大変珍しい物を借りてきました。MGCのガバメント・ブローバックタイプです。
案外持っている人は少ないのです。短期間しか売られなかったのかもしれません。
左側だけ見ると普通のGM1に見えますが・・・。
こちら側を見ますとセレーションに大きなネジが埋め込まれていることに気が付きます。 これこそがブローバックタイプの紋章と言えます。
MGCのデトネータ式ブローバックは、MP−40で開発されハンドガンではベレッタ1934が一号機です。 その後すぐにS&W 44オートが発売され、ガバメントはそのあとでした。昭和46年(1971年)の登場ですので 12月に銃口閉鎖、黄色塗り規制が施行されますので、銃口の空いたものは少数だったと思います。
S&W 44オートは、1975年のsm 自主規制後もファイアリングブロックを改良して販売は継続されましたが ガバメント・ブローバックは人気がなかったのか発火方式がうまくいかなかったのか、無くなってしまいました。 sm 自主規制はブリーチ部に超鋼を鋳込むことになっていましたので、そこがネックだったのではないでしょうか?
特徴あるセレーションのネジは、インチネジです。ミリ用の六角レンチでは外せません。
3/32 インチを使用します。
ブローバックタイプのみに見られるディスコネクターが特徴です。
もともとは、カスタムショップであるエジプト が開発したそうです。
その機構を真似て作られています。
↑記載は、誰に聞いたわけでもなく単なるうわさの鵜呑みでした。ご気分を害された方にはお詫び申し上げます。
このディスコネは、スペインのスター・モデルを参考にしているのでは?と思います。後日詳細を記載したいと思います。
トリガーバーを押さえつけてコネクト(接続)をディスエイブル(不可)にします。
だからディスコネクターと言います。
このディスコネクター形式は、GM−2の機構に大いに参考にされました。
S&W 44オートと同じ弾を使用する?ためか、9mmにされています。
カートについては、下記に別記載です。
おかげでマガジンは、狭く絞られています。
JAPANの刻印があります。輸出もされていたのでしょうか?
基本的にはGM−1と同じ機構ですが、各部パーツ形状が変更されています。
GM−1のリコイルスプリングガイドは折れやすかったので変更されてバレルと一体型になっています。 ショートリコイルしないのでこれで十分なのです。 ファイアリングブロック部は、大幅に変えられて撃針が設けられました。
これが固定バレルです。この後に生産されたMGC・ガバメントはスタンダードタイプも全部がこのバレル方式に 変更されました。
この個体は、46年規制後の製品のようで、銃口閉鎖されています。よってチャンバーにはガス抜きと思われる 穴があけられています。
銃口閉鎖状況とデトネータです。デトネータは、かなり大きなものですね。
ファイアリングピンは、後ろからみると一見センターファイアに見えますが、カートが9mmと小さいので カートの上側を打つようにできています。この方式は、P38・MJQと同じですね。
エキストラクターは、こんな感じで収まっています。
ハンマーの形状はGM−1と同じ形ですが、ピンが新たに増設され、ストラットとの連結が強化されています。 ストラット自体はGM−1のころから2枚重ねなので丈夫に作られています。
板バネは、GM−1と形状が異なっていますが、相変わらずの二股のみなのでシアとトリガーバーの2か所に 働くだけで、グリップセフティは、ブラブラと遊んでいます。GM−1と同じです。
カート
上の写真はオークションから取ってきた物を合成した物ですが、写真のように当時のMGCには、9mmの ブローバックカートは3種類有りました。
ショートはベレッタ34のもので、エキストラロングはMP−40、9mmロングがsw44オート、MJQの ものです。では、ガバメントブローバックは、どれを使用するのでしょう?
ホビーフィックスのガバを買ったときに付いてきた冊子には、9mmロングと書いてあり、ネットでも ハイキャパさんがそのように書いています。
くろがねさんとMGC店長はエキストラロングだと言っています。MGC店長は、当時優秀店員で東京に呼ばれ 組み立て工程に居たそうですので間違いは無いでしょう。と、いうことで実験してみました↓youtube のビデオです。
この個体で見る限り、エキストラロングですね。でもひょっとしたら9mmロングの個体も最終期に存在したのかも しれません。
2022年・追記
友人の持っているブローバックは、9mmロングを使用するらしい。チャンバーの大きさが違うそうです。 今度見せてもらおうと思います。おわりに
なかなか珍しい物を拝見させていただきました。ブローバックモデルの過渡期の製品と言えるのではないでしょうか?
現在では、モデルガンはほぼプラスチックになったせいもあり、キャップ火薬ひとつで簡単にブローバックしますが その過程にはたくさんの人たちの試行錯誤と努力があったことを忘れてはいけません。 そんな思いを感じさせてくれるGM−1・ブローバックでした。
おまけ・分解図
分解図有ります→クリックで拡大します。