五六式 様より頂いた写真で書いています。有り難うございました。
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全てはここから始まったと、言っても過言ではない大昔の生きた化石 級・ヒューブレー・オートです。今、見たら「ガキのオモチャ 」程度にしか見えませんが、モデルガン史を語る上で たいへん貴重な資料です。最高のコンデションでお持ちのようで素晴らしいです。特にグリップは、割れやすいのではないかと思います。 英語圏ネイティブの方に聞いたことはないのですが、英語ではハブリーと読むような感じもします。が、昔からヒューブレーと呼ばれていたようなのでそれで行きます。
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ヒューブレーとは、このおもちゃを作っていた会社の名前で、他にもマテルやニコルスなどが有名です。
第2次大戦が終わり、テレビが普及していた米国でウエスタンドラマや刑事ドラマが多く作られ、それに乗って
1950年くらいから、子供向けにキャップ・ガンという玩具拳銃が数多く作られました。
それらは、1950年代後半から1960年代にかけて日本にも輸入され、主に大人向けのモデルガンのような地位で 受け入れられました。娯楽の無かった時代ですから今とは感覚が違います。日本でキャップガンは、相当高価だったようです。
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左右にある、スライドストップのような部品は、スライド上のミゾを挟んでいる物です。この部品に沿って
スライドを引く事ができます。そう、フレームにかみ合いミゾがあるのではなく、スライド上に設けられています。
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この角度から見ると、まるでモデルガンですね。銃身もあるように見えます。 モナカ張り合わせ式のフレーム形状がよく判ります。 左右フレームは、トリガーガード上のネジで止められています。 オリジナルは、銃口部分は開いていたようですが、遵法のためオーナーが塞いでいます。また、色も オリジナルでは、綺麗なニッケルメッキでしたが、オーナーにより金色に塗装されています。
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スライドを引くと「パコッ」と巻き玉火薬入れが飛び出てきます。 ごらんのように銃身に相当するような部品は、存在しません。
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そうなのです、単に100連発の巻き玉火薬を発火させるだけのオモチャなのです。 ただ、亜鉛合金で出来ていたおかげでMGC が改良する強度を持ち合わせていたと思います。 これらのキャップ・ガンを大量に輸入したのは、中田商店だったようです。また、エネルギーいっぱいの中田社長の周りには、ウエスタンに憧れた若者たちが集まり、その中から、のちのGun 誌執筆陣も多く輩出されたようです。 根本 さんや国本さんは私も知っています。今の若い人は、ウエスタンアームズ社長の国本氏といえば判るでしょう。
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作動は、まずスライドを引いて100連発の巻き火薬を入れてセットし、スライドを戻します。
あとは、引き金を引けば、写真矢印のトリガー後方のパーシー?部分が紙火薬をせり上げ、連続して発火できます。 紙火薬は、トリガーを引くたびにハンマー打撃部分から、にょろにょろと、せり出してきます。 ダブルアクションですね。 ごらんのようにグリップは貫通ネジで左右が止められています。
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MGC は、このヒューブレーをすっかり改造してモデルガンを生み出しました。モデルガンと言う名称も
MGC が名付けたものです。 銃身をつけ、マガジンを付け、撃発機構を付け、スタンダード式のモデルガンに仕上げています。 コブラキャップと言う火薬を使用する後撃針のモデルです。発禁になったのかもしれません。
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Gun 誌が出現するより以前に存在していた「ガンファン」という小出書房の雑誌に載っている広告です。
ガンファンは、1961年12月創刊の「拳銃ファン」という雑誌の改名したものです。写真は、1962年(昭和37年)の
9月号です。すでに根本 忠さんなど執筆者になっています。
ガンファンは、すぐに廃刊になり、その後1962年12月に国際出版からGun が創刊されます。
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大きさは、ちょうど380 オートくらいですね。 モデルガンのガバメントと比較しています。五六式様に追加写真いただきました。また、やはりグリップは割れやすく、 レストアのため米国より取り寄せた物を使用しているとのことです。愛情こもっていますね。昔の物のレストアは、 たいへん価値あるものですが、険しい道です。
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日本の金属モデルガン史に欠かすことの出来ないヒューブレーを紹介できて楽しかったです。 五六式 様、貴重な写真有難うございました。 キャップガンのコピーからスタートしたMGC やCMC は、その後、独自の設計で高品質な製品を輩出し、日本の経済成長と共に大きく羽ばたいて行くことになります。
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参考文献
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アメリカから購入した「CAP GUNS」という本にいっぱいキャップガンの事が書いています。
30ドルくらいです。ヒューブレー・オートも一枚だけ載っています。基本的に一機種一枚です。
説明も何もありません。しかも間違った記述もあります。
ですが貴重な資料だと思います。
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