写真00

写真01 MGC は後期には様々な刻印カスタムを販売していたようです。どれも少数だったようで、箱もカスタム仕様専用の箱を作って、 それにカスタムした写真を貼りつけて販売したようです。ネットオークションでも稀にしか出てこないので見かけるたびに、ついついポチってしまうことも多いです。

中身は右のようで刻印は自分でホワイトを入れました。付属品の箱にはリアルサイズ発火用カートが入っていました。


マーク3?

写真02 写真03

このカスタムは、マーク3ということですが、ハードウエア的にはGM 12 の刻印カスタムです。 落札後、どのような説明書きが入っているのか楽しみに待っていましたが、残念なことにマーク3の説明チラシは入っていませんでした。

調べてみましたら、実銃でのこのマーキングは一般的に プレ 70 と呼ばれるもので、有名なマーク4・シリーズ70の 少し前に作られたものです。 マーク4のひとつ前だからマーク3で良いのか?というとそうでもなく、コルト1911のバレルには、れっきとした マーク3が存在していたのでした。3があるということは、そうマーク2もあります。さすがにマーク・ワン刻印は無いのですが それに相当するファーストモデルは存在します。


38スペシャル用ガバ

写真11 こちら、実銃の写真ですが、かなりレアな38スペシャル・ワッドカッター弾使用のナショナルマッチ・ミドルレンジです。

ストレートブローバックでマガジンには、38スペシャルが5発入ります。38スペシャルは、そうリボルバー用の弾なので ワッドカッターしか使えません。38口径以上禁止の射撃大会用のガバメントです。

S&W 社のM52 に対抗したものかもしれません(時期はコルトの方が早い?)。

以下是非ご覧ください、素晴らしい解説ページです。バレルのチャンバー刻印にマーク2とマーク3が見られます。 シリーズ70ゴールドカップはこの位置にマーク4の刻印がありますので、そのまま素直にマーク3からの続き番号と捉えていいのではないでしょうか?(自説です)



プレ70

写真06

と、いうことでこのMGC モデルは、プレ70モデルということで見てみましょう。 シリアルは、残念ながら実銃の書籍の範囲を少し外れています。この辺の詰めの甘さがいかにもMGC らしくって 好きなところでもあります。おっしいなぁ・・・と、こちらの方が勝ち誇ったような感じを抱かせてくれます。 と、いってもこっちも単に書籍を参考にしているだけなので、それほど知識があるわけでも偉いわけでもありません。 ひょっとしたらMGC は実在のシリアルから取ったものかもしれません。

写真08 私の参考にした書籍には、1956年からイタリックの袋文字刻印となり、おおむねシリアル273000-C あたりだそうですが、ネットで それ以前の 272334-C というのは見つけました。MGC のシリアルはもっと古くて270550 C です。
調べてみましたら1955年製 のようです。


プレ70実銃写真

写真10

実銃のお話ですが、プレ70には普通のタイプとナショナル・マッチタイプとBB タイプとの3種類があります。 普通のプレ70は会社の持ち主が変わり社名が昔ながらのコルト・パテント・ファイア・アームズに戻ったので ロゴもイタリックにして格好良くしたものです。ナショナルマッチは、トリガー幅も広くなった競技用銃で外観だけは、ほぼシリーズ70・ゴールドカップと変わりません。それに対してBB シリーズは、中身のメカに大幅に改良が加えられていて、 コレット式のブッシングとそれに合ったバレルに変更されたものです。そう、それこそマーク4シリーズ70の プロトタイプなのでした。バレルとフレームシリアルにBB 刻印が入っています。

また、この頃のコルトのプラ製グリップは、品質に問題があり経年で収縮してしまうものでした。したがって オリジナルグリップの写真をようく目を凝らして見るとネジ穴あたりでグリップが縮んでいることが分かります。 上の写真がまさにその状態です。ナショナルマッチは、プラではなくメダリオン入りの木製グリップでした。


コルト社買収の話

写真13 第2次大戦終結ののち経営に喘いでいたコルト社は何度かオーナーが変わったようですが、1955年にはPenn-Texas 社に買収されました。それを機に昔の会社名であるコルト・パテント・ファイア・アームスに戻したのでスライド刻印も斜体にして格好良くなりました。ちなみにその前の社名は1947年にコルト・マニュファクチャリング・カンパニーに変更されていました。

MGC・メカ

写真04 写真07 メカ的には、普通のGM-12 リアルカート仕様です。バレルにフィードランプが付いたやつです。 チャンバー刻印は何もありません。

グリップ交換

写真09 上の方の実物写真にあったように、本物のプレ70のコマーシャル版には馬マークの付いたプラスチック製グリップが装着されていました。 ちょうどMGC にはそのマーキングの黒色グリップが存在していて、それを塗り替えたものをオークションにて入手しました。 そのうちもう少し実物っぽい色に塗り替えようと思いますが、今はこの形が完成形です。これぞ、MGC プレ70 コマーシャルの姿です。なかなか良いんじゃぁない?

