写真00
CAW から数年ぶりに戦前版PPKが発売されました。セカンドロットのようですが 最初に発売されてから、セカンドまでずいぶんと日が空いたということは、そんなに人気が 無かったのでしょうか? 当時、戦前型のPPKは製品化されていなかったので、すごく喜んだマニアがいたでしょうが逆に一般受けしなかったからでしょうか?
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かくいう私もファーストロットは購入しませんでした。
マルシン製品はワルサー社と契約していることでバナー刻印がありますが、CAWのモデルは ワルサー刻印がなかったことも売れ行きに関係があったことでしょう。
 
今回はプチカスタムでワルサーバナーが入ったものを入手しました。
普通の製品にはワルサー社バナー刻印は、入っていません。
 
箱のイラストにもあるようにRZM刻印のものも発売されました。

ビフォー・アフター

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CAW のPPK には、特別なグリップが付けられています。これは、ナチの幹部などに配給されたもののようで 英語で言えば”Honor Weapon of the Political Leaders" 直訳すると「政治的なリーダーの名誉武器」となり ドイツ語では ”Ehrenwaffe des Politishchen Leiters”となり、日本では通称エーレンヴァッフェと呼ばれているようです。 インターネット検索では「party lerder ppk」で英語系はたくさんヒットします。
 
CAW のPPK のグリップは、実物のワンピース型を良く模した形状で作られていますが、色がなんとも食欲をそそらない色で 残念なところです。
写真03
そこで、着色しちゃいました。染めQという革用の塗料を使用しています。
スライドも左側だけ加工しました。

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右側は、ノーマル状態です。クラウンにNマークは、検査合格刻印で実物同様再現されています。

写真19
グリップの塗装に使った塗料です。左側にあるワンピースグリップは、大戦中の実物グリップです。 マガジンキャッチ付近が欠けています。
どうです?写真で見る限りでは、色はいい感じになっているでしょう。本物を目にするとすこし違いますが、良い線には、いっていると思います。ライトブラウンを軽くかけて、仕上げにブリリアンレッドを点吹きしてあります。
 
本物のパーティ・リーダーグリップは、ブラウンが殆どで少数黒色があったそうです。

スライド形状

写真05
この写真は、上から3個が実物写真、4個目がCAWモデルガンで一番下が戦後版のPPK です。クリック拡大できます。
戦前型は、写真のようにスライド前端下部、リアサイトなどに特徴がありますが、自分はスライドの 平らな所と上部の円切削の繋ぎ部分に違いを感じます。セフティレバーから前方へ伸びる横ラインです。ここのくぼみがきついのが本物です。 戦後版やモデルガンでは、実物のようにくっきりとした影は出来ません。  
また、この写真でわかるようにセフティレバーの幅も戦前版はモデルガンよりも狭いようです。

プチ整形

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そこで、スライドの凹み部分を強くするために彫刻刀の丸ノミで削りました。
とちゅう、ノミが滑ってスライド平面部分に切り傷を入れてしまいました。 やはり、ヤスリでの整形のほうが安全でした。  
写真左は実物です。右側写真の青い矢印部分を左サイドだけ削って整形しました。

写真07
これは、実物写真ですが、スライドの凹み部分がくっきりとわかります。
かなり強烈に削っていますね。おかげでセレーションの三角形が、はっきりと現れます。

写真08
と、いうことで頑張って削った結果です。上の写真の実物と似た感じで仕上がっているのではないでしょうか?
 
