ジーク・PP 真鍮キット

ベース=マルゼン・ガスガン
写真0
オークションでPP 真鍮の予約権を購入したのが5月7日、この記事を書いているのが
星に願いをかける 2007年7月7日だ。はたして私の夢は叶ったのか?

この2ヶ月金策で大変だった。まさに「溺れる者は宝も売る」状態で何とか払う事ができた。 まったく16万は、ちと高い。

もともとワルサーPP は、日本では人気が無いので決定版の金属モデルガンは存在しない。 しかし実銃の歴史を調べていくと、PP はオートマチックにダブルアクションを呼び込んだ名銃中の名銃だと言える。 現在でも販売されている。

重さに価値を見出す私は、重いPP が販売されるなら是非この名銃を買いたいと常に思っていたのであった。 今回ジークは真鍮製を20丁製作するということなので
「日本のバカ20人」という本がもしもあったら、きっと 私も載っている事だろう。


写真01
注文から約2ヶ月、送られてきたキットは、相変わらず安い梱包状態だ。初めての人は
「これかよっ!?」と 驚くだろうが、前回経験ありの私は余裕で梱包を開けることが出来た。

しかしっ!、開けてびっくり、倒れそうになった。感動ではなく落胆からである。


写真03
右のPPK は、実物戦後版のようなフレームカットが施されている。私はPP もきっと実物のカットに仕上げられている だろうと勝手に思い込んでいた。
ところが、フレーム形状はマルゼンのままであった。「ワルサーPP 」の真鍮モデルを期待した自分が 悪かった。あくまで「マルゼンPP 」のキットであった。

今回はアルミ製も製作されるのでグリップウエイトがそのまま使用されるように作られているのだろう。 決定版PP を探していた私は打ちのめされてしまった。


写真05
このなんとも邪魔な十字部品がシアを止めていてグリップウエイトのガイドにもなっている。
ひとつ上の写真の右側PPK のシア止めネジを見て欲しい。シアさえ止めればこの邪魔な部品は要らないのである。


写真02
私が落胆したのは、実は真鍮モデルに取り付けるべく実銃グリップを用意していたからである。
左のジャンクなマルゴーPP に無加工で取り付けられている物がインターアームズ製のものでちょっと前のアメリカ向けPP に 付いていた物だ。真ん中のかまぼこ板のようなものが
1944年ごろ警察用に作られたドイツ・ワルサー社の実物木グリップだ。

現状では着けられないので、そのうちシア止めネジを作ってフレームを金ノコでカットして実物グリップを着けてみようと思う。 フレーム背骨は省略されているが、梁の部分はカットしても剛性に問題は無いだろうと思う。
がっくりきたので以下の解説は辛口になるかもしれないので、購入希望している人は幾分冷ややかに読んで欲しい。


写真04
開封一番、スライドの汚れが目に付いた。フレームは、切削のバリが数箇所付いたままなので、おそらくフレームの完成が遅れたのであろう。 スライドは保管されているあいだに汚れてしまった。真鍮は汚れやすい。


写真06
おっと、驚いた事にスライドにシリアルの刻印が無い。右のPPK は、2年前の物だがきちんと刻印がある。 価格の関係か納期の関係かでスライドのシリアル刻印は見送られたようである。残念だ。


写真07
前回のPPK は、ミリタリーと言いながらポリスタイプのイーグルにC の刻印であったが、このたびはPPKも含め WaA359 の軍隊刻印になっている。ありがたい。PPKのほうはスライドにもこのマークが入っている。 PPには無い。実銃でもあるものとない物が存在する。

また、トリガーガード基部の1段下がりが加工されていないが、実銃では、大戦末期のPP やPPK はこのような加工であった。


写真08
今回は特別にマガジンキャッチとセフティが切削加工された見事な部品で付属している。
一生懸命作った人には申し訳ないが、あまり既製品との差を感じない。上のPPK がマルゼンの部品だ。
私としては、このパーツ代で、マルゼンのよわっちいトリガーガードスプリングをもっと強い物に変更して欲しかった。


写真09
スライド平面はものすごく平滑に仕上げられているが、上下の曲線部分はツールマークが残っている。
特にこの先端部分は激しく加工跡がうかがえる。好みにもよるが私は気にならない。
どういう刃物でどういう加工をすると こんな痕跡が残るのか興味が沸いてくる。


