1975年ごろは、世界最強の拳銃だったオートマグです。この銃の好きな方はたぶん中年でしょう。まだデザートイーグルは存在していませんでした。
モデルガン化は、MGC のプラスチック製が日本初でした。
まだまだ金属製のモデルガンのほうが人気があった時代でしたので、やがて国際から金属製が1977年ごろ発売されました。
私も以前コクサイ製を持っていたのですが、現在手元に無いため比較できませんが、このマルシンの物と同じ金型ではないでしょうか?
そっくりな印象があります。
当時すでに銃身分離型規制が判っていたので、このオートマグは規制に生き残る数少ない自動拳銃でした。
とてつもなく大きなハンドガンでMGC の物より少し大きく実物にかなり近いのではないかと思われます。本物のオートマグに
スチール製は存在しないので黒色のオートマグはありません。モデルガン向きですね。
コクサイの物と刻印が違います。
TDE はオートマグ社がつぶれたあとに再生産された時の物です。
実銃のオートマグは、なかなか商売が軌道に乗らずに、たびたび会社が変わったので刻印もいろいろあります。
詳しくは、アメリカにいらっしゃる 石黒さんの趣味ページ を
ご覧になることをお勧めします。実銃のオートマグコレクターです(日本語あり)。
反対側には、マルシンのマークと刻印が入っています。
本物はM-16 ライフルにそっくりな回転式ボルトですが、モデルガンのものは何の変哲の無いボルトです。
回転もしません。また、バレルはショートリコイルもしません。したがってアクセラレイターなる奇妙な部品も存在せず
、メカを楽しむ人には悲しいモデルガンです。
登 場
Gun誌 1979年12月号(昭和54年)に新登場として載っています。
写真となりのパイソンが大きさの小さいジュニアモデルなので オートマグは、1/1と実物大であることがうたわれています。
時期としては、52年規制でガバやP-38などの人気機種が売られなくなってすぐのころで、全体的にプラスチックへ
移行していこうという頃です。値段を見るとオートマグの予価は12,000 円と1万オーバーで高価な感じです。
全体にインフレ気味だったのでしょうか?子供が買えなくなってきたので、ジュニアガンを出したのかもしれません。
ジュニアガンは、2,700円 程度でお安くなっています。
コクサイと比較
マルシンのオートマグは、メカ的にコクサイのコピー品です。 登場時期は、コクサイが1977年に登場してマルシンはその後1979年に登場しています。
分解図を見ると分かるように、実物には存在しないハンマー付近のサブフレームやファイアリングプレートに近似点が見られます。
メ カ
湾曲したハンマーストラットがすごいですね。コクサイのモデルガンと同じなのでコクサイの設計者の考えでしょう。 もちろん実銃では直線です。
カート
左の二つがモデルガンのカートで次が実物の44AMPダミーカートです。
一番右は、現在自動式で最強の50AE のダミーです。
44AMP のダミーカートをマルシンのマガジンに入れてみましたが、1発しか入りません。
実物が長い、いえ、モデルガンのマガジンが短いのです。コクサイもそうでした。という事は、実物はもうすこしグリップが大きいのかもしれません。
紙 箱
ブローバックと書いています。おわりに
とにかく大きなハンドガンを実感するには、良いモデルと思いますが、メカ的には省略が激しいです。
このモデルガンは、その後、銃身の長いクリント1に金型が変更されたらしいです。
クリント1は、初回は限定モデルで発売されましたが、その後量産に移されたようです。
実銃のクリント1は、クリントイーストウッドに送られたカスタム銃で、感激した彼が映画に使用した物です。 世に数丁しか存在しない物です。
うんちく
実銃のオートマグは、商売上失敗し現在ではコレクター向けの銃となっています。当初の44マグナムを自動拳銃で撃つというコンセプトは良かったのですが、当時は珍しかったステンレス素材 を使用したためか作動不良が多かったようです。
新規プロジェクトを進めるに於いて、既存技術の改良から進めるのが安全で、オートマグのように弾薬も新規、 銃機構も新規、素材も新規という「まっさらプロジェクト」は、気持ちが良いのですが失敗の要因が多すぎです=成功の確率が少ない。
パソコンで言うならOS入れ替えるついでにマザーやメモリーを変えるようなもので、個々にリスクが多すぎですね。
スチール素材に、レミントン44マグナムからスタートしたら別の結果が待っていたかもしれません。
デザートイーグルが44レミントンマグナム口径で良好な結果を残した事が50口径の進化に繋がっている事が証明しています。
分解組立・マニュアル
マルシンのマニュアルです。
おまけ・分解図
マルシンの分解図です。ちゃんとクリント・ワンのAMT刻印の物ではなくTDE刻印の分解図です。
おまけ2・実物分解図
TDEの1975年マニュアルPDFから取ってきた実物の分解図です。
#4番が特徴あるパーツのアクセラレイターで、LSのプラモデル・オートマグでは再現されていたらしいです。 機能は発射したときの反動で少し回転してボルトを叩いて閉鎖解除を助ける仕組みのようです。 なんだか、すごく乱暴な仕組みです。