日本初?

写真14

この紋所が目に入らぬか!えっ?何?浦和って書いていますね。

そう、これこそ、わたくし認定「日本初のオリジナルモデルガン」の MGC・VP-2 です。


写真00

マニアの方は皆さん知っているように、実際にはホンリューモーゼル(ハドソン)の方が 1〜2ケ月早くに発売されたようですが、モデルガンという言葉自体はMGC が考え出したものですので、個人的には 、これこそ初のモデルガンです。


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これもよく知られているように、実銃のワルサー・モデル2とは、すこし形が違います。
当時のMGC は、オモチャらしく「実物と瓜二つではなくて良い」という発想でした。

でも、できたらトリガーガード下の部分は曲線にしてほしかったです。
直線と円による構成は、質実剛健のブローニング氏の流儀です。
フリッツ・ワルサー氏のトリガーガードは曲線で構成されています。 トリガーガードは、機能による制限のない箇所ですので、設計者の持ち味が出る部分です。


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右は、MGC のオリジナル・ホルスターと聞いてます。
箱は、自分で適当に作ったもので、本ページ最初の写真の箱が正規の物をコピーしたレプリカです。 このページ下の方で再現した物をダウンロードできます。


写真02

この2個のVP-2 は、両方ともBタイプです。レストアされたものです。

のちに出てくるMGC ベレッタポケットの様なマガジンキャッチです。


刻 印

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刻印図 この2個の個体の刻印は、紙箱のイラストにあるものと同じです。初期の製品だと思います。

後期には、イラストのように刻印が変わりました。

あれっ?イラストの方はVP の刻印が無くなっていますね。

ちなみにVP とは、ベスト・ポケットという 意味だそうです。背広の下に着るベストです。


ABCモデル

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VP-2 には、A、B、C のモデルが存在していたようです。
それぞれに組み立てキットがあったようです。これは、売れすぎて組み立てが間に合わないために 、用意されたものだそうです。


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Gun 誌の1963年(昭和38年)3月号に初登場します。これを見ると最初の頃は、A、B型の2種類だったようですね。 Aが発火なしタイプ、Bが発火タイプでコブラキャップという輸入キャップ火薬を 使用します。

この前月号には、ホンリューモーゼルが広告に載っています。また、もっと以前の月刊ガンファンでも コクサイの広告に載っていますので、ホンリュウモーゼルの方が、VP-2 より前に発売されたのは間違いないでしょう。


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左のモデルには、B刻印の前にと打刻されています。これがコブラキャップ用だそうです。
コブラキャップは、威力が強すぎて発売禁止になりました。


メカを見る

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元祖タニオアクションです。

モナカ割りのフレームに、キャップガンからの影響を強く感じます。
メンテのし難さなどから、VP-2 以降のモデルのタニオメカは、フレームの外側に移行しました。

内側にあるメカ、モナカ割りフレーム、ツーピースのスライドなど、初めてのオリジナル・モデルガンを、いかに造るかを試行錯誤した跡がうかがえます。


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バレルは、フレームに両側から挟まれて取り付けられます。
フィーディングランプの部分がすぐに折れそうですね。

写真16 このバレルを凸に嵌めてモナカで押さえるというのは、実はヒューブレーからヒントを得ています。 ヒューブレーにはバレルがありませんが、フレームの設計にはいつでもバレルがセットできるように なっていました。


写真10

トリガーの戻りスプリングは、こんなに小さなものが付いています。
メカが内側にあるために、のちのモデルに見られる、大きなピアノ線捲きバネは 使用されていません。取り付ける場所の余裕もありません。


写真11

スライドとフレームを結びつけるのは、別部品のブリーチです。
スライド天辺のネジで結合されています。ブリーチの凸がフレームのミゾとかみ合います。
スライド自身はストレートです。スライド上のネジの締め加減で、うまく動くかどうかが決まります。


写真12

フレームに挟まれたバレルが見えます。エジェクターは、存在していなくて マガジンの縁が担当しています。


日の出のMGC

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日本経済が、豊かになっていくのに従って趣味の世界も広がっていきました。

キャップガンからみれば、そうとう本格的なモデルです。当時は、飛ぶように売れたそうです。 このあとMGC は、チーフを製作し、次に初代PPK を発売します。
品質もどんどん良くなります。当時の日本のモデルガンは、すべてといってよいほど MGC が供給していました。まだ、MGC は直販していなくて、マルホコルト(堀内商店)や、江原商店(CMC)、コクサイ、マルゴーなどが販売していました。
エンジン全開、乗りに乗っていたMGC でした。

VP-2 は、壊れやすかったのか、長くは製造されなかったようです。
矢継ぎ早に発売されるモデル群の中でしずかに消えてしまいました。


最初と最後

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1977年(昭和52年)に銃身分離型・金属モデルガンが発売禁止となり、写真のGM-3 まで発展した 素晴らしい自動拳銃たちは、永遠に去っていってしましました。

VP-2 からGM-3 まで約15年の間にハンドガンだけでも30機種を超える製品を生み出した MGC です。そのスタートを記した、大きな歴史を感じる小さなVP-2 でした。


おまけ・その1

クリック開きます コピーレプリカ箱より自分で書き直したVP-2 用の箱です。
新品状態を正確に再現しました。

ダウンロードしてドキュワークスで印刷して組み立ててください。

上箱と下箱の2ページになっています。

見るには富士通のドキュワークス・ビュアー(無料)が必要です。
◎レプリカ箱の作者様、使用許可くださいましてありがとうございました。


おまけ・分解図

分解図へリンク


資料追記 2018/11

匿名様から大変貴重な資料をいただきましたので掲載させていただきました。 チラシ写真08

ワルサーVP の最後の値引き販売のチラシです。また、その後のVP ターゲットやチーフスペシャル、数年後になるブローニングまで 言及されています。これを見るとMGC の開発は、かなり計画的だったと思われます。 また、ワルサーVP 2 の金型は、VP ターゲット用に改修されたようですのでチラシにおいて最後のチャンスと書かれているのでしょう。


資料追記 2024/01

取説その1

チラシ01_1 チラシ01_2

チラシ01_3 チラシ01_4


取説その2

Aモデルが消滅しています。

チラシ02_1 チラシ02_2

チラシ02_3 チラシ02_4