登 場
登場は1972年(昭和47年)のようです。長物のラインナップが充実しています。価格は17,000円だったようです。
この頃モデルガン業界では、46年に決まった新たな法律、すなわち銃口閉鎖、黄色塗装によりハンドガンのモデルガンは
売れなくなると予想され、長物に生きるすべを見出そうとしていました。
が、実際には金メッキもOKとなり、光り輝くハンドガンは売れ続けていきました。
カタログ写真
昭和52年12月発行のCMC Vol.4 のカタログ掲載写真です。
かなり古くから最後の方まで写真の3種類が販売されました。すなわち通常の黒色モデル、 ニッケルメッキ・モデル、エングレーブ・モデルです。
エングレーブ
昭和50年(1975年)12月号のGun 誌 広告の写真です。このエングレーブにあこがれたものでした。 なお、広告の文句にあるチーフとは、アサヒイーグルをコピーしたCMC 1型チーフの事です。NGC と比較
モデル73を発売したMGC から4年後にCMC がモデル92を発売しています。本物の銃器でたどれば、この2種の間にはほぼ20年も開きがあります。 レバー操作での装填、排莢という動作は同じですが、ロック機構がまるで違うので、モデル92の方が 強くて頑丈なのにすごくコンパクトにまとまっています。
メ カ
もともと原型師の六人部さんが実銃を計測したそうなので、ほぼ実銃通りに作られています。欠 陥
ほめてばかりなので欠陥を忘れるところでした。写真のようにカートを全部入れずに次のカートを装填しないと 入れることができなくなります。これについてはK'z さんが詳しく書いています。下記参照https://m1garand.exblog.jp/29434136/
ネットにあった実銃パーツ表との形状比較です。
smG 型
smG 型なので銃身が詰まっていて発火用のバイパスがあります。また、プランジャー型エジェクターは廃止になり ボディに板状のエジェクターが新設されました。また、フィンガーレバーとボルトを結合する部分が2枚から一つに減らされています。この3ヶ所がsmG 型になって実銃とは違う構造に変えられたところです。
実物図と比較
CMCの初期型モデルガン分解図(右)と実物の分解図(左)を並べています。
これがこのモデルガンのすべてを物語っています。全く同じ作りです。 ブローニングの名作は、力が無理にかからないので亜鉛合金でも、うまく動くものが多いです。 例えばガバメントのモデルガンは、オール亜鉛でもちゃんと動きます。 このCMCウインチェスター92もその仲間でしょう。作動もチャキ・チャキッと動きます。
ロック機構
ボルトへ2枚のロック板が噛みあって強固にロックします。これで強力な弾も発射できます (実銃の場合)。それまでのモデル73には、これといったロック機構は無いのではないでしょうか?トグルの一直線化によるロック機能は少しはあったのかもしれませんが・・・。M92用ブローニング特許
特許図では、チューブマガジンではなくってボックス・マガジンですね。当時、マーリン・ファイアアームズのレバーアクションが躍進してきてウインチェスター社もM73 のテコ入れを 考えてブローニングさんに話を持ち掛けたところ、彼は一か月以内に試作を完成させると豪語しました。 それもそのはずで、実はモデル92は、その前にウインチェスター社へ提供されたモデル86のスケールダウン版でした。
モデル1886
ウインチェスター1886は、ブローニングさんの設計ですでに発売されていたモデルで 大口径の長いライフル弾を使用できる、強固な機関部を持っていました。モデル1885
86の機関部はウインチェスター社とブローニングさんを結び付けた最初のシングルショット・ライフルの機構によく似ているのです。この銃からブローニング設計、ウインチェスター社が商品化するという王道が始まりました。ハンマーまでブロックと一緒に動くのが面白いですね。
ジョン・ブローニングさんは、1902年に自動式散弾銃の件で意見が食い違い、別れるまで19年もウインチェスター社のヒットメーカーを演じました。
ちなみにウィンチェスター社が作らなかった自動散弾銃は、ヨーロッパではオート5、アメリカではレミントン11として
発売され世界中で大ヒットしました。
バレル刻印
写真はCMCのバレル刻印です。キングスさんのパテントって何でしょうか?ちょっと調べてみました。1866年のネルソン・キングさんのゲート式装填孔の特許でした。イエローボーイですね。
ニューヘイブン・アームズでヘンリーライフルをヒットさせたウインチェスターさんでしたが、ヨーロッパへ売り込み旅行中に ヘンリーさんから会社を乗っ取られて、対抗処置でウインチェスター社を作りました。
そうしてネルソン・キングさんの特許を使ったウインチェスター66を世に出し、ヘンリーライフルを蹴散らしたのでした。記念すべき特許でした。
写真のモデルガンは、上からデニックス・ヘンリーライフル、MGC イエローボーイ、MGC M73 です。
タング刻印
タング刻印は、どちらかというとモデル73のスタイルです。CMC のタングにはネジが一つ省略されていますね。
参考ですが、マルシンのガスガンの刻印は正確に実銃を再現しています。
カート
カートの弾頭は時期によって色が違うようです。弾頭先端にはキャップ火薬が入れられるようにできています。
アルミ弾頭が当初からの付属品で、赤銅弾頭が別売品であったとのご意見をいただきました。
有難うございます。
キャップ火薬
CMCでもキャップ火薬を作っていたのですね。紙 箱
各種特許リンク
モデル | Google パテントURL |
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モデル66 キング | https://patents.google.com/patent/US55012?oq=US55012 |
1885 ブローニング | https://patents.google.com/patent/US220271?oq=US220271 |
1886 ブローニング | https://patents.google.com/patent/US306577A/en?oq=US306577 |
1892 ブローニング | https://patents.google.com/patent/US465339A/en?oq=US465339 |
各リンク先でPDF ファイルをダウンロードできます。
おわりに
ウィンチェスター92は、のちに94へ進化し、より長いカートも装填できるようになり、名弾薬のウィンチェスター30−30 というカートを生みました。写真左の94は、ガスガンなのでボルトの後退量が少ししかなくって残念です。初期型・分解図
初期の製品は、エジェクターが実物のようにプランジャータイプです。分解図
後期型は、エジェクターが本体に設けられています。また、ガスバイパスが新設されています。分解法
おまけ
まったくCMC とは関係ないのですが、あれほど蜜月だったウィンチェスター社と関係を断ったブローニングさんの 死後の話ですが、第一次大戦中にガバメントをウィンチェスター社でも作る計画が進んでいましたが、結局は作られませんでした。 レミントンでは生産されました。写真は、そのときのウィンチェスター社のプロトタイプです。珍しいものです。 単なる偶然なのでしょうが、ウィンチェスターさんとブローニングさんの縁も切れたままだったようです。
上記写真のアドレスです |
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https://www.rockislandauction.com/detail/1039/704/winchester-marked-model-1911-pattern-prototype-style-pistol |