写真00 MGC が初めて作った長物のご紹介、構造はモデルガンというよりオモチャに近いですが、外観は鉄製で良く出来ています。

登場、チラシ

登場は1964年のようで、中田の二次大戦カタログNo.1 (昭和39年4月発行)には5月発売とありますが、写真は間に合っていないようで、実物大のグリースガンを掲載しています。説明書きには20連発となっていますが、その後のGun 誌1964年6月号では25発に変更になっています。

また、右のカタログでは、すこし値上げされています。 クリック拡大できます。


約60年も前の物ですが、今でもシッカリしています。
まぁ、作った方々もしっかりしているようですが・・。

外 観

写真01 海外製の電動ガンと並べています。ご覧のようにやや小さく作られているようです。
マガジンはかなり細いです。
写真02 チャージングハンドルの位置が、上の方に変更されています。これは、動力源のゼンマイバネを巻き取るために こうなっています。でもあまり違和感はありません。

写真03 刻印がバッチリと入っています。
写真07 本物と同じようにモナカ合わせで出来ており、溶接されています。
写真04 グリップの滑り止めのプレスも数は少ないですが、きちんと打ち込まれています。
写真は左がMGC で右の2枚は実物写真です。
写真06 このようにバレルはネジ込まれていて、チャンバーも撃発機構もありません。
写真11 ワイヤーストックには、実物同様のロック溝も切られています。しっかり製作されています。

メ カ

写真08 下記に記載していますが、ここに掲載の物はいくつか部品が足りません。重要な心臓部分が無いので排莢遊びは出来ない状況です。
写真09 ボルトの作りは実物に近い形をしています。ガイドロッドに沿ってボルトが前後動します。
ゼンマイバネという弱い動力で動くのにボルトはかなりでっかいです。

排莢の仕組み

写真10 写真05

ボルトの下部でマガジンからのカートを5mmくらい前進させるだけで、カートはリップから外れて 下の弾に押されて排莢されます。MGC 初期のハンドガンのコルトスペシャルと同じ仕組みです。 ですからエジェクターもエキストラクターも存在しません。


Gun 誌の掲載

写真12 写真13

Gun 誌2003年3月号でくろがねさんが特集しています。その中の分解写真と比べると赤く囲ったパーツが このモデルには存在していません。

それは、写真左にあるカムと右にある前後移動するプレートです。右上のパーツは、どこにセットされてどういう役目なのか よく分かりません。ご存じの方がいましたらどうぞ教えてください。


教えていただきました
感謝 感謝です

写真22 CAW の社長様より教えていただきました。有難うございます。
ゼンマイの逆転防止装置でした。

そうですね、これが無いとハンドルでゼンマイにテンションをかけても、ハンドルを離したとたんにカムが回転して しまいます。エネルギーをトリガー引くまで貯めていられません。

設計の小林さんは、本物ではM1カービンと同じオイラーが入るところを四角く変形させて、この逆転防止装置をセットしています。本物を知り尽くしている造形だと思います、素晴らしいです。


ボルト前後動のしくみ

写真19 以下は想像ですので間違っているかもしれません。

まずカムケースにゼンマイバネをひっかけます。本体にセットしたのちにハンドルによって巻かれてテンションがかけられ ボルト移動のエンジンとなります。


写真16 トリガーを引くとプレートがカムによって前進しそれによってボルトも前進し、カートをマガジンリップから外します。 カムはゼンマイバネの力で回転し続け、プレートを後方へ押しやり、ボルトも後退します。

つまりラックアンドピニオンのような動きをします。現在の電動エアガンの元祖のような動きですね。

ただ、イマイチわからないのがボルトに前進のテンションがかかっているのが正解のようにも思えるし、トリガーがブラブラなので トリガーにも上へのテンションがかかっていてもいいかなぁ?なんて思っていますが、よく分かりません。 ご存じの方は、ぜひ教えてください。


教えていただきました
感謝 感謝です

写真23 こちらもCAW 社長様より教えていただきました。有難うございます。Gun 誌には写真が写っていませんでしたが、ようく見ると CAW さんのビデオにチラッと写っていますね。

ボルトへのテンションはかかっていませんが、トリガーへは上方へのテンションが板バネで掛けられています。 そうですよね、テンションかかっていないとボルトを後方でストップできませんものね。


写真17 この複雑な動きをたったの15mmほどの隙間の中で行わないといけません。カムとプレートの接点は、おそらく2〜3mmだったのではないかと想像しています。そこが、すり減ってくるとうまく動かなくなったことでしょう。

おわりに

写真14 MGC がまだPPKすら作っていない創成期のうちにこのように精巧なマシンガンのオモチャを作っていたことは驚きます。 こののちに名品となるプレス製作によるMP40へのおおきな足掛かりとなったことでしょう。

※カートはオリジナルは9mm×22でコルトスペシャルと同じなんだそうですが、手元に無いのでベレッタブローバックの 9mmショートを使用して写真を撮影しています。それでも動作はするそうです。


参考URL

写真15
K'z さんのブログ

https://m1garand.exblog.jp/25108109/

K'z写真

CAWさんのビデオ

https://www.youtube.com/watch?v=ZfS6sJcXFWM

CAW写真

紙 箱

写真18 ネットから取ってきました。紙箱写真です。

おまけ自作分解図

写真20 おおむねこのような構造だったのではないかという想像図です。
元にしたのは、以下のポスターから取ってきました。

https://www.etsy.com/listing/1021595451/m3-grease-gun-exploded-view-limited