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登 場

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1985年(昭和60年)7月号のGun誌広告です。
また、この号には新見さんの記事でモデルガンダイジェストでも試作品が取り上げられています。 試作品ですので一部量産品とは異なったパーツが使用されています。
 


外 観

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燦然と輝くタナカ・ワークスのマーク。中田商店から引き継いだモデルガンの日本軍シリーズを販売してくれるのは、タナカさんだけです。ありがたいです。


リアサイト

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んっ?ピープサイトなのですね、右の中田 99式と同じようなサイトです。調べたら38式の後期型はピープだったそうです。 他は、Vノッチ型です。


日本軍シリーズ

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上から6.5mmセット3丁と7.7mmセットです。全部タナカ製、中田製です。99式のころには、騎兵銃という概念が無くなっていたようで 世界的にも600mmバレル長くらいが標準になりました。戦闘距離が縮まった事と弾薬の高性能化のせいでしょう。


99式と比較

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これは失礼、並べ方が上の写真と反対になってしまいました。右が38式です。
ボルト後端のセフティ位置指示が飛び出し形から99式では、えぐれに変えられています。
また、タングも99式では、伸びています。


ボルトストップ

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右が38式、六人部さんが38式を設計したときから、伝統的にモデルガンのボルトストップの形状はネジ止めになっています。 Kar98 もそうです。全部六人部式です。


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左写真はモデルガンです。実物は、右写真のようになっています。
実物は左が99式、右が38式です。どちらもネジは存在しません。


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メ カ

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バレルは強い力で叩き込んでいるようで外せませんでした。フロントバンド部分のパーツは、 モデルガンでは一体式になっています。他はほぼ写真下の実銃と同じ形状です。


銃口部パーツ

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タナカの日本軍シリーズのモデルガンは、全部がこのようにフロントサイトパーツが別部品になっています。 それをバレルに叩き込んでいるのですが、すごくキツキツなので取るのに苦労します。 写真のごとくプライヤーで挟んだおかげで傷だらけになってしまいました。 歯がゆいので、組み立ては、バレル挿入部をゆるゆるにヤスリ掛けして瞬間接着剤で点付けしました。


エキスト

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この個体のエキストは、亜鉛製です。タナカのモデルガンとしては、初期のころかもしれません。 おそらくのちのロットでは、鉄製に変わったのではないかと思います。


決して見ないで

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おぅっと、見てはいけないものを見てしまいました。中田製の99式小銃のモデルガンでは、 実銃同様のアリ溝結合が施されていましたが、この個体は単なる貼り合わせでした。 タナカのほかの物も見て調べてみたいですね。


バイパス

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こんな高級モデルガンを発火する人もいないでしょうが、ちゃんとバイパスが作られています。


さく丈止め

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さく丈止め部分は、全くのダミーで再現されていません。本物は下の図のように 押し込んでさく丈を引き出すようになっています。無可動銃で試したことがありますが、 結構な力で押さえないといけませんでした。非常に押しづらい形状なので99式になって 押しやすいボタン式に改善されたのかもしれません。


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国立国会図書館デジタルコレクションから取ってきたファイルです。明治41年版の三八式歩兵銃及騎銃説明書の騎兵縦断面図です。URL はこちらhttps://dl.ndl.go.jp/


カート

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タナカの日本軍シリーズは、6.5mmであろうと7.7mmであろうと全部が同じカートで興ざめする部分です。 形状としては、7.7mmに似ています。写真は左2個が実物ダミーカートで右がタナカ製です。


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タナカのカートが短いのは、インナーフレームのせいもあります。
実物ダミーは長すぎて入らないのです。


バヨネット

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中田やタナカ製のモデルガンは、バヨネットが付けられないものが多いです。 入らないように微妙に寸法を変えています。

ところが、この38式には、実物銃剣が入れられました・・・が、キツキツで 取れなくなりました。


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外すのが大変でした。計測してみたらコンマ1mmくらいしか余裕がありませんでした。 モデルガン側の着剣ラグをすこし削ってやる必要がありです。


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ちなみに写真左のウインドラス製は、タナカのラグとほぼ同じ幅なので全く入れられませんでした。


おわりに

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私の世代の親たちは、みな戦争の経験者でした。その話を聞いて育った私は、見たこともない時代ですがけっこう身近に戦争を感じていました。しかし、私たちの子の世代にはきっと戦争の話は、すごく遠いもので実感のない物と捉えられていることでしょう。

2021年の現代でも昔の小銃のモデルガンを発売してくれるタナカさんには敬意を表したいです。 このモデルガンたちが、すこしでも若者の戦争への興味を引き出し、ひいては世界平和への思いに繋がっていってほしいものです。


分解図

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取説は、99式小銃と兼用という強引さで中田時代と全く同じものが入っていました。 したがって分解図は99式そのままです。ただし中田時代からみると部品価格が上がっています。下図はクリック拡大します。


分解図 分解図