とうとう買ってしまったタナカのトンプソン。

昔のオークションでは、5,6万であったような気がしますが、最近は高いのね。
定価以上もかけてしまいました。競った人ごめんなさいです。
そのうち放流しますのでお許しを。


M 1 じゃない?

写真01 いきなり買いたくなったのですが、それには理由があるのです。
どこかのブログでタナカのトンプソンは、省略されていてM1 では無いという記事を読んだからです。 へぇー、そうなの?ホント?っと疑問が生じてしまいました。謎を抱えると解決したくなってたまりません。 どんどんと、欲しい度が増していきました。

そうして入手したものを見て、即座に解決しました。ご覧のように左のタナカはファイアリングプレートが ボルトブリーチ面に出ていません。そのため一見するとM1A1 に見えちゃいます。右は、CMC です。


いえいえハンマー有りです

写真02 でも、下の方を見るとちゃんとハンマーがあります。ファイアリングプレートもついています。 そうです、ブリーチ面に飛び出していないだけでありました。
これは、センターファイアへの改造防止の意味もあるのではないでしょうか。

ハンマーってこんな形です

写真03 ハンマーって言ってもリボルバーのハンマーみたいな形ではありません。図のように三角形で一方の端がフレームに当たることにより撃針を押さえるものです。図はトンプソン1928型です。

ブリーチ面に固定のファイアリングピンが登場するのは、M1A1 になってからでして昔は装填中の暴発を嫌ってファイアリングピンとハンマーが存在することは、当たり前のことでした。


登 場

写真00 タナカのトンプソンは、いつごろ登場したのかはっきりとしなかったのですが、1998年版トイガンカタログに記載がありました。 97年の11月ホビージャパン発行の雑誌です。限定発売となっていますね。

各社軍用タイプ と比較

写真04 写真は、上からマルイ電動、中田・ハドソン、タナカ、CMC です。
中田の物は、ハドソンに実物ストックが取り付けられています。割れ止めのワッシャーが少し大きすぎるかもです。
写真13 写真14

内部的にM1 とM1A1 の大きな違いは、ハンマーの有る無しなのですが、モデルガンの外観的には、セフティ形状の違いが挙げられます。

これは、実銃のトンプソン1928型からM1 型へ変更されたときに、余っていた1928の部品が搭載されたモデルの再現です。 したがってM1 とM1A1 の違いには当たりません。棒状のセフティを搭載したM1 も多くあるはずです。 CMC は、他社との違いを出すために、この1928形状のモデルを採用したのでしょう。


CMC と外部比較

写真05 写真06
写真07 写真08
写真09 写真10
写真11 写真12

CMC と内部比較

写真15 なぜだか、タナカでは、シアの引っ掛かり部分が半分にされています。そういえばボルトもすこし軽量化されていました。 発火性能のアップでしょうか?

情報いただきました。CMC は、ボルトクローズでセフティを掛けるとボルトが引けなくなりますが、タナカ製は ボルトが引けます。
どうしてそのような構造にしたのかは、まだ検証中ですがこの部分については、近いうちに追記をしたいと思います。

以下に追記です。


写真26 図は、1928型トンプソンですが、セフティ機構はM1、M1A1 ともに変わっていません。図のようにシア後方の半円の切り欠きに セフティ軸が入り込むことでシアがロックされます。

ですが、タナカの製品のシアの切り欠き位置が少し上すぎるようで セフティ軸に押し下げられて、結果としてボルトが引けちゃうようです。この部分は、単なる部品の品質の悪さからくる誤作動のようです。しかし、次に挙げるCMC との違いは大きなものでした。


ハーフコックの排除
謎・その1

写真27 私は知らなかったのですが、弄っているうちに気づきました。トンプソンは、2度コックされるんです。便宜上最初のコックを ハーフコックと呼んでみます。写真の左2つの状態がハーフコックで、タナカはボルトを加工しているのでハーフコック出来ないのです。左の2個は、このあとボルトを引くと右のタナカと同じ位置でフルコックされます。
写真28 タナカさんはCMC のボルトを改良してハーフコックを取り除いています。どうしてこういう改良?を行ったのかは、謎ですが 設計者にしてみると、全く無駄である部分は省きたかったのかもしれません。ボルトの軽量化かもしれません。 これが 謎その1です。

実銃参考写真

写真29 こちら↓から取ってきた実物のM1 ボルトの写真に加筆したものですが、矢印のところが左からフルコック位置、ハーフコック位置です。
https://www.ima-usa.com/products/original-u-s-wwii-thompson-m1-smg-bolt-with-floating-firing-pin?variant=25652336709

ちなみに後方にある切り欠きが、ボルトクローズでもセフティがかかる切り欠きです。
1921、1928型トンプソンには、この 切り欠きがありませんのでボルトオープン時以外にセフティはかけられません。昔の鉄砲は、この形式がよくあります。


