SAA あれこれ

亜鉛製・プラ製モデルガン
写真00

いつか比較しようと思いあちこちに転がしていたSAA たち。集めてみたら こんなにありました。あとブラックホークもあったなぁ・・。もちろん全部が自分のものではありません。1/3は借りてきています。

金属モデルガン党の私の独断で、各社の製品を比較してみたいと思います。
なお、MGC 製SAA は、そのメカが気に入らないので、この中には入っていません。


はじまり

写真01

日本で初めてSAA のモデルガンを作ったのは、MGC ではないでしょうか?
1950年代に一大西部劇ブームがやってきたので、男の子はみなシングルアクション拳銃に憧れていたようです。ウエスタンアームズの国本社長たちの世代でしょう。

やがて中田商店がアメリカからCAP ガンを輸入販売しだし、MGC がそのコピーを製造し始めます。1960〜61年にかけてです。同様にCAP ガンのマテルの丸ごとコピーを製造したのが、江原商店、のちのCMC です。写真右は、1963年2月号のGun 誌に出てくる 「史上最高の傑作」の文句で販売を始めたCMC 初代です。ボルトの入る溝がシリンダーに初めて付けられました。

写真左は、おおよそ40年後、ランパントクラシックから発売された究極のSAA ファースト・ジェネレーションです。日本で1st ジェネレーションを正確に造ったのは、これが最初で最後のようです。

この2つの間には、多くの規制と長い年月が流れていますが、SAA モデルガンは、いまでも生き残っています。


写真02

とりあえず、このあたりを比較してみたいと思います。 写真左から

コクサイ
 オールドタイプ

CAW シェリフ

マルシン・シェリフ

CMC 3型
CMC 3型オールドタイプ
CMC 2型
マルシン・バットマスターソン
東京レプリカ(中田)

CMC 系

写真03

左からCAW 、CMC 3型、CMC 2型です。CAW の物は1994年発売のCMC の金型を 引き継いだ、タナカSAA のカスタム品です。タナカのシリンダーには先端の面取りのような ベベルカットが少し入っていましたが、CAW の物は、単なる面取りに変化しています。

CMC 2型も味があって良いものです。ハンマーは3型を削って付けています。
2型は、貫通シリンダー ( 銃身内発火式 ) の物がほとんどです。


写真04

CMC にもベースピンスクリューがバレル下側にある、いわゆる黒色火薬タイプの製品があったなんて知りませんでした。刻印も左写真の 、ふつうの3型と違います。US アーミー軍用を再現しています。グリップには、検査官のイニシアルも再現されています。でも、実銃のアーミー用は、キャバルリー銃身のみだったようです。


マルシン 系

写真05

シェリフズは、1996年ごろに発売されたようです。上の物は、1970年に東京レプリカ(中田商店)から発売されたものです。製造はマルシンだと思います。CMC 2型のコピー品のようです。やはり、貫通シリンダーです。

昔のモデルは、フレームの段差なしや、楕円トリガーガードなど、コルト1st ジェネレーションの物を真似ているようで、オールドな雰囲気です。


写真06

マルシンは、アサヒイーグルSAA も製造していましたが、全部フレーム右側に、金型から取り出すピンの跡が残っています。シェリフズにもくっきりと入っていますね。

シリンダーのベベルカットを実銃同様に再現しているのは、金属モデルでは、マルシン製のみですので、貴重な存在です。でも、カウンターボアはいただけませんが・・。


写真07

左はCMC 2型です、東京レプリカの物は、そのコピーだと言われています。 ハンマーやボルトやネジ類もそっくりです。(左の2型のハンマーは3型用)
トリガーガードは、CMC 2型は、楕円から四角形へ移行しましたが、東京レプリカは、当初の 楕円トリガーガードのままです。実銃では1895年から1917年ごろに、楕円形状になっていたようです。

参考 http://www.bar-w.com/saa-generations.html


シェリフズ対決

写真08

CMC 系のCAW シェリフズとマルシンです。メカ的にはフレーム形状がCAW の方が実銃と同じ形式です。マルシンのフレームはブラックホークのように一体式です。これは、 アサヒイーグルのフレームが細くて壊れやすかったことから来ているのではないかと思います。


写真09

CAW のシリンダーは、ダミー弾頭が付けられるように、インサートが 深い所にあります。マルシンのベースピンは「ハナクソ」のように細いので、嫌いなところです。 写真のようにメインフレーム下部の幅が広い所がマルシンの特徴です。

ということで、この対決はCAW の勝ちとします。


オールドタイプ対決

写真10

SAA のベースピン止めスクリューが横にない、黒色火薬時代のモデルたちです。実銃では、このタイプの無煙火薬使用の製品もあったようですが、米国オークションなどを見ると、現在ではこのタイプを一括でブラックパウダータイプとしているようです。

左からマルシン・バットマスターソン、CMC 3型、コクサイ・オールドタイプです。


写真11

右がコクサイですが、エジェクターチューブの取り付け角度をわざとずらしています。これは、インサートを避けてカートをエジェクト出来るようにこうなっています。 CMC は、インサートの真ん中に逃げカットを施しています。

これを見ただけで、コクサイは去っていただきました。


写真12

CMC 3型とバットマスターソンですが、実銃ではシリンダーのベベルカットがきつい時代ですので、マルシンの方がよく再現しています。刻印も古いタイプが打たれています。


写真13

また、チャンバー径もマルシンの方は45口径のようで、でっかくて迫力ですが、CMC は安全配慮からか41 口径です。


写真14

CMC 3型は、トリガーガードが長すぎます。下から見るとよく分かります。 写真左端がCMC 3型です。バットマスターソンは、ランパントと並べていますが、よくオールドタイプを再現していると思います。

左から

CMC 3型 CAW 2ndプラ マルシン
 バットマスターソン
ランパント1st ランパント2nd

写真15

よって、この対決の勝者は、マルシン・バットマスターソンとしました。
この金型は、新規開発のようでトリガーガード、バックストラップも実銃のようになっています。
フレーム下部も広くないし、ベースピンも太いです。この製品は安いのでお買い得だと思います。

写真下は、ランパント1stです。


写真16

ちなみに、実銃の2次大戦後に生産された世代をセカンドジェネレーションと言いますが、2nd で選ぶのならCMC 3型ですね。右側は、ランパント2ndです。


ハドソン

写真17

金属党の私は、プラ製モデルガンには魅力をあまり感じないのですが、 このハドソンのビズリー・モデルは良いですね。ビズリーとは、射撃競技用タイプです。見た目は、腰が曲がったようで格好悪いのですが、構えると最高です。作動も申し分なく、ハドソンを見直しました。昔のハドソン製金属モデルガンは、ボロが多かったもので、そういう目で見ていました。


CAW 2nd

写真18

この現代においてSAA のモデルガンを発売してくれる、勇気ある会社CAW の SAA ニッケルメッキです。下は、ランパントです。セカンドジェネレーションは、シリンダーにベベルカットがなく、トリガーガードも長めです。

CAW の特徴は何と言っても、オリジナルどうりの強さと言っている、メインスプリングです。実際ハンマーを起こすと、今までにない迫力を感じます。しびれます。でも、モデルガンも痛みそうです。普通に買えるお値段ですが、このモデルはランパント2nd の上を行っていると思います。


おわりに

写真19

米国人にとって45口径というのは、遠いご先祖様から近くの祖父まで、 ずっと国を守ってきた口径です。いまでも多くの人が好んでいることは間違いないでしょう。 きっと「コルト」「45口径」というのは米国人の魂を揺さぶる言葉でしょう。



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