マッコイ2機種

写真01 マッコイさんっていっぱい作って売っていたようですが、基本型は2機種しかありません。 全部A1では無い1911のモデルガン化で当時は量産品としては初だったのではないでしょうか? 2機種というのは以下になります。
  1. 六人部さんの六研製作 1,000丁限定のスプリングフィールドモデル。
  2. 福野さんプロデュースのクリアケース入り高級品群。
と、いうことでこのページでは福野型1911を見てみたいと思います。 上写真は上の段が六研型SFで、下の3個が福野型です。

福野礼一郎さん

そもそも福野さんって誰??と、いう人はグーグルで検索してみてください。Wiki にも登場しているし 著作や自動車関係記事がたくさんヒットするでしょう。高名な車の評論家さんです。趣味の一つがモデルガンであり、 マッコイさんの第2弾プロジェクトの中心人物だったようです。

写真49 こちらの本には、多くのものの紹介と共にミロクの散弾銃とホビーフィックスの真鍮モデルのことが書かれています。

検索ワード
福野礼一郎 人とものの讃歌


登 場

写真21 Gun 誌 1999年11月号のくろがねさんの記事にインタビュー記事が載っています。 このころに発売になったものと思われます。

福野型3種

写真02 真ん中がコルト社公認販売の非装填式でいわば「上」です。左がそのあとに発売された装填式でこの個体は「中」、 一番右がアウトレットのシリアル16シリーズの「下」です。アウトレットは正規品のパンフレットにもあるように 出来の悪い品でサポートしませんと書いてあります。「下」は私的に想像するに、不良品の横流しか、資金回収策で少数流通させたかのような品物ではないかと思っています。マッコイさんの福野型・製品群としては以下のようになります。装填式は、私は一つしか見ていないのでそれについての判断しかできません。

時期名 前販売数価格備考
1999?アウトレット????程度悪し
1999年コルト公認非装填式1,350丁93,000円最高品
2000年シャトーテリー
1次大戦記念モデル
150丁139,000円私は見たことない
2001年装填式
(コルト非公認)
500丁95,000円私のは程度中

3種の仕上げ違い

写真03 写真04

左が「上」のコルト認定非装填式、右は「下」のアウトレットでスライド下側がボロボロになっています。 刃物の移動速度が速かったのではないでしょうか?もっとゆっくりと削ったら欠けなかったのかもしれません。


写真05 写真06 写真07

写真08 写真09 写真10

それぞれ上・中・下 の順に並べていますが、下の段の真ん中の「中」のUSプロパティ前のヤスリの跡はいただけません。 この仕上げなので中程度としました。私の場合は中古購入ですが、最初に10万も出して新品を買った人は、このヤスリ跡を見て 愕然とし涙を流したんじゃないでしょうか?

マッコイさんとシリアルの近い実銃写真を下に挙げます。


実銃写真

写真11 写真12

実銃にはツールマーク(機械刃物の削り跡)はありません。刃物で削った跡にベルトサンダーをかけていると思われます。 モデルガンは、プラスチック素材なのでエッジが、だれる危険があるので切削したままにしているのでしょう。 また、機械で削ったという動かぬ証拠ともなりますので高級加工品の証でもあります。

実銃写真のURL

https://www.legacy-collectibles.com/us-army-colt-1911-1917-52.html


3種みんな重い

写真13

写真14 マッコイさんの最初のスプリングフィールドは軽かったのですが、今度の福野型は材料を変更して重たくなっています。 プラスチックに重い物質を混ぜ込んで作られています。

よってここの3機種ともに重たいのですが、特に非装填型は 右のようにバレルにおもりが入っていて100gありますので総重量が1kg越えとなっています。実銃並みです。


メ カ

写真45

アウトレットの16番台を分解しています。Fピンは外せませんでした。


A1 との違い

写真15

写真16 写真17 写真36

エランのミリタリーと比較しています。グリップセフティが短い、ハウジングがストレート、スライドストップ形状など 見えるところ以外にもブリーチのディスコネの凹 の加工もマッコイさんではきちんと再現されています。


参考書

写真18 写真37

Charles W. Clawson さんの本は、3冊存在するのですが素晴らしく高価で入手が難しいです。 私は一番右のコレクターガイドは持っていますが、内容的にはネットで調べられるものばかりですので、 マニアの間では内容よりも、彼の本を持っていることが、ステータスのようになっているのではないかと感じられます。


インスペクターマーク

写真29 写真30 写真31

メジャーって少佐っていう意味かな?ギルバート・H・スチュワートさん。
左写真がマッコイの「下」、真ん中の写真は実銃の物でURL は前出の実銃写真のところ参照です。


実銃刻印と比較

写真32 写真33
写真34 写真35

馬のマークがスライド中央になるのは1918年 5月からで、A1 になってからではありません (A1は1924年から)。 刻印作業の省力化でしょう。
実銃写真のURLは↓ですが、前出のページです。

https://www.legacy-collectibles.com/us-army-colt-1911-1917-52.html


フレーム刻印

写真39

写真38 マッコイさんのフレームには、上部にアンダーライセンス・オブ・コルト、下の方に注意書き、日本製 などの刻印を見ることが出来ます。これらは、昔のエラン製品にも見ることが出来ます。 写真は、マッコイとエラン・ミリタリ、エラン・シリーズ70、いずれも非発火時代のエラン製品で、現在でもフレーム刻印が 存在するのかは知りません。


