まさに、まぼろしと言えるMGC のターゲットピストルの写真をいただきました。
オーナー様、K様まことに有難うございました。ここに記事を書かせていただきます。
このモデルガンは、あまり売れなかったのか、現在ではめったに見かけることはありません。
まさにマボロシとなっています。
今月号(2010年9月号)のGun 誌のくろがねさんの記事に使用された物と同じものです。
くろがねさんの記事と似たらいけないので私は見ていません。
もっと掘り込んだ考察がなされているでしょうから、ぜひGun 誌もお買い求めください。
それにしても、素晴らしいコンディションですね。もともと火薬を使うモデルガンなので ボロボロになっている物しか見たこと無いです。
ご提供いただいた写真のモデルのグリップは、後期のものでしょうね。
当初は、イラストのように本物のターゲットタイプのようなグリップが着いていました。
刻印
左サイドには、このGun の名前である「ターゲット・ピストル・TP19-63M」と刻印があります。
正式名称はその通りなのでしょうが、MGC グラフィティにもあるようにVP ターゲットの名称でも呼ばれています。 この、19−63M って何の意味があるのでしょうか?
と、思ってよくよく眺めていたら・・・1963年のことかなぁ。
反対側には、Cal 8mm CAP & BULLET と、書いているように火薬と弾丸を使用します。
プラスチック製の弾丸をバレル先端のシリンダーに仕込み、カート先端部に入れた火薬の 勢いでその弾を発射するモデルガンでした。
作動方式
バレル先端のシリンダーにプラスチック弾を入れます。五連発です。
次にマガジンに五発火薬を入れた真鍮カートをセットし、スライドを操作し発火させます。
発火方法は判らないのですが、トリガーの位置から言ってタニオアクションではないのは間違いありません。写真はマガジンリップでスライドが停止しているところです。
銃口は合法処理されていますが、かつてはここからプラスチック弾が飛び出しました。
シリンダーには小さなノッチが在りますね。止める工夫もされていたのでしょう。
一回、発火させるたびに手動でシリンダーを回転させます。
メカ
メカは、基本的にワルサーVP-2 をそのまま流用しているようです。
サイドプレートの割付やマガジンキャッチなどそのままです。
なお、図のマガジンキャッチ切り欠きは、本当は反対側にあります。
こちらは、MGC 初のオリジナルモデルガンであるワルサーVP2 です。
かなり流用されていることが解ります。
MGC は、このVP-2 よりも前にコマンダーという弾丸発射モデルを販売していましたが、警察により販売中止に 追い込まれた経験がありました。そのリベンジなのか、VP-2 のあとに弾丸発射モデルを選んだのでした。
登場
Gun 誌で探したら1963年(昭和38年)6月号のマルホコルト商会の広告に出ています。
マルホコルトは後の堀内商店で、この当時販売を行っていなかったMGC の販売代理店のようでした。
同じページの右には国際の文鎮14年式が載っています。マガジンだけ抜けるという物でした。
ハドソンのN-1 14年式はまだ登場していない頃です。
翌月のGun 誌にもっと詳しい記事が出ています。
おなじく右側には、中田商店のコルク弾を発射するウッズマンが出ています。
7月号の広告のアップですが、この宣伝文句を見るとマルシンのウッズマンのように スライドアクションで発火したのでしょうか?
同じく中田ウッズマンのアップです。広告には実物大と書いていますが、実際には本物よりも大きなものでした。 六人部氏の原型です。根本さんの名前もありますね。
私は、このウッズマンが大きな拳銃だったせいで、望月三起也先生のワイルドセブンで主人公の飛葉が ウッズマンを持っていたのではないかと思っています。先生も大型拳銃だと勘違いしたのではないでしょうか?
箱 絵
ネットで拾った不鮮明な絵から起こしているので、文字などは適当ですが、デザインは概ねこんな箱でした。
チラシ
チラシの程度の良い画像をいただきました。有難うございます。クリック拡大できます。
原画イラスト
チラシや箱に使われた原画と思われるデータをいただきました。匿名様ありがとうございました。 クリック拡大できます。MGC製作ニュース
MGCニュースの程度の良い画像をいただきました。有難うございます。クリック拡大できます。この号には、他にチーフ1型のことが書かれています。
販売自粛
上記写真の半年後のMGCニュースです。 これを読むと、VPターゲットの発売を自粛することが書かれています。発売禁止ではなく、中止です。たったの半年くらいしか 売られていなかったのですね、どうりでめったに見ないはずです。また、左側には神保会長のがん闘病記が書かれています。MGCという名前を付けたことにこだわりがあることが伺えます。 それで2010年「MGC をつくった男」という本を出版したのでしょう。また、2018年にも改訂版を自費出版しています。
感 謝
素晴らしいコンディションで、保存されているオーナー様に敬意を表します。
また、写真を提供下さったK様有難うございました。
おかげさまでマボロシと言えるモデルガンの記事を書く事ができて感激でした。
有難うございました。