撃によりカートの半分が 前進し発火します。よって、硝煙のカス等で弾頭部分が銃身後端から引っ込まなくなったら どうしようもない状態になったと思われます。カートはシリンダーいっぱいの長さですので、実物よりも長いです。この形式はCMC ダイアモンドバックでも採用されています。

sm規制後は左下写真のように前方にインサートが付けられて後方の切り欠きは無くなりました。


トリガーガード

写真09

登場したての2代目は、楕円のトリガーガードでしたが、やがて写真下のように長円になります。
この楕円のトリガーガードは1895年 から 1917 年ごろのコルトSAA に採用されていました。

国本氏に送られた 六研の2丁がこの形のトリガーガードでした。
以下のページに実銃の形状が判りやすく掲載されています(英語)。↓

http://www.bar-w.com/saa-generations.html


機構チェンジ

写真10

2代目が登場したてのころのプランジャー式ハンマーとボルトです。

先行して発売されていたMGC のSAA がブラックホーク・システムであったことも影響されているのかもしれません。


写真13

1970年4月号(昭和45年)Gun 誌のCMC 広告にハンマーの変更とボルトの変更が載っていました。 これにより普通のコルトSAA 形式の機構に改良されました。ボルト形状は、後ろ1/3がカットされた形で、ハンマー・カムから早めに落ちていたことでしょう。ですから68モデルのシリンダーには、たいていボルトがこすった跡が激しく残っています。

ちなみに、この号の表紙は六研製のモデルガンです。昔のGun 誌の表紙にはモデルガンも結構使用されています。MGC 製品も登場しています。


写真11

右下の写真の下のほうが古いボルトです。やがて3代目のようなボルト形状に変化して いきました。トリガーの曲がり具合も変わっていったようです。


バレル刻印

写真15

当初のバレル刻印は、キャバルリーとフロンティアが、COLT SINGLE ACTION ARMY .45で、シビリアンのみ COLT FRONTIER SIX SHOOTER .44 と44口径刻印でした。


写真14

写真のようにシビリアンも後期になると、.45刻印になり銃身長違いの3つのモデルは全部同じ刻印となりました。 また、バレル上部にコルト社のアドレスが追加されました。


リアリティ追求

写真00

上から初代、2代目、3代目のCMC SAA です。
MGC が最初のSAA を最後まで販売していたのと対照的にCMC は3度も作っています。 クウォリティに拘ったのでしょう。その姿勢は、やがて「リアリティならCMC」 と広く浸透し、現在でもCMC のモデルガンは、 高品質だったと伝えられています。もう、会社は無くなってしまいましたが、たくさんの少年の心に CMC は今でも憧れとして生き続けています。

オーナー様、SAA 2代目を貸していただき有難うございました。


カート

写真16

左の長いものが貫通シリンダー用で右の短いものがsm規制後の物です。規制後はシリンダーインサートが前方に施された関係で カートが短くなりました。新旧どちらも弾頭部分が前にせり出して発火するようになっています。


写真17

68モデル・sm規制後 シリンダインサート有りの写真です。


分解図

分解図

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