.30 Luger (7.65mm Parabellum)

Georg Luger
1849-1923
この弾の作者Luger 氏は、床井雅美氏によるドイツ語読みで
「ゲオルグ・リューゲル」、英語読みで「ジョージ・ルガー」、日本では混在して「ゲオルグ・ルガー」と呼ばれている。
彼の開発による「ボーチャード拳銃を改良して生まれたピストル」は、1900年スイス軍に採用され、その後 ドイツ軍にも採用され現在ではルガー拳銃として広く知られている。 また、現代最もスタンダードな自動拳銃弾として存在する「9mmルガー」は彼の名から来ている。

9mmルガー弾とP-08 は日本でも有名だが、当初ルガー拳銃は30口径で設計製造された。 今回は30ルガー弾を紹介したい。


世界初の自動拳銃

金属薬莢式弾丸が発明され、回転式拳銃は成熟してきていた。ヨーロッパでは多くの技師が その発射エネルギーを利用して自動的に装填できる拳銃を開発していた。
1893年、ドイツ人ボーチャード氏による世界初の市販自動拳銃が完成した(この時期、他社も 自動拳銃を開発していたが一般に、この拳銃が世界初と呼ばれている)。 開発はのちにDWM社となるLL社で行われ、スタッフは設計者のボーチャード氏とルガー氏であった。 使用弾である30ボーチャード弾はルガー氏の設計といわれる。

世界各国への売込みには、ルガー氏があたり、その優秀な射撃の才能で、この自動拳銃の デモを行った。このときの現場での生の声を聞いたことがルガー拳銃誕生に結びついたのではなかろうか。


強敵現る!

1896年、モーゼル社で開発、製造された自動式拳銃が発売された。 その名を「ミリタリー・ピストル」軍事用に強烈なアピールを送った。口径はボーチャードと同じく .30でしかもカートリッジ形状はボーチャード弾の丸写しで装薬量を増やした高速弾である。
強固な機構と強力弾で市場の評価は、よかったと思われる。多国に採用された。使用弾は現在でも トカレフ用として知られる。

名品完成

いっこうに軍に採用されないボーチャード拳銃をかかえるDWM社は、改良をボーチャード氏に 命じるも聞き入れられず、その作業はルガー氏に回ってきた。自身の作にこだわるボーチャード氏と ルガー氏は不仲になって行った。ルガー氏により現場の要望を多く取り入れ軽量化され 完成された拳銃は、1900年いち早くスイスの軍用に採用された。 民間にはモーゼルミリタリーに対抗してか「パラベラム・ピストル」(ラテン語で戦争に備える)と 命名され販売された。弾薬はボーチャード弾を短くした7.65mm パラベラム(.30ルガー)。 装薬や弾頭を見直しボーチャード弾よりも強力になっている。

パラベラム拳銃は、.30ルガー弾の口径を大きくした9mmx19(9mmルガー)弾に変更されドイツ軍にも 採用され、この9mmルガー弾はサブマシンガンやワルサーP-38などに採用され続け、 軍用として成功した。現代でもグロック17など軍用、警察用に多く使用されている。日本の 自衛隊も9mmルガー口径である。


30モーゼル 7.62トカレフ 30ルガー 9mmパラ   8mm南部  

30モーゼルとトカレフ弾はリムの厚みが少し違うが共用できるらしい。
30ボーチャードを短くした30ルガー弾。それの口径を大きくした9mmルガー、と順番に並べている。 南部弾は直接の関係はないが、30ルガーに見た感じがよく似ている。年代から言っても 参考にしたのかもしれない。

性能比較表(Cartridge of THE WORLDより)
名 称弾頭 gr初 速ME
30ボーチャード851280312
30モーゼル861410375
7.62トカレフ861390365
30ルガー931240321
9mmルガー1051316408
8mm南部83 950166


左から
30モーゼルは7.63MAUSER と刻印がある米国ミッドウェイ社製。
トカレフ弾は♂のマークがあるチェコ製。
30ルガーは米国ウインチェスター・ウェスターン社製。
9mmルガーはドイツ軍用、1942年製aux の鉄ケース。
南部弾はオリジナルである。
30ルガー弾の発売された当時は、ニッケル弾頭であったらしいので 普通の銅ジャケットに
ニッケルメッキをかけてみた。Gun はタナカのガスガンP-06。色を塗って仕上げた。
自作メッキは、いまいち光りかたが悪い。
P-06 には30ルガー口径と9mm口径の物があったらしい。

この30ルガー・ダミーカートは新品ケースに.308ダイアのシエラの110グレイン 弾頭を突っ込んで自作した物であるが、正規の弾頭は309 ダイアである。 おおむね90グレインぐらいらしい。1000分の1 インチの違いくらい大したことはないだろうと 思っていたが、弾頭がゆるゆるで驚いた。手で強く押すと落ち込むかもしれない。 実射においては308 ダイアの弾頭でも支障は無いそうだ。でも110 グレインなんて 重たい弾頭を使用する人はいないだろう。飛行性能が極端に悪くなると思う。


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