写真00

写真01 とうとう入手してしまったJB シャノン。私は So-Sui さん主催のエングレクラブに名を連ねていたのに、実はエングレーブモデルを所有するのは初めてだという隠れエングレ・メンバーでした。このたび井浦先生の名品を入手出来て喜んでいます。


登 場

写真29 エランさんのチラシによると2002年の登場のようです。六研30周年ということですので30年前は1972年ですので wiki によると六研から最初の真鍮ガバメント が発売された年のようです。

外 観

写真02 写真03

写真04 写真05

うーん、なんとも素晴らしいのですが、カメラの腕が付いていきません。マクロレンズなのですが、夕方に自然光なので ピントの合う範囲が非常に狭いです。情けない限りですが、井浦先生の超絶技巧の彫の凄さは感じてもらえると思います。


ゴフさんの実物写真

モデルガンの元になったモデルは、オーブリー社にお勤めだったゴフさん(ゴウフ?、ゴッホ?)の彫刻で、彼は素晴らしい作品を多く残しています。 コルト社員では無くって自営業のような感じでしょう、コルトだけではなく元々やっていた散弾銃やS&W リボルバーにも彫っています。ゴフさんは、お父さんも息子さんたちもエングレーバーとして活躍しました。
↓写真のギザギザが特徴ありますね。井浦先生もきれいにコピーされています。

写真06 写真07

また、右写真のように細い横線を使用して陰影を出す方法を多用したモデルもあります。このあたりいろいろ試行錯誤のようです。



写真08
ゴフさんも所属していたAH FOX 社は1911年ごろ倒産し1928年ごろにサベージ社に吸収されたようです。 しかし、ブランドとしては残っていて今でもすごい彫刻入りの散弾銃が売られているようです。

実物写真と共に

写真17 写真13 写真18 写真12 モノクロ写真は、下記の書籍からです。見比べると分かるのですが、ほとんど正確にコピーされています。 実物はコマーシャルモデルですが、モデルガンの方は、軍用モデルですので右側刻印が実物と大幅に違い一行刻印なので、それに伴い彫り方も変えています。 また左サイドにはインスペクターマークがあり、フレーム上部のUS プロパティ刻印もあるため、それぞれすこしデザインが変わっています。

井浦先生の方が深彫りで、陰影などの付け方が非常に丁寧な仕上げになっています。

1911の彫刻モデルは、ほとんどがコマーシャルタイプです。そりゃそうですよね、国からもらった鉄砲を自分の物にして 彫刻するなんてよっぽど偉い人でないと無理でしょう。たまに軍用の彫刻も見かけますが後年に彫られたものもあるようです。
こちら1918年モデルに1930年以降に彫られたもの。URL はこのページ最下段に掲載。

上のモノクロ実物シャノンの写真はこちらの書籍から取っています。



井浦先生

写真40 井浦先生のブログの以下のページには、JBシャノンの特別彫刻版のことが書かれています。 このモデルのオーナーさんは、こだわりがすごいようで、モデルガンのシリアルナンバーも実物同様にしてあります。 またゴールドインレイも再現されていて、まさに特別なモデルガンになっています。

井浦先生市販3種

写真28 上はすでに無くなっていますが美章園ホビーさんの昔の広告からです。基本的に井浦先生の作品は、ユーザー持ち込みの一品物、特注物ですが、ここに紹介の物は既に彫られたものが市販された例です。 マッコイさんから発売されたのか、エランさん発売なのかは知りませんが、おそらく生産数もわずかだったのでしょう。

この3種はJB シャノンと違ってスライド先端下部に彫刻がありません。

なお、上の写真から見ますとこの頃の消費税は5%ですね、写真はいずれもオークションから勝手に取ったものなので クレームが来たら消しますので、資料としてほしい人は保存しておいてください。

メ カ

写真36 写真37

写真38 写真39

メカ的には、普通の装填式モデルです。各刻印も見えない所にまでしっかりと入っています。 モデルガンは、元が軍用モデルですのでその刻印になっています。


ここからは実銃の話

シャノン社の紹介

写真43 1873年の大工道具のシャノン社のカタログです。ほかに建築金物も取り扱っていたようです。 同年は日本では明治6年に当たり、この年に岩倉使節団が帰国します。まだ日本は夜明け前、ちょんまげの時代だったのでしょう。このカタログは米国オークションで入手したものですが、調べているうちに下記に電子書籍があってすべてが見られるようになっていました。買って損しました・・・。

