登 場
2003年のGun ダイジェストに載っているので2002年ごろの発売でしょうか?その後調べたら2002年のGun 誌 3月号にはモデルガン屋の広告に出ていますので、2001年の年末か2002年の年初めくらいに 発売されたものと思います。
書籍掲載
2007年のガンズダイジェストの紙面です。価格は5%の消費税込みです。
外 観
おそらく伏せての戦いを想定して弾倉を横から入れる形式に作られています。おかげでこの時代のサブマシンガンの デファクトスタンダードとなり、似た形の銃がたくさん出現しました。
ルガーのスネイルマガジンを付けた実銃写真もよく見かけますが、CAW さんのは普通のボックスマガジンです。 32連?と22連?がモデルガン化されたようです。実銃のMP18 ではシリアル1番は、普通のボックスマガジンです。 スネールマガジン仕様は、銃が完成してから改良されたようです。ドイツ軍は もともとルガー8インチをフルオート化するつもりだったようですが、うまくいかなかったので、スネールマガジンが MP18 用に回ってきたという事情のようです。
なんとも素晴らしい仕上がりですね。カチッとした感じです。
刻 印
実銃写真と比較しています。設計者のシュマイザーさんの名前が光っています。
シュマイザーさんは、父親がベルぐマン社で働いていたのに全然有名にならなかったせいなのか、ご自身では 名前をを必ず銃やマガジンに刻んでいます。パテントにはうるさい人のようです。のちに訴訟合戦もありました。
実銃写真と比較しています。下の実銃にはセフティが付けられています。このようなMP18 写真も多く見られます。 おそらくボルト閉鎖時にロックする物でしょう。ボルトが閉鎖しているときに銃床を下にして銃を落とした時に ボルトが反動で動いて装填発射してしまわないようにするものでしょう。
お、惜しい・・
うーん、なんとも惜しいところ、穴の 7つ目にスリングスイベルが付かないといけないのですが、CAW さんは 8個目の 穴に付けられています。マニアは、こんなどうでも良いところが気になるもんなのです。スイベルは、工夫して実物に似せています。実銃のように加工するのは大変なのでしょうね。
参考サイト
https://ctfirearmsauction.com/auction_item/bergmann-mp-18-smg-registered-dewat/
スイベル移動
オーナー様がスイベルを移動してくれましたので、追加で写真を掲載しました。有難うございました。
実銃の方は、スイベルは移動できないそうです。
海外サイトより転載
http://airsoft.tiger111hk.com/p13468/Craft-Apple-Works-Real-Wood-Metal-Bergmann-MP-18-SMG-Cap-Gun/product_info.htmlCAW に FG 42用のようなスリングが装着されています。カートはブローバック用のようです。 本当のスリングは、Gew98 用の物が近いです。
メ カ
ストレートブローバックでディスコネクターもないのでシンプルこの上ない作りです。本体テイクダウンのロック部品は リコイルスプリングの力で押さえられています。CAW のシアボックスは右写真の実物同様に下がスッポンポンでトリガーバーが丸見えです。
右の実銃写真のヒンジ止めは、ワッシャー2本ネジ式ですね。下の方の記事に書いています。
バレルとジャケットはスチールのようです。
モデルガンなのでファイアリングピンは無いのですが、それをセットした形でボルトは作られています。
これは、実銃写真ですがCAWさんは、レシーバーエンドの下の出っ張り部分を省略している事が分かります。
https://www.billstclair.com/weaponsman.com/index.html%3Fp=16398
六研への憧れ?
1975年6月号のGun誌 広告です。このころ六研は、ウエスタンアームズと手を組んでいたころです (すぐに離れましたが・・・)。 CAW の社長宅にお邪魔したことがありますが、その時階段の隅にベルグマンが無造作に置かれていたのを覚えています。 CAW の社長も私と同じ歳なので六研に憧れたけれど手が届かなかった年代です(まだ子供でしたので)。ですからCAW でMP18 を作ったというのは、あの頃憧れたけれども届かなかったという心のへこみを、埋めて 征服したかったのではないでしょうか?単に私の想像ですが。
ところで広告写真のMP18 は、ボルトのセフティがある実銃の写真ですが、製品化した六研やCAW の物は セフティが無いタイプです。
分解図
英語ですが、モデルガンフォーラムの http://mp40modelguns.forumotion.net/ から取ってきました。クリック拡大します。
おそらく左側の絵のみが、CAW 製品に付属したもので右側のパーツ名の表と番号は、フォーラムの人が作ったと思われます。
重箱の隅つつき隊
上記分解図と実物の分解図を見比べていて面白いことに気が付きました。ヒンジのパーツの止め方がCAW と実物では違うのです。えっ?そんなのどうでもいいじゃないかって? いやぁ、そうなんです。どうでもいいのですが、CAW 製品が買えないので悔しくって、かわりに最近購入したアローダイナミクスの 中華電動ガンのMP18 がCAW と同じ構造なのです。おそらくCAW を参考にしたものと思われます。
本物のMP18 のヒンジパーツは、ストックの内側から2本の木ネジで固定されています。右図の 9e です。ライセンス生産された スイスのSIG 1920 もこうなっています。
MP28 分解図
これは、MP28 サブマシンガンの実物の分解図でシュマイザーさんがハーネル社で設計したもので、MP18 のフルオート専用だったものを セレクターで切り替えれるようにし、リコイルスプリングも改良された物です。この図の48,49,50を見てください。ヒンジパーツは、ストックの底から一本のネジで止められています。 CAW のモデルと同じです。そう、CAW はMP 28 を見本にしたのではないでしょうか?
