写真00
ついに発売になりましたCAWのボーチャードです。
待ちに待っていましたが、どうせ遅れて4月の発売だろうと思い、先に2月に南部式拳銃を買ってしまっていたので、 3月発売の連続出費はけっこう堪えました。 写真のDWM版マニュアルは、別売りで購入しました。
 

写真01
なんとも素晴らしい出来栄えです。特に木製グリップの色は、実物かと見間違うようなすばらしい色です。 しかし作動は2重板バネのおかげもあり、重いなんてもんじゃぁありません。手が痛くなります。 トグルも途中で止まっちゃいます。  
おまけに私の購入した個体は、チャンバーキャップが外れて一発も排莢できませんでした(詳細は後述)。 なんだか私はCAW製品とは相性が悪いようです。

HWS と比較

写真02
半年前に登場したハートフォードのボーチャードと比較してみました。あまり気が進みませんが・・・。
すでにCAWから寸法図が示されて解っていたことですが、HWSの方が1cm小さいです。 CAWの方は、実物と2個一で製作されていますので実銃サイズでしょう。
 
外観再現度は、まったく勝負になりません。100ゼロでCAWの勝ちです。
HWSも良く出来ているのですが相手が悪いです。

写真03
全長で約1cmCAWの方が大きいです。写真で見るとよく分りませんが、HWSは手にすると一回り小さく感じます。  

写真04
マガジンを見ると大きさの違いがよく分ります。
どうしてHWS がこの大きさで作ったのか謎ですね。実物を型どったキャストモデルがいくつか存在してましたが キャストモデルというのは、樹脂型枠が縮んで完成物がモデルよりも小さくなることがあります。 その完成物をモデルにして作るとまた一段と小さくなります。そういう結果で採寸モデルが小さかったのでしょうか? それとも、わざとこの大きさにしたのでしょうか?謎ですね。
 

ここまでやるか・その1

写真05
CAW のボーチャードにかける思いはすさまじく、完璧なモデルを目指しています。
各部に彫られたシリアルナンバーは、実銃を完全にコピーしています。
 

写真06
表面からは、全く見えないところにまで実物と同じようにシリアルが打ってあります。
右下写真のブリーチは、作動させるためにサイド面を削ったためシリアルが消えかかっています。
 

ここまでやるか・その2

写真07
すべてのパーツにシリアルが打たれています。こんな風に実物を再現したモデルガンは、今まで存在しませんでした。 これは明らかに歴史に残る製品だと思います。
 
写真29 ストライカーと、エキストラクターにはシリアルは入っていません。これは、実銃もそうなっています。 消耗品だととらえられているのでしょう。プロトタイプのみシリアルが入っています。 情報は、右の書籍からです。
 
PISTOLE PARABELLUM

- History of the "Luger System"
 
by Joachim Grtz and Geoffrey L Sturgess
 
約3万円+送料で海外から購入できます。


ここまでやるか・その3

写真08
チャンバー上のローベ社の刻印も実物のフォントを模して打たれています。
右端に実物写真を置いています。
左端はハートフォードの刻印です。格好良いのですがフォントはオリジナルとは随分違います。
 

写真28
トグルピンに打たれた謎のMマークまでコピーされています。
 

写真09
王冠にBとUが目視、検査OKの刻印ですが、あちこちに打たれています。王冠GはライフリングOKですので バレルにしかありません。
 
ここで面白いものを発見しました。バレルにある口径のゲージ表記にカンマが無いのです。下に実物写真を置いていますが ハートフォードでは再現されていました。これをどう見ますか?
 
これだけ正確にシリアルや刻印を再現しているのに、こんなに解りやすいところでミスをするとは考えられません。 おそらく「完全なものは災いをもたらす」という故事に倣い一か所だけわざとにミスったのではないでしょうか? もしそうだとすれば、いかにも日本的ですね。

メカニズム

写真10
亜鉛パーツの表面は案外悪いのですが、塗装されていますのでヘビーウエイト材ともマッチしています。 スチール製のパーツもたくさん使われており完全にマニアックです。特にCAWの試作ビデオではエキストラクターが 亜鉛製のようでしたが製品化されたものは鉄製ですのでガンガン作動させることができます。
 
先月に購入した南部式拳銃とまったく差があります。南部は作動させられません。壊れます。
南部式でもCAWの儲けは無いのではないかと思いましたが、ボーチャードはまだ上を行っているのではないでしょうか?