ゴフさん作品

写真15 こちらJB シャノンによく似た作品です。URL ↓

https://www.rockislandauction.com/detail/62/1599/colt-government-pistol-45-acp

この製品もJB シャノン社へ出荷されています。えっ?シャノンさんって何丁も高価な銃を買っているんですか?てことは無くって ここからは私の推測ですが、シャノン社はお客さんに頼まれて注文しているだけだと思います。お客さんは、ほぼ自分のためではなくって 銃に刻まれたイニシャルの人への贈り物にしたものだと思います。調べてみるとシャノン社だけではなくってグリーン出荷(最終仕上げ前の銃)は商社によく出荷されている事が分かります。


シリアルC93183 について

写真31
↑のURL http://coltautos.com/1911gmci_eng.htm

写真10 実銃のいわゆるJB シャノンのモデルのシリアルC93183 についての記述が上記にあります。 それによるとFHC の金のインレイが施されていると書かれていますが、探しましたがネット上にはその写真はありませんでした。

しかし、なんと灯台下暗しで、むかし買ったムック本にあるではありませんか、驚きました。FHCのインレイが見られます。

上記のWEB に書いてあるのですが JBシャノン社への出荷は、ムルタ・アップルトン社からのリクエストであるとのことです。 ムルタ・アップルトン社って何でしょうか?調べてみるとやはり商社で警察への拳銃納入なんかやっています。 シャノン社に似た感じのハードウエア会社のようです。以下に資料2点。

写真32 写真33


したがってシリアルC93183 を JB シャノンと呼ぶには、すこし合わないようです。
では、なんと呼べばいいのでしょうか? FHC さんが有名人ならば、ゲーリング・ルガーやパットンSAA などと同様に呼んでいいのでしょうが、どんな人物なのか分かりません。
したがってゴフさん彫刻モデルと呼ぶのが良いのではないでしょうか?と、いうことはエランのモデルは、ゴフさん彫刻モデルを 緻密に再現したモデルガンと呼びましょうか??ややこしいからJB シャノンで良いか・・・。

ゴフさんのグリップ

写真34 写真35

完全に余談なのですが、ゴフさんのカミナリ模様のグリップは、ゴフさんデザインと認識されているようで、ここに掲載の ゴフさんモデルは同じ物なのですが、2023年オークションには普通のグリップで登場していますが、同じ銃が2024年の オークションではカミナリグリップに変えられています。その方が高くなりそうですね。


参考書籍

写真14 すでに売ってしまったので正確ではないのですが、RLウィルソンさんの写真集でコルト・アメリカン・レジェンド という本からのスキャンだと思います。シャノンのカラー写真ありです(1枚だけです)。

参考WEB

写真09 下記ページの解説にあるようにゴールドインレイは、人への贈り物に使用されたものでしょう。 中には大統領への贈呈なんてのもあったようです。イニシャル入りの銃は、注文した人にとっての大切な人へ、もしくは営業の一環としてお客様への贈答品として活用されたようです。
写真41 ↑これはゴフさんの作品ではありません。

おわりに

写真42 初めて手にした井浦先生の作品でした。すごく緻密で日本画のような美しさを感じます。元のゴフさんのデザインを生かしていますが井浦オリジナルと言ってもいいくらいに昇華されています。素晴らしい作品なのですが、そのうちに手放すことになるでしょう。
先生すみません。なんたって女房に「私に何かあったら全部捨てる」と言われていますので、そのうちにふさわしい持ち主の元へ送り出したいと思います。

さいきんGun 仲間が認知症になり、家族からコレクション処分の相談を受け、引き取りに行ってきました。 体は元気なのに認知になると大変です。まったく他人ごとではありません。「物が主人を選ぶ」と言うことを 信じる私は、きっと我が手元の子たちもふさわしい場所にたどり着けるものだと思っています。それまでは私がコネコネして可愛がってあげましょう。


おまけ

写真30