タナカ・Luger P-06

プラ製・ガスガン

2年前から放っておいた写真を使ってやっとこさ記事を書きました。

もう手放しちゃいましたが、非常によく出来たガスガンでした。
写真は、塗装してキャロムの木グリを加工して取り付けた状態です。

P-08 の方がメジャーですが、P-06 というマイナーな物をよくぞ製品化してくれたと、頭が下がります。

実銃について
1894年発売されたボーチャード拳銃が売れなかったため、ゲオルグ・ルガー氏によって改良された通称ルガー拳銃は、1900年に登場しました。 それは、世界初の強力な自動拳銃として各国の興味を引き、スイスなど軍用として採用されました。

当時は、リコイルスプリングが板バネだったため、折れる障害がありました。そこで 1906年にコイルスプリングに改良された物が、ルガーP-06 です。


タナカは、その中でもレアなモデルのアメリカ輸出用の刻印を施しています。 チャンバー上方にアメリカン・イーグルの刻印があります。ただ、イーグルの刻印が、浅いです、残念な部分です。


グリップセフティについて
ルガーに限らず、当時の自動拳銃は、ほとんどグリップ・セフティを装備していました。

タナカも見事に再現してくれています。
素晴らしい部分です。このモデルのハイライトです。

実銃は、右図のようにフレームに2個の穴があり、ひとつでセフティを支え、もう一つには板ばねが入るようになっていました。これでセフティに安全側に動く力を与えています。タナカでは、巻きバネで 再現しています。

このグリップセフティのおかげで、キャロムの木グリは、内側を削らないと装着できませんでした。

このクラシカルなメカニズムを再現したのは、モデルガン、エアガン含めて、このタナカの物だけです。それだけで価値ある名品だと思います。ただ、下記のようにマガジンガス漏れの不具合があったのは残念なことでした。


私は、オークションで購入したので、すべての製品がこうなっているのかは判りませんが、写真の矢印の機関部にグリップセフティが当たって、スムーズな動きを妨げていました。


そこで、赤矢印の部分を削って、セフティがスムーズに動くように調整しました。
けっこう削っています。ストラットを持っているように、タナカルガーにはハンマーがあります。


マガジンOリングについて

これまた、すべての製品がこうなのか判りませんが、この個体はマガジンに不具合があり、ガス漏れがひどかったです。写真の矢印の亜鉛マガジンのキリ穴のバリを取っていないまま、マガジンボトムを差し込んでいるためにオーリングの矢印部分が削られていました。


このように削られます。そこからガスが漏れてしまいます。この写真は、2回バラしたので、そのたびにオーリングが削られてしまった状況です。
新品と交換してよくなりました。

これを防ぐには、マガジンのキリ穴の内側を丁寧にヤスリ掛けしてバリを取らないと治りません。けっこう大変でした。


ニコン水中カメラに見るオーリング

これは、ニコンの水中カメラです。50mの水深でも使用できるプロ機です。
50m=6気圧 という尋常でない圧力もゴム製の小さなオーリングのおかげで水の浸入を 防いでくれます。


矢印の部分がオーリングで、カメラのフタに合うように全体の形状は四角形です。


このカメラを見てみるとオーリングは、溝からすこしだけ頭をのぞかせています。蓋を閉める時にその部分はつぶされて。溝いっぱいにオーリングが広がり、水の浸入を防ぎます。

ところが、タナカの方は、溝が異常に深くて、オーリングも遊んでいますし、だいいち 長円形のマガジンボトムに対して真円のオーリングなので全体に均一にフィットしません。 これでは、キリ穴のおかげでゴムが欠けなくてもガス漏れの恐れがあります。

この部分を見た感じでは、設計された方は、オーリングのしくみを分かっていない人が作った印象を受けました。その後、改良されたのかは、自分は知りません。

せっかくのメカもこのオーリングで台無しです。改良されていると良いですね。


オーリングは、スペースシャトルの固体ロケット部分にも使用されるほど、大から小まで使い勝手が良い物ですが、シャトル爆発の原因となったように温度が下がるとゴムが収縮して機密性が保てなくなる恐れがあります。また、溝に均等に力が加わらないと、その性能を発揮できません。

そのために、たまにオーリングをはずして、それ用のグリスを塗ると良い結果が得られます。

写真は、ニコン水中カメラ用のオーリング・グリスです。カメラ屋で入手できると思います。

もちろん、ガスガンにも絶大な効果を発揮します。

メンテナンスの必需品です。(普通のグリスはゴムを劣化させますので専用品を使用してください)



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