登 場

写真00

実は私はホビーフィックスさんが登場したころは、モデルガン趣味を引退していたので全く知らないのです。 当時はコンピュータで遊んでいまして、DOS/V やMac をいじってビル・ゲイツさんやスティーブ・ジョブズさんなどの お金儲けに相当貢献していました。ということで昔のGun 誌を探してみました。

写真01 1997年2月号に広告を発見。また、この号にはメガウエイトの記事とともに写真のようにリアルマッコイさんの スプリングフィールドやランパントさん、CAW さんなどの意欲的な広告があり、新時代を感じさせてくれます。 このころは、まだバブルの香りが残っていたような気もします。よく飲みに行っていましたね。

明日は何かいいことがありそうだ、という時代だったのかもしれません。


広告第2弾

写真02

2ヶ月後には、重さを強調した強烈な広告を出しています。そうなんです、ホビーフィックスさんの大きな特徴は タングステンを樹脂に混ぜ込んで製作したもので超重いのです。まさにメガウエイトです。

広告写真右側はおそらくCMC 3型ガバでしょう。スライド後端に馬のマークがあります。 HF メガウエイトの方が重くなっています。これは誇大広告ではなくって、本当にメガウエイトは重いです。


重さ計量

写真03

手持ちの3丁を計ってみました。いずれも中古にての購入なのでオリジナルではない部分もあるかもしれませんが、 おおむねA1 は、広告通りです。右上のナショナルマッチは材料が変わったのか全体に軽くなりました。

写真04

右写真は以前書いた記事からの物ですが、このように各部分すべてが軽くなっていますので材料の混合比率、または混ぜるもの自体が変わったのかもしれません。 スライドが割れやすいとのネット情報もあったようですので、ナショナルマッチでは重さを犠牲にして耐久性を上げたのかもしれません。


以前書いたもの

以前記事に書いた表ですが、参考にどうぞ。HF さんの物が重いことが良く分かります。

チープな秤なのでプラス・マイナス1gは誤差があります。 また、全部が中古品の入手のためグリップが変わっていることもありますので重さはあくまで参考値です。 計測は、カート無し、マガジン有りの状態です。

年代名称重さ
1972年MGC SIG P210396g
1972年MGC ハイウエイパトロールマン373g
1974年MGC GM2429g
1982年MGC GM5サイド発火591g
1983年MGC GM5センター発火537g
1993年MGC GM12(リアルサイズカート)740g
199?MGC スーパーリアル・ヘビーウエイト700g
1997年HFメガウエイト1074g
199?HFメガウエイト・ナショナルマッチ912g
1997年リアルマッコイズ・スプリングフィールド524g
2000年リアルマッコイズ・装填モデル937g
2002年エラン・レミントンUMC 882g


ナショナルマッチ登場

写真05

メガウエイト発売から1年後に、はやくも次期モデルであるナショナルマッチが登場します。当初の広告には コマンダーや1911もありましたが、このナショナルマッチのみが次回作として生産されました。 Gun 誌 広告は探しきれていませんので上記写真のように明和模型さんの広告を拝借しています。
広告には登場していますが、本当にこの月に発売になったのかはよく分かりません。

ナショナルマッチとは

参考ページ

https://sightm1911.com/lib/history/nm.htm


HF ナショナルマッチ特徴

写真06

写真07

HF ナショナルマッチは写真の取説にあるように、前回はオプション別売りパーツとなっていたロストワックス製法の シア、エキストなどが標準で装着されています。また、高級木グリも装備となっていてかなりのテコ入れを感じます。

また、前回は独自の機械加工されたカートが付属していましたが、ナショナルマッチでは実物ダミーカートに変えられました。


外観・刻印

写真15 写真17

写真23 写真24

ミリタリー刻印は1924年以降の一般的な物、ナショナルマッチは馬のマークが右側にあります。銃口はHF 特有で 他社製品より1mm長いです。 銃口は、閉じられています。またブリーチに撃針の穴はありません。インサートがセットされているのが見えます。

ナショナルマッチのリアサイトとハンマーは、亜鉛崩壊していたので他社の物と組み替えています。今まで3個体を 手にしましたが全部そうでした。オークションで見かけるものもたいていの個体は亜鉛崩壊しているようです。


