MGC コンバットマグナムです。名前は、S&W 社のオリジナルもそう呼ばれていた物です。今では モデル名で呼ばれる事が多いのですが、昔のS&W 社の製品には、それぞれ名前が付いていました。
モデルは、357マグナムを使用する強力なリボルバーです。
MGC が凄いのは当時まだ映画ダーティーハリーは公開されていないのに、
このようなマイナーなリボルバーを商品化したことです。
商品化のセンスが光っています。
写真右はCMC の木製グリップを削って装着しています。4in のハンマーは折れています。
(1) ハリーパッケージ
映画「ダーティーハリー」が公開されS&W マグナムが注目を浴びたのですが、 当時の日本モデルガン界には、S&W マグナムリボルバーは、このMGC 357マグナム しか存在していなかったために 飛ぶように売れたそうです。
おかげでパッケージもハリーさんになっちゃいました。
(2) トップランナー2.5in
3つの銃身長が存在しますが、2.5インチが最初に発売されています。 パッケージも他の2つとは全然違います。 このようなマニアックなモデルをよくぞ発売してくれたものです。
写真のハンマーはオーナーさんの手造りです。MGCのハンマーは、すぐに折れます。
2.5インチとその他銃身は、社内モデルナンバーも違っていて2.5in がSW-7 で、4と6インチは SW-8となっています。当初は長銃身の物は計画に無かったのかもしれません。
MGC 初代のチーフにはSW-4 と刻印がありますので、MGC のS&W 製品の順番で5と6はハンドエジェクター、センテニアルでしょう。そうしてSW-7 がこのコンバットマグナムです。数字は社内開発番号だと思います。 日の目を見なかったSW-1 〜3 は何のモデルだったのでしょうね。
MGC の丸ごとコピー製品を作っていたコクサイは、MGC 刻印をフルコピーしていますので同社のチーフ1型にも、SW/4 と刻印されています。
(3) 外観
MGC は、コクサイに比べて持った感じが、すこし小さいかなと思っていましたが、並べてみると ほぼ同じサイズです。1968年(昭和43年)に登場したMGC の約20年後に販売されたコクサイと並べています。 単純比較は、するべきではありません。
MGC のM-19 は当時の完成度としては高かったと思います。これがあったからこそコクサイの完璧版が 発売されたのです。
コクサイに取り付けていたS&W 社の実物グリップをMGC に合わせてみました。
フレーム内部の切り欠きが合致しませんが、大きさ的には実物どうりです。
実物のS&W 純正グリップをMGC に装着している写真をいただきました。
フレームをグリップのメダリオンに合わせて削っています。グリップ側にピン穴を新設しています。
実物グリップを付けてもらってモデルガンも喜んでいるでしょう。
2.5inもコクサイと並べてみました。トリガーガード形状がコクサイの方が長いです。
MGC のセンターピンは、ちゃんと貫通していて本物のようなロックが得られるようになっています。 今では、そんなの当たり前ですが、当時は珍しい方でした。チーフなどほとんどのモデルは、いんちきロック でした。
ただ、貫通ピンは銃身側だけでリコイルシールド側は、エジェクター全体で止まるようになっています。右のコクサイは、実物のようにピンで止まっています。
ですからMGC のエジェクターは、このように引っ込むように出来ています。 円滑なスイング・アウト、インのためにこのように設計された物かもしれません。
(4) カート
左端は、実物ダミーの357マグナムです。MGC のカートも実物に近い長さがあります。 コクサイの旧カートは、ずいぶん短かかったです。
(5) モーレツ!爆発メカ
このモデルガンは、うかつにバラすと、まるで爆発したかのように パーツを撒き散らします。サイドプレートを外したら絶対に動作させてはいけません。部屋中にパーツが 飛び散る恐れがあります。動かさなければ大丈夫です。
爆発メカの元凶は、この強すぎるスプリングにあります。 スプリングが強力なもので力がサイドプレート側へ逃げた時にすべてのパーツを吹き飛ばしてしまいます。
メカ的には昔風なシアでハンマーを止めるようにできています。 黄色の矢印がシアでハンマを止めている所です。トリガーを引くと、緑矢印のようにパーツが動き、シアが 外れます。
全て飛び散ってしまった人のために組んだところの写真も載っけておきます。 ハンドのバネだけ忘れています。
爆発メカで飛び散った時には、この微細なパーツまで吹っ飛んでしまいました。 探すのにたいへんでした。
実物のS&W 社の古いモデルは、このようにボルトのテンション・バネは外からネジで止めています。それらのモデルは サイドプレートも4つのネジで止められていますので、このネジをあわせて5スクリュー・モデルと呼ばれ 、現在ではレア物となっています。MGC も製作に当ってS&W の古いモデルを参考にしたのでしょう。
分解写真
(6) 製造時期の違い
MGCのこのモデルのハンマーは、薄くてすぐに割れてしまいます。左の物の方が古い物ですが 右の物よりも薄いですね。
また、当初リアサイトは左のモデルのようにネジが生きていましたが、のちには省略されて単なるモールドになっています。「省略は正義なのだ 」は、MGC 製品に良く見られます。
古い物のトリガーにはリコイルスライドを押すプレートの接合穴がありません。 穴が無くても正常に動作します。
このトリガーとハンマーの関係は、コンマ何ミリと言うくらいの微妙な物です。調子悪いからと 自分で削ってみて、まったく動作しなくなっちゃいました。デンジャラス領域です。少しでも動くのなら 触らない方が賢明かもしれません。
(7) 刻印
2.5in にはスナブノーズマグナムと刻印があります。
古いモデルは、左側にS&W を真似たMGC マークの刻印が入っています。
左の古いグリップにも逆さS&W のようなMGC マークが見られます。
今回用意した一番古い物の右サイドには、でっかいMGC マークも入っています。
したがってこの古いモデルには、両面にマーク刻印が入っています。
sm期以降の製品のマーク刻印は、両サイドともに無くなりました。
S&W 社のリボルバーには、左右どちらかにこのマークがあります。両面にはありません。左ならば小さなマーク。 右なら大きなマークが入っています。
(8) あとがき
古い物から新しい物まで借りてきました。内ひとつは自分のものです。高校生くらいの時に 購入した物です。懐かしくっていろいろ書いていたら22枚も写真を使ってしまいました。ブラウザが重かった人には、 ゴメンナサイです。
今見ると、いまいちなモデルですが、これを当時に販売したMGC の先見性に頭が下がります。
このモデルがあればこそ、その後のリアルメカ搭載品の出現があったのでした。
S&W の風は、じゅうぶんに感じられる製品でした。
おまけ