US アーミーが使用していたスイベル式のガバメント用のホルスターです。
Gun はウエスタンアームズのガスガンです。
このホルスターは数年前に米国のオークションで落札して購入したものですが、このたび改めて調べてみて大変に珍しい物では ないだろうかと思いましたので紹介します。
このスイベル式ホルスターは、モデル1912 と呼ばれています。
写真の右はモデル1916 と呼ばれる、ごく一般的なガバメント用のホルスターです。
ちなみに、ガバ用の実物ホルスターは日本で購入する方が安いです。
米国人にとって、45口径とかガバメントなんかは、魂を震るわす物のようで オークションでは決まって高価になります。
裏はこんな感じです。構造はほとんど1916 と同じです。
こんなふうに使用していたようです。騎兵用だったのでしょうね。
レアもの、1911刻印
モデル1912 と呼ばれているのに1911年の刻印が打ってあります。
考えてみたら1911年にガバメントが正式採用されているのだからホルスターも同時に採用されたはずですね。 しかし、モデル1912と言われているのだからホルスターの採用は遅れたのでしょう。
この1911年刻印は、ネットで調べるといくつか取り上げられています。
やはり、数は少ないようです。
この2枚の写真は、別の個体です。R.I.A. というのはロック・アイランド・アーセナルといって ホルスターや銃器を製造していた工廠です。
T.C.C. というのは検査官の名前をあらわすインスペクターマークです。
Thomas C. Carroll さんという方の刻印だそうです。
こちらのオークション解説から知りました。↓
http://www.icollector.com/Rare-1911-Dated-U-S-Model-1911-Swivel-Holster_i11027197
謎のインスペクターマーク
さて私の持っているホルスターの刻印を見てみます。
R I はおそらくRIA と打ってあったものがA は見えなくなっているものと思います。I は写真では見えませんが 肉眼では、かすかにわかります。
1911年の下に TCC も打たれています。その右側に謎のW.G.K. 刻印があります。
よく見ると、このホルスターにはあちこちにこの刻印が打ってあります。
L.W.G.K. とW.G.K. の2種類がみられますが、ネットで調べたところ、これはインスペクターマークで 3文字はファミリーネームを省略した形だそうです。あちらの人々は、名前が4個もあるんですね。
やたらと打っています。ホルスター完成の検査は、T.C.C. さんが行っているのに、こんなにたくさん 別の検査官の刻印があるのは解せません。このような刻印いっぱいのホルスターは、ネットでも見つかりませんでした。
この写真のバックルのすぐ下にもW.G.K. 刻印があり、ホルスター先端にも打ってあります。
このカーブしたところにある刻印から推理してみました。
皮細工をしたことがある人はすぐに解りますが、カーブして浮き上がった部分に刻印をきっちり打つことは出来ません。 おそらく、この刻印は皮を丸める前の個別のパーツ状態に打刻しています。 そう考えるとホルスター先端や裏側の刻印もすべて別パーツなので、刻印の多さも納得がいきます。
これはネットで取ってきた1912ホルスターの図面ですが、おそらくこのような皮素材を切り出した後、 縫う前のパーツ状態に検査官のL.W.G.K さんが刻印を打ったのではないかと思われます。
まだ正式採用前で試作品段階だったホルスターのため、このように素材段階から検査を入念に行っていたのでは ないでしょうか?だとしたら、このホルスターは1911年製造の中でも、ごく初期の製造の物だと思われます。
ふたの裏側にあるL.B.H. ?のように読める刻印の意味は解りませんでした。
1911年と言えば、今から101年前の物です。当時は自動拳銃が初めて兵器として採用されたので 最新の光を放っていたことでしょう。工員さんたちが工場から送られてきた皮にせっせと刻印を打つ姿が 想像されます。刻印が打たれた皮は次の工程に回され、縫製は女性たちが行ったのでしょう。
このホルスターは完成したあと、どんな人が身に着け、どんな戦場に出たのでしょうか?
100年前に思いを巡らせてくれたレアなホルスターの紹介でした。