彫刻刀やヤスリで削って表面をドライバーのプラスチックの柄でこすり平滑にしています。 そのあとに染めQの黒で塗装しています。この塗料は、皮膜が薄いのでエッジが立っていて良いのですが テープなど貼るとすぐに剥げます。見た感じだけです。ティッシュで磨くとこのように光ります。
 
セフティもレバーのみぞを一本削って狭くしています。とりあえずは満足です。この写真は拡大できますので じっくりご覧ください。実銃のマガジンキャッチは、面取りされていますね。

カート

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自分が購入したものは、CAWの別会社Mule からでしたが、おまけにカートに刻印が施されていました。 通常の製品には無いと思います。 この刻印ですが、調べてみるとボーチャードを作っていたDWM社の刻印で、自分が調べたなかでは ボーチャード弾と30ルガー弾に見られます。初期の頃の刻印ですね。 残念ながら32ACP では見つかりませんでした。
 
参考ページ↓
32ACP 各種 http://www.municion.org/32acp/32acp.htm
 
DMK 刻印が見られるボーチャード弾↓
http://www.municion.org/Borchardt/Borchardt.htm

マルシンと比較

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CAW のファーストロットが発売された頃にマルシンからも戦前版が発売されました。
どちらが先だったか忘れましたが、CAW つぶしだったのかもしれません。
 
一見してわかるようにマルシンのグリップの後部がストレートで気に入りません。
実物は微妙なカーブを描いているのですが、マルシンのグリップ形状には愛が感じられません。 また、フレームのビーバーテール部分がマルシンのほうが少し長いです。
写真11
フレーム幅は、ほぼ同じですがトリガーガードが右のCAWの方が広いです。また、隙間も全然違っていて CAW の方がピッチリとできています。私は購入する前はフレームはマルシンのままかと思いましたが こうやって見ると全然違うものですね。

写真12
前方から見るとマルシンのものはスライドと隙間があって興ざめです。CAW はここもしっかりと出来ています。
 
左の実物写真の感じからいくとスライドの断面形状はマルシンのほうが近い感じです。
CAW の物は長円の感じで、もうすこし円周を削りたくなります。

写真13
トリガーガードは、マルシンには実物にないボールが嵌めこまれています。ガタツキ防止でしょう。
CAW の方には、実物にあるはずの穴が空いていませんが、写真のようにフレームに引っ掛けて 分解モードを取ることが出来ます。実銃をバラすときには、こうするようです。

写真14
シアは全然別物ですね。バネも違うしカバーの精度も違いますね。
左側がCAW の製品です。両者ともに戦後版フレームをコピーしています。戦前版はマルゴーのPP が正確です。
 
モデルガンでは、このシア部分にバネが仕込まれていますが、実銃はトリガーバネのみでシアを元に戻しているようなので かなり強いバネが使われているのでしょうね。

グリップ比較

写真15
左上からマルシン、その下がCAW、右上が実物グリップ、右下がMGCです。
 
マルシン以外はいい感じのカーブを再現しています。ワルサー社は当時カール・ワルサーの息子であるフリッツ・ワルサーさんの時代ですが、彼の美意識なのでしょうか、トリガーガードに微妙な曲線を用いるなど直線嗜好のブローニングとは 好対象です。このグリップ後端のカーブにもセンスを感じます。
写真16
横から見た感じでは、みなさん違いはなかったのですが、下から眺めると左2つのマルシン、CAW が少し短いことに 気が付きます。一番右のMGC は左隣りの実物グリップをよく再現してあることに驚きます。

写真17
登場したモデルたちです。実物グリップはCMC に装着しています。CMC は他のPPK に比べて少し小さいようです。 MGC は戦後型ですがいい感じで作られています。

おわりに

写真18
CAW PPK をバラしていじっていたらブリーチ内部品を壊してしまいました。以下注意事項です。
 
  1. ファイアリングピンを押しこむと2度と出てこなくなる。要注意。
  2. それと連動してなのかインジケータが出っぱなしになった。
  3. インジケータを押しても引っ込まないので逆にペンチで引き出してみたら、どひゃーと出てきてそのまま引っ込まなくなったので ニッパーで切り落とした。
  4. エキストのネジ穴をなめてしまったので2.6mmタップで切り直した。
 
うーん、買って一ヶ月で完全ジャンクと化してしまった。いじる人はお気をつけ下さい。 ちなみに、ブリーチ部は接着されていますのでブラックボックスとなっています。 上記のようになったら修繕するには実物のブリーチみたいにミゾ状に穴を開け内蔵を取り出すしかないでしょう。 そのうち挑戦してみたいと思います。

分解図