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実物ストックシリーズを除くと中田商店最後のモデルガンとなった九九式短小銃です。

20数年モデルガン業界をリードしてきた中田商店の最後の仕事として、やはり38式小銃の後継銃であるこちらを どうしてもモデルアップしておかないといけなかったでしょう。もともと三八式歩兵銃から始まった中田商店の 第 2次大戦シリーズを締めくくるにふさわしいモデルガンだと言えます。


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タナカの2式モデルガンに入っていた中田の九九式の取説です。
日本軍の小銃は、ほぼ同じつくりなので取説は流用されているようです。

中田マーク

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燦然と輝く中田商店のマーク。99式は、中田撤退後タナカからも発売されていますが、タナカ製にはtw マークがあり、この 中田マークは入っていません。

ロゴマーク ちなみにマークをカラーで見ると右のようです。

もっと昔は円形だったようです。


登 場

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写真16 初めて発売がGun 誌に登場したのは、1983年(昭和58年)2月号のキヨノアームズさんの広告です。 その後、1983年5月号にジャック天野さんがモデルガンダイジェストに取り上げていますので、順調に発売されたようです。右写真

中田商店自身の広告には上写真の1983年 9月号まで登場していません。

中田商店は1977年の52年規制以降はモデルガン販売をやめていたようなので、九九式は製造しましたが販売は他社に お願いします、のような感じを受けます。


ちなみにGun 誌のカッターウエイ図を見ますと、中田のカートが実物よりも短い意味がよく分かります。 smG 規制でチャンバー前に インサートを置かなければならなくなったからです。

メ カ

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上写真は、ネットから取ってきた実銃の物です。中田のパーツも同じように並べてみました。 バレル、チャンバーは法律上仕方ありませんが、ほかの部分はほとんど同じ形をしています。 違うのは、ボルトストップ部分、クリーニングロッド固定部分、フロントサイトなどでしょう。

ボルトストップの部分は、中田38式のころからの伝統のネジで止める方式で変わっていません。実銃と違う方式です。 クリーニングロッド部分は、後期型のねじ込み式の物を再現しているともいえそうです。 フロントサイトは、一体式でバレルのパイプに叩き込まれています。


写真03

法律の52年規制により、チャンバー部の前方に超鋼インサートが存在していないといけなくなり、おかげでカート長が 短くなりました。また、タナカの2式テラ銃も連結方式を実銃と逆にしないといけなくなりました。

バレルパイプは、イモネジなどでは止まっていなくて、ただ突っ込んでいるだけでした。
寸法差が少なく作ってあり、 バラすのにかなりキツキツでした。ですから組み立ての時には、リアサイトをにらみながらセンターがずれないように叩き込みました。


写真04

リアサイトは、上の黄色矢印のタナカ製のようにネジがないといけないのですが、中田製にはありません。 99式短小銃は、中田からタナカへ引き継がれて販売されましたので、リアサイトのネジで中田製かタナカ製か 区別できるかもしれません。


ストック

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中田のストックは、きちんとアリ溝結合されています。左は、旧軍のアリサカ無可動銃です(機種は忘れました)。


銃剣取り付け

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実物のカット済み銃剣をセットしてみました。あと数ミリでロックするのですが、バレルが長すぎて不可能です。 中田製以外でもタナカ製のモデルガンにもこのような状態はよく見られます。わざと銃剣が取り付けられないようにしているみたいです。昔のモデルガンは、実銃グリップを付けられないようにしたり、マガジンサイズを変えたりしていますので そういう安全策の一環かと思われます。


無可動実銃と比較

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かなり程度の良い無可動銃をお持ちの方がいらしたのでお願いして並べて写真を取らせてもらいました。 リアサイトとクリーニングロッドは、オリジナルだか分からないとのことでした。


写真09

中田の造形も(作っているのはタナカだが)見事ですが、やはり実銃のくびれは良いですね。中田の方が すこし細くなりすぎのようです。


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上の本物には、水抜きの穴があけられています。


写真11

さく丈止めが、本物はボタンになっているのですが、中田の方は後期型のネジ込みタイプをコピーしています。


写真12

さく丈止めの関係でフロントバンドのネジがこちら側にもあるのが実物です。ボタンの両側から2本のネジで バンドを抑えていてもう一本と合わせて合計 3本で止まっていますが、 モデルガンは 2本の貫通ネジのみで止められています。

前にも書いていますが、中田はバレルが長いので銃剣がロックできません。写真を見ると一目瞭然です。左が無可動実銃です。フロントサイトひとつ分、中田が長いですね。


写真13

ボルトストップのネジ止めが、モデルガンです。この方式は、ミロクの38式歩兵銃のころから続いています。また、 その後のタナカの旧日本軍シリーズ全機種にわたっても続いていく機構になりました。


写真14

スイベルリングも中田ほど上下のカーブは違っていないような感じです。ネットで実物パーツの画像を探して みましたが、戦後何年も経っているので変形しているのか、製造時期で違うのか、平行長円の物と 中田のように少し斜めになるリングと2種類見られます。


終わりに

写真15

写真は上から38セットと、99セットです。99式の開発に当たって、短小銃のバレル長は、以前の騎兵銃クラスから伸ばされています。世界の情勢に合わせたものでしょう。

写真一番下だけが中田製ですが、その後を引き継いだタナカワークスによって、旧軍時代の銃器は各機種が再現されています。 戦争の記録を手に取れる形で残していきたいという創業者の中田 忠夫さんの意思は、見事に受け継がれています。 まさに中田商店オリジナル製品の最後を飾るにふさわしいモデルガン、九九式短小銃の紹介でした。


分解図

分解図

分解図