マルシンの金属モデルガン、コルト1860アーミーです。
サミュエル・コルト氏生涯最後の作品で自信作だったと思われます。
マルシンは、この珍しい部類のパーカッションをモデルガン化していました。
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シリンダーには、メキシコ海戦の様子が奇麗に彫られています。
これは、1843年5月16日にテキサス軍とメキシコ軍が戦った海戦での勝利を記念しています。 当時のアメリカは、戦争を起こしては、どんどん領土を広げていました。 当時のテキサス共和国は、もともとはメキシコの領土でした。メキシコから独立したのちアメリカと併合しました。
当日はテキサス海軍のAustin と Wharton の2隻がメキシコの戦艦を破ったそうです。
アメリカでは随分と有名な戦いのようです。↓(英語)
http://www.texasnavy.com/combat.htm
日本では、12代将軍徳川家慶が天保の改革を行い、中国では清がアヘン戦争に敗れた頃です。
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マルシン・60アーミーは、ストックが付けられるモデルを再現しています。
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書籍に、マルシンとそっくりなモデルが載っていました。
フレームに4つあるネジのうちハンマー下の大きなものは、ゆるめてストックを引っ掛けるのに使います。また、リコイルシールドの下方が三角形に削り取られているのもストックを引っ掛けるための物です。
ストックはアクセサリーとしては発売されませんでした。
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箱はこんな感じで、西部劇の映画のようなフォントです。
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他モデルと比較
CAW から発売されている61ネービーとの比較です。
ネービーとは36口径を意味し、アーミーは44口径です。コルト1860アーミーのほうが先に開発されました。
44口径は、でっかいので少しでも軽量化するためにシリンダー後方を削っています。ネービーのほうは、ストレートシリンダーです。
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MGC の51ネービーとの比較です。両方とも実物と同じ大きさを再現しているのであれば、
60アーミーは、44口径になったのに51ネービーと変わらないサイズによく仕上げていると思います。
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CMC のレミントン44口径と並べました。
レミントン・アーミーは、でっかいですね。強そうなソリッドフレームが迫力です。 見るだけで丈夫さが伝わってきます。
コルト氏渾身の軽量化新製品もレミントンの頑丈さを見れば、色あせてしまった
のではないでしょうか?同じくらいの年代に登場しています(1858年)。
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52年規制対応で登場
マルシンの60アーミーは、Gun 誌の1977年12月号に登場しています。
悪名高き52年規制の年です。 したがって60アーミーは、smGマークが入ったものしか存在しません。
銃身分離型のオートは発売できなくなってしまいましたが、この銃などはOKだったようです。
MGC 51ネービーもsmG製品が存在しています。
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メカニズム
メカは、基本的にMGC 51ネービーと同じで、バレルウェッジは飾りです。 バレル側から伸びたセンターシャフトで
フレームと連結されています。 6角レンチネジを使用しているところもMGC と同じです。
メイン・フレームは、トリガーガードとバックストラップが一体式です。
マルシンは以前アサヒイーグルSAA を製造していましたが、その時に
フレームが細くて折れやすかったことに懲りたのか、その後に開発されたSAA やこの60アーミーは一体式のフレームで製造されています。
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実銃がワンピース木製グリップを装着していたので、グリップ下部に工夫を凝らして
ワンピースグリップを再現しています。
蓋でグリップの突起を押さえて止めています。 よい方法だと思います。 MGC 51ネービーは左右グリップの凸ピンのみでグリップが止まっていますので、分解するときにグリップが外れずに、凸ピンが折れやすかったです。
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パーカッション銃なので、貫通シリンダーではありませんが安全対策として大きなスリット切込みが入れられています。
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MGC 51ネービーと同じ構造ということは、同じところが弱いです。ここのピンが折れやすいです。
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実銃との比較
写真でしか比較できませんが、グリップ周り、ハンマー形状、バレルの曲面変化部などに作りの甘さが伺われます。
写真のように実銃は美しいカーブで構成され、44口径なのに小さな銃に仕上がっています。 マルシンのモデルガンは
特にグリップ周りの微妙なカーブが再現されていないのが残念です。
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コルトの歴史
サミュエル・コルト氏は。パターソンで世に打って出ましたが、あえなく倒産。ここで終わらないのが、アメリカですね。
日本ですと一度の失敗で、すべて終了してしまいがちです。
ウォーカー大尉との出会いからコルト社で再起したサミュエル氏が、最高傑作として世に出した60アーミーでしたが、コルト氏は南北戦争のさなか1862年に48歳で亡くなります。売れに売れているときでしたが、レミントンやS&W 薬きょう式拳銃の姿が大きなプレッシャーとなっていたのではないかと私は想像しています。 大金持ちになり美人の奥さんをもらい大邸宅に住んでいたコルト氏ですが、最後は精神的には不遇だったのではないかと思います。
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おわりに
このモデルガンが発売された頃は、すでにMGC 51ネービー、CMC レミントンが世に出ていましたが、マルシンは真似することなく60アーミーという希少なモデルを製品化したことに拍手を送りたいと思います。
おかげで150年前にタイムスリップして思いをめぐらせることができました。
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おまけ
分解図のJPG が別窓で開きます。→
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