写真11
ある意味、このモデルガンを象徴する2重板ばねとプレス品です。
ローラーストップはHWSでは省略されていた部品です。また、リコイル板バネは、2重のために作動させるのに ずいぶん力が必要です。こんなところまで実銃を再現しています。
 
海外の本物を持っているコレクターさんも貴重なモデルを完全にバラしてみることは、おそらく無いでしょうから 日本でモデルガンをいじっている私たちの方がボーチャードには詳しいかもしれません。 そんな貴重な機会を与えてくれるモデルガン製品です。

写真12
マガジンも最高に良く出来ています。実物にも使用できるのではないでしょうか?
撃針も2重スプリングが再現されています。ルガー拳銃も初期はこうでした。
 

写真13
こだわりは、こんなところにも。ストライカーはブリーチ内部で動くだけで、撃針はダミーの 別パーツが入れられています。こだわりの金属パーツです。
 

写真27
サイドプレートを止めるネジは、実物同様に先がとがっています。うーん、感激です。
 
写真30 右側の実物写真は、H&L がら購入したE-Book より取りました。
H&L では各種銃器のE-Book が売られています。
安いのですが、購入したマシンからでないと読むことは出来ません。
http://www.hlebooks.com/

 

謎のパーツ

写真14
私はMGC 福岡店で購入したのですが、そこでガチャガチャと作動させていたところ「カラーン」と何か部品が落ちました。 あれ?どこから出てきたのだろう??みんなで考えたのですが解りません。分解図にも載っていませんでした。
家に持って帰ってカートを入れて作動させてみるとすぐに解りました。一発も排莢しないのです。 「ここか」とチャンバーを覗くとありました。嵌っていたはずの穴が。
 

写真15
そうなんです、実銃はカートのショルダーがチャンバーに当たってそれ以上入り込まないようになっているのに対して CAWのチャンバーは弾頭の先端でカートをストップしていたんです。ですから純正よりも長いRIGHT 社のカートでは トグルが閉鎖不良になりますし、逆に短いハートフォードのカートは全く掴みません。
これを治すには、カートのショルダーをストップする径のパイプをチャンバーに挿入すると良いでしょう。
 
このパーツをチャンバーに入れるのは、結構難しいです。
ガスガンのインナーバレルに乗っけて静かに挿入しました。
私は瞬間接着剤を表面に着けて装着しましたが、人それぞれで挿入してください。
このパーツを前撃針タイプにしてブリーチを加工し、9mmカートを使用すれば簡単にブローバックモデルが出来上がりそうですね。

ここまでやるか・その4

写真16
左写真のようにコッキングしていないときにはシアが飛び出ていてセフティが掛けられません。右写真のように コッキングするとセフティが掛けられます。これは、実銃でもそうなんでしょうか?
もしそうであるなら、実銃感覚なエキサイティングな動作です。
 
これはストライカーの凸でシアーを押し出しているために起こります。そういえばコルト・ガバメントも ハンマーを起こした時にしかセフティが掛かりませんね。

MGC と比較

写真17
MGC の金属ルガーのトグルを入れてみました。ちょうど良い大きさです。
ボーチャードのブリーチがかなり長いことが解りますね。ルガー拳銃は、ボーチャードからあちこち改良されているんですね。
 

重さ

写真18
左はハートフォードです。CAW はグリップウエイトがかなり稼いでいます。
良い感じの重さです。実銃は床井氏の記事によると1,300g くらいあるそうです。
 

カート

写真19
左からトカレフ弾実物ダミーカート、RIGHT 社モーゼル弾、CAW、ハートフォード
CAWのカートは、昔の弾頭クリンプまで再現してあります。プライマーにはアメリカ・U.M.C 社を表す Uが刻印されています。
 
UMCとは、ユニオン・メタリック・カートリッジ社のことでアメリカの弾薬会社でしたが、1888年にオーナーが 潰れかけていたレミントン社を買収して合併させたのでレミントン・UMC社となりました。