MP18 電動ガン
アローダイナミクスのMP18 、造っているのは、おそらくスノーウルフです。型番がSW-021 です。
ごらんのようにCAW や実銃のMP28 と同じようなヒンジ止めスクリューが見られます。CAW を外観コピーしたのではないでしょうか?
こちらユーチューブで見つけたCAW のMP18ですが、上からの一本止め貫通型ですね。
この人はすごいですね、完全分解もしています。
https://www.youtube.com/watch?v=oZEho3DWejQ
探せばあるもので、こちらにもありました。
MP28 と違ってCAWさんは、ストック内にネジ頭があります。
いろいろパターン
ネットの写真で調べていたら、内側からの2本ネジだが貫通させて補強プレート付きの物もありました。 色々なパターンがあったのでしょうね。写真は、左から図面どうりの物、外側に貫通タイプ、MP28 の一本止めタイプです。紙 箱
実銃のお話・パテント争い
このテレスコピック・リコイルスプリングは、シュマイザー兄弟の特許です。右写真は、それを使用したMK36 サブマシンガン プロトタイプです。シュマイザーさんは、木製ストックが銃の必須条件だと思っていたようです。弾が尽きたら殴れますので。
右写真のページはこちら↓
https://www.mp40.nl/index.php?page=mp36-2
憎っくきフォルマー
この写真の試作機がのちの何になったかは、言わずともわかりますね。ハインリッヒ・フォルマーさんの作です。 フォルマーさんは、シュマイザーのテレスコ式リコイルスプリングを改良して2個パテントを取っています。 シュマイザーさんは、盗まれたと言ったそうです。訴訟を起こしています。そっちがその気なら
頭にきたシュマイザーさんは、MP40 にMP28 の機関部を付けてMP41 を作りました。これは逆にエルマ社から訴えられました。 銃床が必要だと考えていたシュマイザーさんにとって、このMP41 は理想の姿をしていたのかもしれませんね。上記ビデオは、こちら
https://www.youtube.com/watch?v=U5eKWnZx6RE
親族一同
ヒューゴ・ベシュマイザーさんがベルグマン社で開発したMP18 と一次大戦後会社を辞めてハーネル社で開発したMP28。 セレクターとリコイルスプリングが違います。
左はスイスのSIG 社で正規にライセンス生産されたSIG 1920。右はダンケルク撤退で銃器不足に陥ったイギリスがMP28 を勝手に コピーして作ったランチェスター(設計者の名前)。作っていたのはスターリング社です。そう、のちにサブマシンガンの ロールスロイスと言われた銃を製造します。
ランチェスター検索は→ Lanchester submachine gun
おわりに
間違いなく天才肌の設計者ですが、なんとなく暗いイメージが付きまとうシュマイザーさんです。 ベルぐマン社に何十年と務めていながら日の目を見れない父の姿を反面教師にパテントにうるさく なったのかもしれません。シュマイザーさんは、一次大戦のころ、小銃と騎兵銃のみの時代に、銃器界に革命をもたらすサブマシンガンを 量産では世界で初めて開発に成功し、また第2次大戦時には小銃とサブマシンガンの中間射程に使用する アサルトライフルをこれまた世界で初めて実用化しました。時代を大きく変える発明に2回も関わっていますが なんとなくマイナーな感じが漂っています。2次大戦後は、ソビエトに連れていかれ 帰ってきてすぐに亡くなるという、あまり幸せではなかったかもしれない最後だったようです。
匿名様、シュマイザーさんに思いをはせる機会を与えてくれた写真をたくさん頂き有難うございました。
参考書籍
The Schmeisser Myth: German Submachine Guns Through Two World Wars ハードカバー日本のアマゾンでは2万くらいの本。
内容は、最高に良いです。
このWEBページのパテント図はこの本からです。
MP18、MP28、MP34、MP35、EMP、EMP36、MP38、MP40、MP41など。
弾薬やポーチなど。