7.92 クルツ アサルトライフル弾

第一次大戦に敗れたドイツでは武器開発は禁じられていたが密かに様々な兵器が 開発されていた。193?年、ピストル弾とライフル弾の中間威力の小型弾が 開発されようとしていた。これは1次大戦での経験から実際の交戦距離が 想定よりも近かった事に起因する。世は塹壕戦ではなく機動的に動き回る戦いへと移っていた。 そこで400m〜600mで殺傷能力がライフル弾と 変わらないのであれば弾薬は小さくてもよく、反動が小さければ機関銃のように フルオートが可能となるため、いろいろな長さのケースが試された結果33mmが 選ばれ1941年7.92mmクルツが完成した。口径が7.92mm なのはライフル弾が 7.92mm であったためだろう。弾頭もケースも新規開発となると大変なのでとりあえず 口径はそのままで行ったのではないだろうか?

図は世界初の突撃銃 MP44。設計は、かの有名なヒューゴ・シュマイザー氏。

発射する銃の開発は、ワルサー社とヘーネル社が試作をし、ヘーネル社の物が採用され mkb42 からmp43 となる。その後MP44 となりヒトラーの反対により細々とマシンピストル(サブマシンガン)と 偽って製造されていたが、あるとき現場からの切実な要望がヒトラーの耳に入り正式に重点製造される 運びとなり、名称もスチューム・ゲーベル=嵐の銃(Sturmgewehr) stg44 という戦意高揚型の名前となり、こんにちの アサルトライフル(突撃銃)の元祖となった。

ちなみにアサルトライフルの定義は、小型弾薬を使いフルオート可能な小銃という概念だと思う。

製造簡易なプレス加工の本体に反動を抑えやすい直銃床、フルオート可能な銃で 戦後のライフルの流れの元となったが、実戦では数が間に合わず活躍していない。 主に東部戦線でソビエトと対した。

皮肉な事に戦後シュマイザー氏はソビエトに渡り長年銃器の開発に携わった。亡くなる前年にドイツに帰国した。

7.92クルツ弾から派生したと思われる7.62x39 (AK47の弾)は、現在世界中でもっとも多く使用され 突撃銃弾として最高性能だと言われているが、シュマイザー氏が関わった物かどうかは知りません。

stg44 には、このように5発クリップに入れられた弾丸が供給された。15発または20発入りの 紙箱だった。クリップは7.92モーゼルと同じ物。
stg44 のマガジンは30発入る。


弾 頭

重さは125グレインだったそうだ。左に比較のために置いたシエラ30口径が150グレインである。
シエラの弾頭には鉛が詰まっているが7.92クルツには鉄が入っている。
すこし錆びているのが判ると思う。鉛は錆びる事はない。
貫通力を狙った物ではなく、鉛の資源を節約したのではないだろうか?
ソビエトでは、そうだった。結果として貫通力が増す。 以上は想像である。 鉄なので下の写真のように磁石にくっつく。さすがに3個は無理であった。

こーーんなことや

こーんなことまで出来ちゃう


伝火孔はひとつ

ベルダン型プライマーには通常は2個の伝火孔(あな)が開けてあるが この弾はひとつしか穴がない。手持ちの2種類のカート共に穴はひとつである。


ヘッドスタンプ

図と写真が反対になってしまったが図で言う左側カートの04 は製造会社をあらわし下の59というのが製造年を表す。したがって戦後の1959年製だと思われる?? 04はaux 記号のPolte-Werk 社 Magdeburg かも??このあたりは最近調べだしたので良く判らない。

右側カート図のdeというマークは製造所を表すと思うが、インターネットで調べてもunknownとなっているところが多い。 http://cartridgecollectors.org/headstampcodes_bottom.htm によると Hugo Schneider A.-G.という会社 Werk Leipzig町 ドイツ ということらしい。左側の45が製造年を表し 1945年製ということだろう。右側のSt はおそらくはスチール製をあらわす。鉄製のカートはSまたは St の文字が打たれていたようだ。

1945年は4月30日ヒトラーが自殺しドイツが降伏した年だ。その4ヵ月後日本は2発の原爆により降伏した。 ほんの数十年前の出来事だが、生きる事が大変な時代があった。わけもなく多くの命が失われた時代。 その頃の人々は特別な人ではなく、私たちと同じ人間だ。


鉄ケースの仲間

鉄ケースがなんとなく気に入ってぼちぼち集めた結果。
左下のAK47 のものと中心やや右に置いた7.92モーゼル弾は赤色鉄で、まるで真鍮か銅のように見えるが 鉄製なので磁石にくっつく。
全部弾頭にも鉄が入っているので弾頭も磁石にくっつく。

これだけ集めるのに結構な無駄使いをしている。病気かもしれない。バカだ。

ちなみに、この子はケースに穴が開けられた物であるが、買う前に懸念したよりもあまり気にならなかった。 日本に住んでいるかぎり、穴を嘆くよりも入手できる事に感動してしまう。 お値段は無可動実銃で有名なシカゴレジメンタルで購入、1万くらいだったと思う。


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