謎のブッシュ
謎・その2

写真30 この真鍮製のブッシュが謎の物体です。どこからやってきたのか?いぇ、ボルトの中から転がり出たのは分かっているのですが、 実は元に戻せないのです。

ボルトに入れ込んで組み立てるとリコイルスプリングを圧縮できずにボルトが引けなくなります。 かといってバネの内側に入れ込むなんて、到底無理な作業です。大きな謎です。

私は最初何かの間違いかと思いましたが、偶然 タナカ・トンプソンをお持ちの方に情報頂きまして、ほかのトンプソンにも入っている事が分かりました。そうしてそのまま組み込むと動かなくなる件も同じだと教えていただきました。うーーん、これはどういうことでしょう??大きな謎です。とりあえずブッシュは外したままで何の支障もないので、動かせています。ボルトを軽くした弊害で再び重くしようとしたのでしょうか?

もしもタナカトンプソンをお持ちの方で、一度もボルトをバラしたことがない人がいらっしゃったら、ぜひともゆっくりとスプリングを取り出して、ブッシュとスプリングがどのように組み込まれているのかをレポートしてください。


各社ボルト重さ

写真31 タナカは、ブッシュ込みだと522gになってCMC よりも重くなりました。

MGC のボルトの軽さが際立っていますね、快適ブローバック動作の源なのかもしれません。


各社ボルト比較

写真17 上からMGC、ハドソン、CMC、タナカのボルトです。MGC のボルトが短いのはスムーズな発火作動を考えてのことでしょう。 下二つのCMC 、タナカにはM1 型を示すハンマーが見られます。

うんちく

図16 CMC にもハドソンにもあるフレーム後方の2個のネジ穴はストックを止めるための物ですが、CMC のフレームを組み立てるときに毎回このネジ穴にストッパーが引っ掛かるのがイライラしましたので調べてみましたら、やはり実物のネジ穴は貫通していない事が分かりました。めでたしです。

と、言いますかトンでもな間違いに今、気づきました。私はいつもストックをバラしてから上下に分解していましたが、ようく考えると ストックが付いたままで分解できるのでした。勝手な思い込みによるまちがいでした。


通常分解

写真18 ボルトの中に謎のブッシュが入っています。このあと組み立ての際には、取り除きました。

マガジンについて

2022.1 追記
写真33 あるとき、友人からタナカのトンプソンには、実物マガジンが使われているって本当ですか?と質問メールが来ましたが 私は「そんなのあるわけないじゃん」と軽く否定していました。

が、その後しばらくして 人パンのK’s さん とお話しする機会がありまして、聞いてみたところ「そうだよ」と、あっさりおっしゃる。ブラスト掛けているので薄くなってはいるけれど刻印があるはずだからすぐにわかるよと。「えぇっ?」そうなの?? あわてて自分の持っているタナカのマガジンを見直してみました。


写真34 うー−ん、たしかに文字が打っています。DUCTS CO と下の行にCONN と読めます。
写真35 下記に登場する書籍によりますとセイマープロダクツさんの製品のようです。そうだったのか、タナカのマガジンは実物を再処理して使用していたのか、それで変な色の塗装がしてあったんだ。中身のスプリングやフォロアーまで実物かどうだかは調べていません。
写真36 ちなみにこの本には、MGC の20連マガジンも掲載されています。実弾は使えないと書かれています。
写真37 各社のマガジンを並べてみました。左からCMC、タナカ、マルイ、ハドソン、MGC です。 両端のCMC とMGC は真円の穴が開けられていますが、ほかの物はやや長円ぽくなっています。 ハドソンの物は、マガジン上部が変形やすい作りです。

マルイの物は、非常に良い作りなのでモデルガンに転用できないかと思いましたが、リップがカートをくわえられないので 無理でした。


写真38 ネットでも調べてみましたら、下記にすごく詳しいページを見つけました。

Thompson Box And Drum Magazine Guide

http://www.machinegunboards.com/forums/index.php?showtopic=9897

オイラー

写真32 CMC の時から立派なオイラーが付属していましたが、タナカになっても再現されています。 写真下の方には、実物の写真を3枚並べています。

紙 箱

写真19

カート

写真20 カートは、ごく普通のMGC HW カート互換のようです。が・・・
写真39 なんと、インナーは中空式でした。凝っています。
少しでも火や煙が出るように考えてのことでしょうか?

参考文献

写真21 The Ultimate Thompson Book by Tracie L. Hill です。相当に分厚い本で情報満載です。 米国のアマゾンで220ドルくらい、日本のアマゾンでは4万くらいします。
表紙の材質が変な感じで角がボロボロ崩れます。

中に大変興味深い記事がありました、MGC のドラムマガジンが刻印を付けられて実銃用に売られていたということです。 また、MGC のトンプソン・モデルガンも紹介されています。しかもジョージルーカス、コッポラのネームプレート付き、すごいっすね。

写真23 写真22

分解図

分解図