写真14 プレ70 刻印は、昔のCMC でも採用されていました。袋文字がなかなか格好いいですね。

実銃でもこのあとシリーズ70の間じゅう 使用された模様です。


ガバ・コレクション

写真15 ガバメントは、たいへん長い間造られ、軍用、民間、射撃用 など様々な状況に応じたバリエーションが存在してすべてを集めるのは 不可能でしょう。また、特許が切れたのでコルト社以外のクローンも多数存在しています。 私は、こんなに長く愛されているのは、トリガーがシンプルに直線的にシアを押すことによる操作感覚の良さが原因なのではないかと思っています。ワルサーP38 やベレッタ92などは片側にトリガーバーがあり、力のかかり具合が均等ではありません。また、トリガーを後方へ直線的に引く指に対してトリガーは上方へ回転運動を行います。これってあまりいい感触ではありません。 対してガバは、力のかかり具合が人間工学的に心地良いのではないかと私は思っています。

まぁ、そんな想像はどうでも良いとして、とりあえずゴールがないコレクションのためにバリエーションを列記してみたいと思います。 トイガン再現については知らない部分も多いので知っている方がいましたら助言いただけるとありがたいです。


軍用タイプ

背景が黄色の行は、コルト社以外の製造です。

年代タイプ特 徴トイガンモデル化
1912初期型サークルランパント刻印 六研 ジーク MGC
1912初期型イギリス向け、1915年から455口径 新橋鉄砲玩具 エラン WA
1914初期型サークル無し刻印 リアルマッコイ
1914初期型他社製スプリングフィールド工廠 リアルマッコイ エラン WA
1914初期型カナダ向け
1914初期型アルゼンチン向け、A1も有 MGC、CAW、WA
1915初期型ノルウェー向け エラン、WA
1915初期型フランス向け
1916初期型ロシア向け
1917初期型オランダ向け
1917初期型フィリッピン向け
1918初期型刻印変更・馬印が真ん中エラン
1918初期型他社製レミントンUMC社 エラン MGC、WA
1918初期型他社製A.J.サベージ社?
1918初期型他社製ノースアメリカン社
1918初期型他社製ウインチェスター社プロトタイプエラン
1921初期型ブラジル向け、A1 もあり
1922初期型メキシコ向け
1924A1型トランジション型 MGC WA
以降A1型
1937A1型A1ミリタリー型各社
1941A1型 レンドリース・イギリス向け
レミントンランド製、
イサカ製 もあり
1941他社製シンガー社??
1942A1型コマーシャル・ミリタリー ホビーフィックス
1943他社製レミントンランド社CAW
1943他社製US &S
ユニオン・スイッチ&シグナル社
??
1943他社製イサカ社??
1943A1型レンドリース・カナダ向け
1955Springfield 製
Rock Island 製
キャンプ・ペリー向け競技銃??

他にも1924年から42年にかけて少数がコロンビア、キューバ、エジプト、香港、中国などへ輸出されています。


コマーシャルタイプ

以下は書籍から拾ったもので年代や内容にやや??なところもあります。

年代タイプ特 徴トイガンモデル化
1912初期型サークルランパント刻印
1914初期型サークル無し刻印
1918初期型馬印が真ん中
1920初期型スライドマーク変更、馬印は右側へ
1932A1型・45口径 ナショナルマッチ登場 ホビーフィックス
1934A1型・38スーパー競技スーパーマッチ登場
1936A1型・22LR 口径エースモデル登場
1937A1型・38スーパースウォーツセフティ装備
1947A1型左側刻印の社名変更
(馬は右側)
1949A1型馬印が左側へ戻る
1956A1型プレ70コルト文字が斜体になる
(会社買収)
MGC
1957A1型・ナショナルマッチゴールドカップ登場
(カップ刻印はまだ)
CMC
195838AMU口径38スペシャルのリム改造競技用
196038SPL口径38スペシャル・競技用
1970A1型プレ70BB 刻印 ホビーフィックス
1970A1型・シリーズ70マーク4・シリーズ70 エラン ホビーフィックス 、他多数

このあとシリーズ80や90になると思うのですが、なんたって参考にした書籍がシリーズ70までしか書いていないので ここで止めにします。


参考・口径別

年代タイプ特 徴トイガンモデル化
191245口径軍用各社
1916455ウエブリー
オート
イギリス向け新橋模型、エラン、WA
193438スーパー競技用エラン、MGC
193622LRバレル、スライドキットもあり
19499mmパラ9mmLUGER 刻印、9連発エラン
195838AMU 38スペシャルのリム改造競技用
196038SPL38スペシャル・競技用

参考書籍

写真16 あいかわらず私にとってのバイブルたちです。
両サイドは軍用のみ記載、真ん中はコマーシャルと輸出用が記載されています。

おわりに

写真17 かつて私は、刻印違いの収集には否定的な人でした。ですが歳をとったせいなのか、最近は刻印違いに喜びを見出してしまいます。 何故なら、それぞれの刻印にはそれなりの意味が潜んでいて、それを解明することでその時々の歴史がよみがえってくるのを ワクワクと感じるからです。

しかし、同じようなものをたくさんコレクションすることになり、他の人からは相当に冷めた目線を浴びることになりますね。 まぁ、そこそこに自分をおだてながら集めることにしましょう。