右図のように東海岸にあり、二つの川があったことから水力を利用するのに最適だと見込まれたようです。まだ水力発電は無かったので、水流の力をそのままベルトなどで利用していたのでしょう。その後の南北戦争では大激戦地になったようです。
ここで作られたフリントロック式ピストルが米軍史上初の自国製ピストルだったようです。
なかなか歴史ある拳銃ですが、残念なことにミロクの銃床部分は他のモデルと同じものが流用されています。
●参考wiki
https://en.wikipedia.org/wiki/Harpers_Ferry_Armory
登 場
ミロクのハーパーズフェリーとしては、この号への登場が初めてのようです。写真のようにブラウンベス・ピストルと同じ銃床を使用しています。ミロクとしての初登場はいつ頃なのかな?と、調べてみると1970年5月号のINT (のちのコクサイ)の広告に見られました。 また、1976年10月号には、実銃の輸出モデルについての記事があります。ミロク精機(ミロクのグループ会社)のレポートは なかなか面白いです。そこにはバレルは鍛造ではないと書かれています。弾頭スピードが無いので鋳造でOKだそうです。
外 観
バレルの下側にラムロッドを咥え込む鞘のような部分がなかなかに格好いいです。バレルが上下2連のように太く見えます。
ホーケンライフルにも同じようなラムロッド覆いがバレルの下に備え付けられています。時代はホーケンさんの方があとで、 ハーパーズのレイアウトを真似て作ったようです。右写真には、アメリカ軍用拳銃の証、US刻印とイーグルマークが打たれています。残念ながらサビで良く見えませんが・・・。
サビ取り
そうなのです、この個体はお預かりしたときには、素晴らしく錆びていましたのでオーナー様了解の上で簡単に錆びを落として ガンブルーを塗っています。バレルの錆は、リューターにサンドペーパー・ディスクをセットして軽くこすって落としました。 他の機関部は真鍮ブラシでこすっただけです。あんまりピカピカにしてもおかしいので・・・。
ちなみに米国では、アンティーク銃を再仕上すると価値はゼロになるそうです。判定は厳しいです。
実物写真と比較
上2個は実物写真で、3番目のイタリア・ペデルソリはレプリカ品ですが良く出来ていると思います。ロックアイランド・オークションの諸元にはバレルは10インチと書かれています。 ミロクのハーパーズが他の物に比べて不格好だなぁと思えたので、ひょっとすると短いのかなと思いバレルを計るとちゃんと10インチでした。では原因は、やはり木部が太いせいなのでしょう。またグリップエンドの飾りやバレルキーはミロクでは簡略化されています。グリップ角度も、もうすこしググっと曲がっていた方が似ているのではないでしょうか?(ミロクは他の銃床の使いまわしなので止む無し)
参考URL
メ カ
前方にある2本のピンの先端よりの物は、真鍮部材を止めるための物でバレルには関係ありませんでした。バレルは2本めの ピンのみで止められています。実銃ではここがキー止めになっています。
機関部はいつもの頑丈なタイプです。右写真のように チャンバー部分は、安全のため下方が半分に削られています。バレルを閉塞している金属棒の痕跡も見えます。
箱など
アンティーク・ピストルと書かれた赤い箱と飾り台が付属しています。
参考ビデオ
左の実射ビデオは、大変参考になります。歴史まで解説してくれて有難いです。
また、右の分解ビデオでは、細かいパーツまで
見ることが出来ます。
●実射ビデオ |
https://www.youtube.com/watch?v=iBUBGR_TbCs&t=115s |
●分解ビデオ |
https://www.youtube.com/watch?v=NgQMAK5Uvqg |
参考分解図
ミロクの分解図はありませんので参考まで、イタリアの復刻銃器メーカーDEVIDE PEDERSOLI 社のハーパーズフェリー分解図です。同社のホームページからPDF で ダウンロードできます。
おわりに
ミロクのホーケンライフルと共に並べています。両者は時代が違いますが姿かたちはよく似ています。ハーパーズフェリー・ピストルは歴史深い製品なので専用の銃床やバレルのキー止めなどを再現してほしかったところです。 でもなかなかいい形のピストルの紹介でした。