1965年登場のたいへん珍しいMGC のセンチニアルです。 100年祭を表す英語の発音はセンテニアルですが、 日本語では違和感があったのか、センチニアルと呼ばれて販売されました。
実銃では、S&W 社の創業100年を記念して1952年に発売されたチーフの ダブルアクションオンリーモデルです。1852年ボルカニック拳銃で創業してから100年後のことでした。
写真のチラシは当時のMGC のコピー品です。頂きました、有難うございます。
チーフの方はハンマー形状が違うので判別できますが、こちらのセンチニアルは、コクサイ製と
外観上は見分けがつきません。MGC マークの刻印を見るしか方法はありません。
刻 印
MGC の社内開発ナンバーである SW/6 の刻印が見えます。1から3 は、製品化されませんでした。 4がチーフで5がハンドエジェクターです。S&W のリボルバーとしては、6番目の製品でした。
7番はコンバットマグナム、8番は同4インチ、6インチです。
デッドコピー品のコクサイ製は MADE BY INT と書いています。
バレル刻印は、左に CENTENNIAL、右に CAL .38SPL とあります。 写真のようにセンターロック機構を備えた本格的モデルガンです。
左側にもMGC マークの刻印があります。昔のMGC 製品には両サイドにMGC 丸マークがありました。 しかし、コンバットマグナムやチーフ2型など、そのうちに刻印は全くなくなってしまいました。
チーフと比較
1963年(昭和38年)登場のMGC チーフは、日本初のリボルバー型モデルガンでしたが、 その2年後にセンチニアルが発売されました。メカ的にすごく進歩しています。
サムピースのミゾの本数が8本に減らされました。
写真右のように実物は 12本くらい溝があります。
並べてみますと、バレルが大きくなっていますね。 チーフより、シリンダーストップの入るミゾ部分が、実銃のような形状に変更されています。 これは、シリンダーストップの構造が実銃のように変更されたためです。
MGC 設計製造技術の進歩が見てとれます。
チーフでは、ボルト+ハンド一体型でしたが、 センチニアルでは分離されて、より実銃に近いものになりました。
ミッキーマウス・スプリングもハンマーにかかる部分がストレートに改良されています。
よってバネのかかるハンマーの穴も必要ではなくなりました。
メカを見る
チーフの登場から2年しかたっていませんが、相当な進歩が見られます。
トリガーを一段低くして、そこにシリンダーストップを配置する方式は、このあとの
MGC のS&W シリーズの基礎となっています。機構としては完成しています。
このアイディアは、アサヒイーグル、マルシン、CMC1型、 コクサイ3型の各チーフが真似しています。
特徴のあるグリップセフティは、なんとグリップによって止まっています。 ですからプラグリップですと基部が、割れやすかったそうです。
実際にグリップセフティは、完全動作します。グリップを握るとセフティ先端の突起が ハンマーの溝に入ってハンマーが回転できるようになります。実銃は全然構造が違っています。 下記イラストのように別パーツが必要になっています。MGC は省力化して再現しています。
伝統のフローチング・ハンマー・システム
ハンマーは、MGC お得意の軸穴が長円のシステムです。
ピン穴に沿ってハンマーが左右に動きます。それでリバウンドするようになっています。
このモデルは、リバウンド用の板ばねがたいへん弱くなっていましたので、ハンマーとトリガーの裏側に グリスを塗って動きを良くしてやらないと、うまくリバウンドしませんでした。
センターロック・システム
日本初のセンターロック機構です。これでちゃんとシリンダーをロックするようになりました。 いままでのチーフは、左写真のように先端ロックがありませんでしたので、バンバン撃って遊んでいたら スイングアウトしたそうです。
シリンダーが左回りのS&W の宿命です。コルトは右回りなので センターロックがなくてもスイングアウトすることはありません。
パッケージ
レプリカ箱を購入しました。なかなか渋い色合いの箱です、マニアックですね。
この箱のデザインは、INT(コクサイ)の物かもしれません、よく判りません。
チラシ
↑クリックで拡大します。忠吉さんご提供です。有難うございます。
コクサイと比較
ご覧のようにコクサイのセンテニアルは、MGC のフルコピーです。
当時コクサイは、MGC と戦闘状態にありました。チーフ1型とセンテニアルのフルコピー版を販売していました。
精巧なコピーですので、刻印を見る以外には識別できません。
昭和の子
右のチーフは、亜鉛崩壊によって触れば崩れおちる状態ですが、このセンチニアルは 40年ほど経っているものでしょうが、しっかりしています。ガンガン完全作動します。 亜鉛の材料品質も良くなったのかもしれません。MGC の大いなる飛躍を感じさせる逸品のご紹介でした。
当時の日本は高度経済成長期に差し掛かり、流した汗だけ豊かな生活が待っていました。
未来は限りなく夢が一杯の時代でした。僕は、初代ウルトラマンに夢中でした。
当時思い描いていた21世紀と現在は結構違っていますね。
おまけ
分解図のJPG が別窓で開きます。→ |