マルゴーのディテクティブです。マルゴーだと馬鹿にしてはいけません。
コルトメカを再現した本格的な貴重なモデルガンです。
すでに発売されていたMGC ダブルオンリー・モデルをサル真似せずに作ったマルゴーのオリジナリティ溢れる力作だと思います。
外 観
マルゴーのディテクティブは、トリガーガードの曲線が、なで肩なのですぐに判ります。
ちょっと力強さに欠けます。
たいていの人はS&W チーフの方がスマートで格好良いと思うでしょうが、だんだんマニアになってくると 何故かコルトの不恰好さが男らしい力強さに見えてくるのです。そのうちに大好きになってしまいます。 マニアのみがかかる、コルトウイルスなのかもしれません。
マルゴー登場よりも2年ほど前に発売されたMGC のモデルと並べてみました。
大きさはほとんど同じです。マルゴーは先発のMGC モデルを参考にしたのかもしれません。
良く似ています。
右写真のMGC モデルは、smG規制時の最終型です。フロントサイトが丸くなっています。
こちらは、マルゴー登場から30年後のホビーフィックスのモデルと並べています。 時代が違うので比べることはルール違反ですが、HFのモデルは実銃とそっくりらしいので、大きさ比較にはもってこいです。
比べるとHF の下半身が大きく、力強いですね。マルゴー・モデルのほうは小さく感じます。
マルゴーのシリンダーにはインサートとして弾頭のような形状が作られています。なかなか良い感じです。
背中は、左のMGC をまんま参考にしているようで、強烈な横溝が彫られています。
右に置いたHF の物は写真に写らないくらい細かい横線が彫ってあります。
こうして見ますとMGC が結構HF と似た感じなので良くモデルアップされていたのだと感じます。
モデルガン、エアガン取り混ぜて並べています。左からタナカ・エアガン2個、マルゴー、MGC 2個。 上はホビーフィックスです。
マニアックな形なのであまり多く製品化されていないモデルです。HF が作りが良いのは値段なりに納得ですが、タナカのエアガンも良い形です。右側の3丁とは30年くらいの時が流れています。
刻 印
マルゴーの英語表記は、当初MARUGHO だったようですね。たいへん古い製品にのみ見られます。 このあとMARUGO になって、今ではMALUGO となっています。
現在のマルゴーさんのページは こちら。
マルゴーの力の入れようは刻印にも現れています。しっかりと短いバレルに刻印が入れられています。 MGC の方は簡略型です。このMGC は、シングルアクション可能タイプの古い物でフロントサイトが 切れた形です。
登 場
Gun 誌1969年(昭和44年)7月号にカラー写真が載っています。改定価格とあるのは、この2ヶ月前くらいに3,500円でGun 誌に白黒写真で登場していたためです。
PP も発売して丸郷商店もオリジナル・モデルガン屋としてスタートを切りました。 まだ、出せば売れるという時代が続いていたころだと思います。
メカを見る
本格的コルト再現メカです。ボルト形状(シリンダストップ)を見れば判るように、 長円の穴によって軸を前後する形式です。これはMGC パイソンと同じ方式です。 長円でシリンダストップを動かすのは、S&Wリボルバーの優れたところです。それを コルトのメカに応用しています。
MGCパイソンと違ってラッチとは別パーツがシリンダーに食い込む実物同様の作りです。
ですが、ヨーク側がユルユルに作られているため、せっかくのシリンダー固定メカも、かすんじゃいます。 Gun を机に置くとヨーク側が開いてしまいます。
実物とウリ二つメカのホビーフィックスと比較してみました。松葉バネのテンションを各方面に伝える 矢印のリバウンドレバーの曲がり方が急なのが特徴ですね。 この、旧式コルトメカは、このバーによってハンド上昇、ボルト上昇を行いますので繊細な調整が必要な部分です。
マルゴーのシングル・フルコックは、ごらんのように浅いです。この部分が左右方向に圧縮されて 作られているのは、前述のリバウンドレバー支点の関係で上からの力しかかけられないためだと思います。
ダブルアクションでは、かかりはもっと浅くなります。良く作られていますが、まったく残念なことにトリガー軸、ハンマー軸の隙間が多すぎて この位置でハンマーを支えられずにハンマーが落ちてしまいます。公差を大きく取り過ぎています。 この個体は、使用感は激しくありませんので、製品として仕上がった段階からこのようにユルユルだったものと思います。これでは、まともに動かなかったでしょう。
ボルトの仕組みは、左のMGC パイソンと同じ方式ですので形状も似ています。このメカは、 コルト式の最も難しいボルト戻り動作をボルトを前後に動かすことでクリアした大発明だと思います。 ちなみにコルト式をそのまま模したコクサイ・パイソン2型とホビーフィックス・ディテクティブは、 動作不良が多いです。コルトのメカが旧式で繊細すぎるためです。
コルトの本物ディテクティブは、やがてシュラウドが付けられて、マーク3シリーズのような形に変わります。
コルト・リボルバーはシリンダーが右回転なのでS&W のようにシリンダーロックシステムが 必要ないんだっ!と自己主張していたかのようなエキストロッドむき出しのバレル形状も 終わりを告げました。
その形状の変化は、市場でS&W に負けたことを象徴していたのだと思えます。
追記・紙箱
Kate さんより、大変貴重な紙箱の写真を頂きました。有難うございます。
先に発売されたブローニング380 と同じデザインですね。
シンプルでなかなか良いですね。
貴重な写真を有難うございました。
おまけ
分解図のJPG が別窓で開きます。→ |