写真10
このおにぎり状の先端部分がPP らしいところ。
昔のマルゴーPP モデルガンは、先端部分をツーピースにしていた。ジークのキットは削り出しでこの形状を再現している。 大変な加工だと思う。


写真11
「うっそー」と言うほど左右に飛び出たリアサイト。あわてて書籍写真を見てみたが実物もこれくらい飛び出しているようだ。


写真12
セレーション上部の三角形は、きちんと再現されている。スライドのわずかな面取りのおかげだ。左のPPK は 面取りが行なわれていないので三角形になっていない。
これだけでも面倒な微細加工だったと思う。手を合わせて感謝したい。


写真13
手に持つとまさに名銃の感覚。これぞ中型拳銃のかがみと言った感じ。 実物とスライドカットなどが少し違い PPK 、PP ともに戦後版スライドカットに近い。が、元のモデルがマルゼンなので無理は言うまい。全体のデザインバランスはたいへん良い。

2年前のPPK は、購入が冬で作動が悪かったが、今回は暑いせいかノーマルでバンバン、ブローバックする。真鍮でもOKだ。
ただマガジンと装弾用パイプの干渉か、スライドを持ち上げる力が働いている。その結果エキストラクタ部分に引っかかり スライド閉鎖不良を生じる。私の固体特有の物だろう。
今後、少し調整しなくてはいけない。 まぁ、おおむね良好だ。


写真14
あいかわらず加工精度は素晴らしく、エキストラクタの出が、足りなかった以外は特に問題は無い。

プライムやエッジなど海外メーカー品が出回る現在に、ホビーフィックスは大変であろうが、今後も名品を送り出して欲しいと願っている。 ただクアックアクションのガバメントやデテクティブなど普通にお店で売られる汎用商品が現在ではひとつも存在しないのは ちょっと気になる。特注品ばかりでなく手が届きやすい価格帯でも名品を量産してほしいものだ。


追 記


写真15

スライド閉鎖があと数ミリのところで詰るので原因を調べていたらようやく解決した。
写真右がPPK の物でエキストラクタが今回の方式とは違う。左のPP の分は、別部品のエキストラクタが 少しはまりきっていないので、インナーに矢印のごとく浮きが見られる。そのためマガジンに干渉しているようだ。


写真16
エキストラクタのカドの内側をほんの少し削ってやると写真のようにスッポリとはまり、インナーの浮きも無くなった。 スライド閉鎖も完璧になった。めでたし。この程度の事は、皆さん判るでしょうが、もし人の参考になるならと書いてみた。

エキストラクタは角ばった処理がなされているがスライド内面は円形に切削されているので 、ほんの少しだけエキストラクタの赤い部分にヤスリをかけると良い。エキストラクタは柔らかい材質なので ほんの少しにとどめるべきです。

エキストラクタがすっぽりと
はまらない人のみ行なってください。



その後のオ マ ケ


写真17

快調にブローバックしていたが、最近調子悪くなってガスがうまく発射されなくなってきた。そうするうちに 全然発射できなくなり、よく調べてみたらマガジンの閉鎖不良だった。

ジークのマガジンキャッチの材質の方がマガジンよりも強いようでマガジン側が削れてキャッチがマガジンを しっかりとくわえていないことが判った。

マルゼンのマガジンキャッチと交換して良好になった。
ジークのマガジンキャッチを使用するならマガジンを叩き込まずにキャッチを押さえて挿入すべきです。 そうしないとマガジンが削れます。


写真18
ついでにマガジン上部をばらしてみた。ネジをはずすとここまでは簡単にばらせる。
真鍮のバルブが当初はBB 弾発射方向用(銃身反対方向)に組んであり、強烈なガスが銃口側へ流れた後 真鍮バルブが開きブローバック用のポートへもガスが流れる設計のようだ。
この銃ではBB 弾を飛ばさないので真鍮バルブを銃口側閉鎖で組み込み直した。
写真で判るように、このとき小さなバネを紛失してしまった。
私は、いい加減な作業ばかりしているので小部品の紛失は多い。


写真19
何か無いかと・・手元にあった爪楊枝でバルブを止めた。そうとういい加減な仕事ぶりだ。
しかしGun は、快調に動いている。ガスガン・シロートの私は謎だらけの構造を解明する事を楽しんでいます。



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