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ストレート引きボルトアクションのマンリカ1888 モデルに使用されていた8x50R 弾の後継弾の8x56R 弾。 少し長くなっている。8x56R は読んだ如しで8mm口径、ケース長が56mm、リムド形式である( ケース長は実際は55.5mm)。 |
このイラストはマンリカモデル1895 のショートタイプである。騎兵銃といったところか? モデル1888 で画期的マンリカ式弾倉を開発したステアー社は、次期ライフルも同じ形式の マガジンを採用しているが、ボルト閉鎖はモデル88 がボルトの下側でロックするだけなのに対して モデル95 では、モーゼルのようにボルトヘッドが回転して2つのラグが噛みこむようにして 強固な閉鎖方式となっている。 |
モデル88 のようにストレートにボルトを操作することと互換性を持たせるために
ボルトは2分割されていて、図の濃いピンク色の部分のボルトヘッドのみカムで
回転するようになっている。兵士は以前のモデルと同じようにボルトを前後に動かすだけでよい。
モーゼルなどに比べて閉鎖性、安全性は少し落ちる。 図では茶色でマガジンフォロアーにかかる板ばねを描いている。2枚ある。トリガー前方には クリップキャッチを白色で描いている。
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クリップは0.5mm のスチール製である。よく出来ている。 リムドケースなのでリムの部分が少し広くなるように、カート胴体部分のクリップ幅を 狭めている。 この写真の右側の膨らんでいるところから弾を入れる。
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5発揃ったらこのままライフルに入れる。するとクリップキャッチにより
クリップ後部上方に爪がかかるようになっている。
カートには板ばねによる上方へのテンションがかかっており、一発撃つごとに
下から次弾が送られてくる。全て打ち終えるとクリップは下に落ちるようになっている。
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ライフルの機関部にはこのように開口部がある。ここから撃ち終えたクリップが
落下してくる。 マンリカ・ライフル参考ページ↓ http://world.guns.ru/rifle/rfl18-e.htm
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ナチマーク入り
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このダミーカートは、ヒトラー率いるナチスドイツがオーストリアを併合している時期
に製造された物だろう。ナチマークの刻印がある。 オーストリア併合は1938年に行われた。当時、反対運動も激しかったようだが首相暗殺、 ヒトラーの軍隊越境という強硬手段、国民投票結果などに世界各国も併合を認めた。 当時のオーストリアは、現在のように領土は小さくなく、2次大戦後独立した各国を含んだ 大きな土地を持っていた。もともとドイツとは同じ民族でありヒトラーもオーストリア出身である。 ドイツ民族による統一国家は長年のドイツ民族の夢でもあったので併合に賛成派の人も多くいたようだ。 現在では、ドイツとの合併は禁止されている。 (併合といえば聞こえは良いが、要は占領、のっとりであり、侵略である。) ナチマーク8x56R 弾・参考ページ↓
http://www.municion.org/8x56RMann/8x56RMann.htm
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1938とは、おそらく1938年製のことだろう。VIII というのは製造工場の記号では無いだろうか?
VII という刻印もあった。
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クリップ背面にもナチマークがある。ナチスの行った事は人間として許される物ではなく
恐ろしさを感じるが、このような物を平和な時期に眺められるのは本当に幸せな時代に生まれたものだ。
「親と時代は選べない」とは、私がいつも思っていることだが、銃弾や爆弾が飛び交う時代に
生まれなくて良かった。次の世代もその次もそのような時代が来ないことを願う。
オーストリアは、ハプスブルク家に650年も統治されていた。第一次大戦の引き金となる サラエボ事件からセルビアへの宣戦。一次大戦敗戦後の戦勝国の制裁による不満の蓄積からナチスの 台頭を呼び込んだのかもしれない。民族の対立やナチスの行動などオーストリアの歴史を 読んでいくと大変面白い。現在の紛争にまで続いてゆく。ただ今勉強中。
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このような箱にクリップ付で2セット入って供給されたようだ。 青い色で描いている部分はスタンプのような物が打たれている。どうもこの印鑑があると無いとでは コレクターにとってずいぶん違いがあるらしい。もちろんあるほうが貴重な物らしい。 (詳しくは知らないが・・・)
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オークションで1万で入手したが、このような歴史的なものを販売してくれた
出品者に感謝します。それまでは、オーストリアがどこにあるのかさえ知らなかったが
見識が増えてきた。今も昔も、歴史、民族、宗教の対立は恐ろしい。人間は何百年も昔から
あまり変わってはいないようだ。 |
追記
マンリッカーとは人の名前で、連発銃といえばチューブ式弾倉の時代にユニークな
クリップで弾薬を保持する垂直型弾倉を生み出した銃器デザイナーの http://www.austro-hungarian-army.co.uk/biog/mannlicher.htm
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