コクサイの44マグナムです、当時はモデル29なんては呼ばれていませんでした。
1972年(昭和47年)に映画ダーティハリーが日本で公開され、その圧倒的な44マグナムの威力に皆惚れました。 当時44マグナム拳銃なんてモデルガンには無かったし、実銃においても強力すぎるマイナーな弾でした。
映画のおかげで、当時販売されているモデルガンの中でよく似ているMGC のコンバットマグナム6インチが、よく 売れたそうです。のちには、各社こぞって44マグナムのモデルガンを販売するのですが、一番手はすでにハイウェイパトロールマンを 販売していたMGC からプラスチックで発売されました。
このコクサイの44マグナムは、そのMGC プラ製の外観をコピーしています。
左は、MGC の44マグナムですが初期の物ではなく改良された後期の物です。
コクサイと形がよく似ているのが判ります。
MGC のプラ製モデルガンは特殊なヨークの止め方をしていたため、シュラウドに四角い穴が開いていました。 コクサイの金属モデルガンは、その穴のあとをしっかりコピーしています。
左のMGC プラ製は、その部分が改良されたモデルですので四角穴はありません。
友人のハイパトを撮らせていただきました。
もっとも初期のMGCハイパト41です。四角に穴が開いています。
エジェクターロッド先端を止めるロッキングボルトの長円形の形状もそっくりですね。
今では、誰も本物がこんな格好をしているとは思っていませんね。
コクサイの44マグナムは、同時発売の357マグナムとフレームサイズがそれほど違いません。
それで矢印のように、本来平らであるべきところがKフレームの形状になっているのかもしれません。
左は、この44マグナム発売から10年後にコクサイから発売されたM29です。
実銃グリップが着いているように大きさも忠実に作られています。
最初に発売された44マグナムのフレームがいかに小さいか良く判ります。
登場
1975年(昭和50年)のGun誌 11月号に広告が載っています。
この号には、マルゴーからもプラ製の44マグナムが発売された広告があります。
44マグナムブームが到来していました。
ナゾのMGCカタログ
当時高校生だった私は福岡のMGCに行ってはチラシをよく取ってきていました。
そのなかにこのコクサイの金属44マグナムのカタログも入っていました。
カタログナンバー1から4は,いつものMGC のカタログでしたが、このナンバー6はコクサイの物だと 当時から知っていましたので、MGCでもコクサイ製品を売っているのか、くらいにしか思っていませんでした。
ちなみにカタログナンバー8は、ウッズマンですので1980年ころのカタログでしょうか?
最近になって、MGCとコクサイは犬猿の仲の時代があったことを知るにつけ、どうしてMGCでコクサイの44マグを 販売していたのか不思議でなりません。福岡店だけのチラシなのか全国的なのかも判らないので、ご存知の方がいらっしゃったら ぜひ教えてください。
メカ
実銃のように板バネを使用しています。メカニズムは完成領域にあります。
このメカは、そのままスクエアバットのチーフ3型に応用されました。
基本的には、シリンダーストップの形状を見れば判るようにMGCを手本にしています。
トリガーの厚さを半分にして、そこへシリンダーストップを乗せる方式です。
下のモデルはMGCチーフ2代目です。1969年発売。
エジェクターロッドは、単なる鉄の棒です。
カート
カートの裏には44マグナムと刻印があります。
紙 箱
箱には、いつものコクサイ・イーグルマークが右上に入っています。
実銃の世界で、当時44マグナムを撃てる拳銃は S&W のM29 しかなかったので、44マグと言えば M29 を表していました。44マグ = ダーティハリー という式も成り立っていました。
同時発売の357マグと。
すでにプラスチック製モデルガンが流行り始めたころの製品ですが、まだまだ本流は金属モデルガンの時代でした。 この重たい拳銃でダーティーハリーになりきって遊んだ少年も多かったのではないでしょうか?
モデルガンとしては2流品ですが、各社から44マグナムが競って発売された当時の状況を思い出させてくれた コクサイ44マグナムでした。
クリントイーストウッドは、このモデルガンが発売されてから35年も経っているのに、未だに現役バリバリなのが 凄いです。まさに本物、亜鉛製ではなく鋼鉄製ですね。
追記・品切れチラシ
匿名の方より写真を頂きました。有難うございます。
このコクサイを売っていたMGCカタログは、全国版である事がわかりました。
またこの写真のカタログには、357マグの方が品切れになっています。
そうして「国際産業製品」の印刷がありますね。珍しい写真有難うございます。
おまけ
分解図のJPG が別窓で開きます。→ |