メ カ

写真19 写真20

写真21 写真22

左下のブリーチ写真は、ネジ頭が引っ込んでいるのでディスコネが引っ掛かって円滑作動しないのでパテで頭を埋めています。 本当は一番右のようになっています(ネジは抜いています)。また、一番左はナショナルマッチでブリーチの止め方が変わって ネジは消えました。

バレルは初期には欠けることがあったそうで、対策パーツなるものが送られてきたようですが、私は中古入手なので 写真のバレルが対策済みなのかは分かりません。また、手前一本は少し欠けている部分がありますが、ここが弱かった部分なのかは、よく分かりません。


カート

写真18

ミリタリーのメガウエイトには、真鍮製のカートが付属していました。スライドへの負担軽減でしょうか、中身がくり抜かれて軽量化されています。ナショナルマッチでは、実物ダミーカートに変えられました。


ミリタリー考察

写真16

HF のミリタリーをシリアル番号から検証してみましょう。いえ、重箱の隅をつつくのではありません。 知的好奇心を膨らませ所有の喜びを増しましょう。
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シリアル番号

写真12

手元の書籍からHF メガウエイトのシリアル 815039は、実銃では1942年製と分かります。

この本は3部作のうち一番安いものですが、日本では 5万くらいします。バイブルとしてプレミア価格になっています。

Collector's Guide to Colt .45 Service Pistols: Models of 1911 and 1911A1

近いシリアルの
実 銃 写 真

写真13

こちらにやけに程度の良い物が掲載されていました。HF と違うのは検査官マークでこちらはW.B 大佐です (Waldemar S. Broberg さん)。HF の検査印はGHD でGuy H. Drewry 大佐です。上写真のページは下記です。是非ご覧あれ。

https://www.legacy-collectibles.com/ww2-colt-1911a1-1942.html

GHD 刻 印

写真26

GHD 刻印には縦向きと横向きがありました。 参照ページ


ナショナルマッチ考察

写真14

HF のナショナルマッチをシリアル番号から検証してみましょう。いえ、重箱の隅をつつくのではありません。 知的好奇心を膨らませ所有の喜びを増しましょう。
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シリアル番号

写真08

まずはシリアル C194489を調べたら実銃では、1939年製だと分かりました。こちらのページを参考にしましたが、他にも同じようなページは、たくさんありました。

このサイトは奇麗な写真が多くて有難いです。

https://www.oldcolt.com/pages/colt-government-model-national-match-serial-number-ship-dates

1938年カタログ

写真09

1939年のカタログは下記サイトには、ありませんでしたので1938年のカタログから画像を取りました。 リアサイト、フロントサイトは、すべてがこのようなものではなく、各自で選べたのではないかと思います。 こちらのサイトから取ってきましたが、このサイトの資料の充実ぶりは凄いです。必見です。

ちなみにナショナルマッチの刻印はカタログと実物は違っています。1933年の新登場時から違っています。

https://www.coltfirearmscollector.com/All_colt_catalog_htm_pages/Colt_Catalog_1938.htm

また、Gun 誌で1929年から38口径でナショナルマッチが開発されたと読んだことがありますが、カタログには1933年から ナショナルマッチが45口径で登場し、1935年には45口径の方が消えて38口径のスーパーマッチが登場しています。 カタログと実際の登場は違うことも多々ありますので参考までです。

近いシリアルの
実 銃 写 真

写真11

写真10

シリアル番号がHF ナショナルマッチと近い実銃写真です。1939年製です。すでにスウォーツ・セフティが 採用されているんですね。

それにしても150万くらいでオークションが終わっているようですね。すごいお値段です。

https://www.legacy-collectibles.com/18378.html

参考:こちらは1936年製でスウォーツ・セフティ無しです。

http://www.coltautos.com/1911a1gmnmci_C180216.htm


分解図

写真25

これはメガウエイトの取説から取ったものですが、ナショナルマッチの方も同じ絵が使用されています。 厳密にはブリーチなんかは構造が違うのですが。


おわりに

写真27

いままでにない驚異的に重たいプラスチック・モデルガンの紹介でした。この5年後にHF さんは金属モデルとして ガバメントを発売します。プラ、金属どれも今では生産されていなくて、マニアあこがれの的になっています。 貴重な重いプラガバの紹介でした。

今回登場した3個はヤフオクに近日中に出品しますのでよかったら探ってください。
たくさん入札いただき有難うございました。