写真20
ボーチャードのカートは歴史上大きな意味を持っています。開発したのは ゲオルグ・ルガー氏です。
写真は左からトカレフ弾、CAW、30ルガー、9mmパラべラムです。みな兄弟です。
 
ボーチャード弾を模倣して同サイズで威力の強いモーゼル弾が生まれモーゼルミリタリーに 使用されました。30モーゼルはソ連で模倣され同サイズのトカレフ弾となります。
もともと弾薬を開発したルガー氏はボーチャードを改良してパラべラム拳銃を開発し、使用弾も ボーチャード弾の全長を短くし30ルガーを生み出しました。30ルガーはやがてもっと 強力な弾へと改良されほぼ同じ大きさで径を大きくした9mmパラべラムとなりました。 それに伴いルガー拳銃も9mm口径へと移行しました。
そう、現在世界中で最も多く使用されている自動拳銃弾である9mmパラは、元流が ボーチャード弾なのです。
 
写真の30ルガーは、古風な弾頭がセットされていてネックもクリンプされています。 昔の弾は少しでも抜弾抗力を高めようと弾頭に溝を掘りそこでクリンプされていました。 CAWのカートもそれを再現しています。
 

プチ・カスタム

写真21
この素晴らしい実銃写真のようにブルーイングしたい、と思いいくつかのパーツを ガンブルーやアルミブラックで染めてみましたが、私の腕では無理でした。  

写真24
そこで簡単にブルーになるように、ミスターカラーの50番、クリアブルーを吹きかけて 似非ガンブルー仕上げにしました。クリアブルーは下地が透けて見えますので 下地にガンブルーを薄く染めていると良い感じの色になります。
 

写真22
これは両方とも私のCAWですが、右が購入してそのままの写真です。左は光の反射が 良くて右の写真よりも本物っぽいと思いませんか?
これは新聞紙で2日ほど磨いた状態です。もっと頑張ればピカピカになるかもしれません。
新聞を丸めてゴシゴシ磨きます。安上がりで良いです。
 

写真23
グリップは写真の中が購入時のままで、チェッカーリング部分にステインが入っていませんでしたので右の実物写真のごとくにしたいと思い、オイルステインを綿棒に付けて 慎重にチェッカー部分のみに流し込みました。それが左の写真です。
もう一回くらい染めても良いかもしれません。
 

写真25
以上のプチカスタムで仕上げた個体です。クリアブルーは、けっこうエゲツナイ色なのですが写真やビデオでは、そんなに分からないだろうと思い使用しました。
本人は気に入っています。トリガーはすこし青すぎました。
 
クリアブルーは、すぐに剥げますので簡単にやりかえられます。
 

おわりに

写真26
CAWもハートフォードも大好きなメーカだし、実際に最近購入しているのは両社のモデルガンばかりです。外観の再現度ではCAWの勝利ですが、箱出し状態の作動はハートフォードの勝ちです。CAWは、はじめからユーザーがいじることが前提なのでまともに動きません。
 
私はパソコンマニアでもあるのですが、OSやソフトの入っているマシンを購入することはありませんが、初心者にはメーカー品を薦めています。 このボーチャードも同じようにバラしたりする気のない人には、HWSを、マニアにはCAWをお勧めします。
 
変革者とは、リアルタイムでは変わり者にしか見られませんが、時が経つにつれ偉大さに 気づかされます。CAWの社長もやがてモデルガン界のスティーブ・ジョブズと呼ばれるように なるかもしれないと思わせるモデルガンの紹介でした。
 

おまけビデオ


Youtube に上げているものです。9分あります。1.4倍再生くらいで作っています。
 


おまけ PDF

写真31 おまけにレミントン・UMCのカートボックス・ラベルを作ってみました。
 
下のUMCのみが古い物ですが、上の箱時代もプライマーにU刻印がありますので CAWにはもってこいです。点線で描いているのはおおよその箱サイズです。
封筒などのクラフト紙に印刷してご使用ください。
 
右の絵をクリックすると別ウインドウにPDFファイルを開きます。