豪華クリアケース

写真40 写真41

写真42 写真43

とっても豪華なクリアケースに入っています。ケースから出さずに飾ることもできます。 また、シリアルナンバーが打たれたゴールドクレジットカードみたいなカードも付属していて オーナーの満足感を増幅しています。


カート

写真44 マッコイさん第1弾では再現されていませんでしたが、今回のカートはオールドタイプの胴にくびれのある物を再現しています。 刻印はフランクフォード・アーセナル製を表します。1977年まであったアメリカ陸軍 弾薬工場です。

検索ワード
Frankford Arsenal

●FA 刻印参考ページ
https://municion.org/Ficha-11-023-CGC-040-0120/


取説が面白い

写真20

写真19 製品に含まれる取説が大変面白いので掲載しています。あるあるなことがよく正直に書かれていて 好感を抱かせてくれます。

シアスプリングのところなんて、これこそプラ製モデルガンのキモで、実銃と違って
たいへん悩ましいところです。
最後の価格のところも面白いです。


マッコイさん年表

年 月 記 事 特 徴 価 格
(税別)
1988年 会社設立
1995年 六研文鎮ガバメント 無可動
参考: モデルガン探訪
(reybow presents)さん

参考: Gun 誌96年記事

300,000円
1997年 六研スプリングフィールド1911 装填式1000丁限定(500g)
参考: ワールドムック85
96年11月記事
39,000円
1999年 コルト1911純正モデル 非装填式1350丁限定(1000g)
参考: 発売予告チラシ
93,000円
2000年 シャトーテリー純正モデル 非装填式・限定150丁
参考: 発売予告チラシ
139,000円
2000年 1911強化素材コルト非純正 装填式・限定500丁
参考: 発売予告チラシ
95,000円
2001年
6月
民事再生法申請、 事実上倒産(関連企業が手形詐欺にあったようです)
2002年 兵庫の会社がアパレル部門の
跡を継ぐ
モデルガン部門は消滅
2002年 ELAN よりコングスベルグ
JBシャノン発売(六研30周年記念)
参考: ELANチラシ 200,000円
148,000円

この表の他にスーパーブルー仕上げ??のような特別仕上げ品がごく少数あったようですが、販売元がマッコイさんなのか 六研なのかよく分からない所です。


シャトーテリー

写真26 写真27

写真28 1914年のサラエボ事件から端を発した第一次世界大戦に、1917年アメリカも参戦しました。

フランスのシャトー=ティエリにおいて1918年アメリカ、フランス連合軍はドイツ軍と交戦し激戦ののち連合軍が勝利しました。 その後、第一次大戦開戦50年を記念して1967年から68年にかけてコルト社から記念モデルが4種類発売されました。その第一号がシャトーテリエです。

マッコイさんは、それをモデルガン化して少数発売しました。しかしグリップのプレートは何故か再現されませんでした。 そこでコアなマニアは、ウエスタンアームズの正確に再現されたガスガンのシャトーテリーのグリップをマッコイに装着し、 完璧版としています。
他の3機種についてはモデルガン化されていません。全部の戦いは以下です。

  1. THE BATTLE OF CHÂTEAU-THIERRY  シャトー ティエリの戦い
  2. The "Meuse-Argonne" Offensive   ムーズ・アルゴンヌ攻勢
  3. THE BATTLE OF BELLEAU WOOD  ベローの森の戦い、アメリカ海兵隊の伝承
  4. The 2nd BATTLE OF THE MARNE    第二次マルヌの戦い
こちらのページに4つとも載っています。
https://www.invaluable.com/auction-lot/colt-wwi-commemorative-1911-pistol-set-of-4-86051-c-bfc4b4a903
●シャトーテリーの戦闘に付いて詳しくは下記をどうぞ(英語)PDF 重い
https://history.army.mil/html/books/077/77-5/cmhPub_077-5.pdf

●実銃に付いての詳細写真はこちらにどうぞ
(グリップセフティとスライドストップは1911 を再現されていません)

https://www.rockislandauction.com/detail/2057/913/colt-model-1911-world-war-i-chateauthierry-commemorative-pistol


分解図

分解図

写真の右ページ左下に16番台はダウングレードでサポートしないと謳われています。


オマケPDF データ

オマケ写真 オールドタイプのカートケースを再現しています。

右クリックでダウンロードして印刷してご使用ください。


実銃写真

写真46 写真47

素晴らしい状態の実銃写真がありましたので紹介しておきます。
マッコイさんとシリアルも近いです。

https://www.oldcolt.com/products/colt-m1911-45acp-sn-196476-mfg-1917


おわりに

写真_48 今回登場のモデルガンを並べてみました。 マッコイさんは会社は無くなっちゃいましたが、重いプラガバの路線を確実に世に残しました。 また、A1ではない1911をモデル化してくれて有難いです。いかにもオールドなガバメントを 楽しませてくれました。有難うございました。