

借りてきました、中田商店のSAA です。手前のカートは実物ダミーなので入りません。
このモデルは、CMC2型のコピーのようで貫通シリンダーを装備していますので カートは首が伸びるヒョロ長いものでした。

にょろーっと伸びたハンマースパーがCMC 2型にそっくりです。
おそらく、設計者は実物を参考にしておらずCMCを参考にしています。

トリガーガードの形状やフロントサイトがいまいちですね。
1966年にルガーP-08 でモデルガン製造に乗り出したナカタの最後のモデルになりました。
刻 印

このころから中田商店はトーキョー・レプリカ・コーポレーションを名乗っています。
中田商店が組織替えしたものではなく、新たに販売会社を作ったのではないでしょうか?
TRCは、1978年(昭和53年)に倒産したそうです(1982年Gun 誌 根本氏の記事より)。

バレルにはシングルアクションアーミー45と、あります。
フレーム右側にはシリアルらしき番号があります。
この個体は、46年(1971年)の金色規制以後sm自主規制が始まるまでの間の 1972 〜 1974年ごろに製造されたものでしょう。
登 場

1970年11月号のGun 誌に広告が出ています。まだ昭和45年なので黒色、銃口開きで販売されていました。

ルガー、ワルサー、トカレフ、ハイパワー、エンフィールド、フレンチと第二次大戦に使用された銃ばかり 作ってきたナカタは、TRCの名のもとにSAAという今までの路線とかなり離れたものを製造しました。
もともと、社長である中田氏の戦争博物館を作りたいという発想から大戦中のモデルを製造してきていましたが 、路線変更は、すでに今までの作品で一応のゴールを見たということでしょうか?
それともほかに何か理由があったのでしょうか?私は詳しく知りませんが、CMCがコクサイ、ナカタの居る 玩具組合から対立し抜けた時期があったらしいのですが、それがこの時期なのでしょうか?
グリップ2種

跳ね馬マークのグリップが付いたものを貸していただきました。
オーナー様、有難うございました。

馬マークの出来が非常に悪く、フレームともカーブが一致していないので、私はてっきり他のモデルのグリップだと思っていました。

ところが、裏を見るとナカタの鹿角模様グリップと全く同じ作りでした。
この出来の悪いグリップもナカタ純正だったのですね。驚きました。
オーナー様、ちがうグリップだなんて言って申し訳ありませんでした。

結局、グリップは2種類があったことが判りました。
馬のマークの方が初期型のようです。
CMC と比較

ナカタのSAA は、CMC 2型のコピー品だと思います。
右がCMC 2型です、俗に68型と呼ばれるものです。にゅうっと後方に伸びたハンマーが特徴ですが ナカタの方が、より長いですね。

大きさがほとんど同じなのでシリンダーを入れ替えてみましたが、入ることは入ります。
作動は、調整しないと出来ないようです。

このフレーム形状を見るとコピーだとよく判ります。

CMC 2型は、初期の頃は、やけに大きなトリガーを装備していましたが、それとそっくりなナカタの トリガーは、湾曲が大きするために、作動させるのにトリガーガード基部が肉抜きされています。
CMC メカと明らかに差が付いている箇所です。

シリンダーは、CMCと同じくスッポンポンの貫通シリンダーです。
右写真のカートは、MGC のガンベルト用カートです。

CMC の方は、安全性を考慮してスリットが大きく設けられているのに大してナカタの方は、 ほとんどスリットがありません。この形は、コクサイ1型SAAと同じです。

チャンバー径は、ナカタはかなり小さくご覧のようにCMC3型カートが入りません。
CMC 2型には使用できます。鉛弾頭のカートはMGC ガンベルト用です。
ナカタのチャンバーにちょうど良い大きさです。
カート

写真のカートは、CMC 2型の物ですが、ナカタのカートも同様な形状でした。前撃針はバレル後端にあるためカートの首が伸びるようになっていました。カートのバラシ方がよく判りませんが・・・。
この形式は、火薬のカスが前撃針に詰まるとカートの首が伸びっぱなしになって、にっちもさっちも行かなくなる危険がありました。
メ カ

メカニズムって言ったってSAAは皆さん実銃を良く模しています。
トリガーネジ、ボルトネジは、CMC 2型やアサヒイーグルのようにネジの先端部に山が切られています。 トリガーがやけにでっかいのが判ります。

ローディングゲートのバネもCMC と同じでフタのネジがありません。

ボルトはプレス品です。ハンドはCMC 3型に似ていますね。借り物なのでこれがナカタ・オリジナルかどうか よくわかりません。
現代銃と比較

造形美の極み、マルシンのバットマスターソンを参考に並べてみました。

左からCMC 2型、ナカタ、バットマスターソンですが、昔のモデルガンのSAA がみなさん同じように 分厚いフレームなのに対し、バットマスターソンの先細り勾配は、かなり急なことが判ります。
実銃の資料が充実していて、質の高くなっている現代に感謝です。


私が初めて新品で購入したモデルガンは、ナカタのハイパワーでした。それに付いてきたカタログに 載っているワルサーマークのTRCは、なんだか高級品を思わせる胸がときめくマークでした。
このマークこそが私のモデルガンの原点でした。
大学へ進学したころ倒産してしまったなんて全然知りませんでした。もうその頃にはモデルガンに惹かれなくなっていました。

昔懐かしいTRCマークを拝見させていただき、感慨深かったです。
でも、どうしてこの質の悪いモデルを作ったのでしょうか?
私の思い出の「輝ける高級ワルサーマーク」のTRCは、どこへ行ったんでしょう。
疑問ばかり出てくる不思議なモデルのご紹介でした。
46年規制後、中田商店はモデルガン製造販売から撤退し、製造会社であるマルシンへと製品は引き継がれました。ですから出色のバットマスターソンもTRCのSAAも従兄弟のようなもんですね。 TRCの血は絶えず流れていると思うと嬉しいです。
おまけ
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