写真00
タナカさんちから2010年、新発売されたディテクティブです。モデルガンです。
タナカからは、以前ガスガンが2機種発売されていました。マニアックな会社です。
 
ハートフォード、クラフトアップル、そしてこのタナカと相次ぐモデルガンの新製品ラッシュに 驚いています。年頭に老舗のハドソンが店じまいしたように決して景気はよくありませんが、その中にあって 各社奮闘しています。ありがたい事です。が、お金も飛んでいきます。
しかし、このディテクティブは比較的安くて、良い品質かつマニアックで、おすすめ品です。

写真23
フレーム右側に見えるようにピンはすべて独立タイプで、しっかりしています。
これらがインナーフレームに取り付けられていることは、外からは窺い知れません。

写真01
箱は、昔のマルゴーを彷彿させます。実物もこのようなデザインなのかな?

写真11
スイングアウトしてみて、びっくりです。一瞬貫通シリンダーかと思っちゃいました。
円形のインサートがずいぶん小さく作られています。おかげで迫力です。
 
タナカさんは、以前社長がガス式カートで逮捕、不起訴されたように反骨精神が満タンなようです。 なんだか、昔のCMCとダブってしまいます。

写真12
パーティングラインは綺麗に落とされています。トリガーは溝なしスムースです。
 
スイングアウトしたフレーム内側にはパーティングラインが認められます。

タナカ・ガスガンと比較

写真02
比較って言ったって外観は全く同じものです。
右のメッキ品がガスガンです。グリップはホビーフィックスの木グリに変えています。

写真14
サイズやインナー構成が全く同じなので、シリンダーやサイドプレート(金属製)は、互換があります。 ただしインナーフレームは平面的には同じ形なのですが厚みが違うので互換はありません。

写真03
タナカからは、もっと以前にサードイシューのディテクティブがカート式ガスガンで発売されていました。
 
このシュラウド付きのディテクティブをモデル化したのはタナカさんだけです。
いかにマニアックな会社か、わかります。

写真04
重さは、残念ながら金属シリンダーを持つガスガンにはかないません。

写真05
ちなみにホビーフィックスの高級金属モデルは、500グラムくらいです。

ホビーフィックスと比較

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本格的コルト機構を再現した、完璧なディテクティブと言われるホビーフィックスとの比較です。
ホビーの方が、すこし力強い感じを受けます。グリップは実銃用を装着しています。
 
ホビーは、完璧を目指したものの、すこし手前で着陸してしまった作動不良品が多い品です。
これを完璧に動かせる人は、かなりの技術屋さんだと思います。
↑あくまで私見です。・・・HF社長はよく一般市民のページを読んでいるそうなので。
写真07
どちらも本格的コルト・クラシックメカを再現しています。
素晴らしい出来栄えです。
 
ただし、タナカはボルト動作をコクサイ・パイソン2型改良パーツのように改良していますので 本物のコルトのような動きとは違います。このボルト動作をどのようにモデル化するのかは、各社のアプローチの違いがあって面白いです。
 
各社のコルトのボルトメカ機構をまとめてみました。
 
機種 ボルト機構 考察
MGC ディテクティブ・デラックス MGC の独自式機構 ちゃんと動くらしい
マルゴーディテクティブ S&W 式長円による前後移動 3個に一個は動く
MGC パイソン
オフィシャルポリス
S&W 式長円による前後移動 軽快動作
ハドソン・1917 コルトオリジナル機構 動いたら奇跡
コクサイ・パイソン2型(旧) コルトオリジナル機構 すぐに動かなくなる
HFディテクティブ コルトオリジナル機構 動作きびしい
コクサイ・パイソン2型(新) カム倒れ式 軽快動作
タナカ・ディテクティブ カム倒れ式 軽快動作
 
このようにコルトのオリジナル・ボルトメカは、再現が大変むつかしいものです。
タナカが、カム倒れ式で無難な選択をしたのは正解だと思います。
写真08
タナカのガスガンには、ハンマーブロック機構は組み込まれていませんが、こちらのモデルガンでは ちゃんと組まれています。左のホビーフィックスの物は、実銃どうりにダルマ型にカットされていますので トリガーが外れることはありませんが、右のタナカはすぐに外れるので組み立て時は要注意です。 外れると組めません。

写真15
ホビーフィックスの方がシャフトがかなり太いので互換性はありません。

写真19
細かいところなのですが、エキストラクターの回転止めポッチはホビーフィックスのようにシリンダー側にあるのが本当です(ちょこっと、HF をよいショしておかないと・・・)。
写真13
シリンダーヨークを止めるネジは、今回のタナカモデルガンでは省略ボール型に変更されています。 左からタナカ・モデルガン、タナカ・ガスガン、HF。
 
飛び出ることはありませんが、分解時はボールの紛失に注意です。

ここがキモ

写真09
やっとメインイベントのリバウンドバーに辿りつきました。
 
一見して解るようにボルトの長さがタナカの方が長いですね。より支点から遠いほうがスムースに動けます。
したがってタナカのカム位置はすこし後方になっています。
しかもカムが大きいです。ボルトの後端の出っ張りが大きくてもカムが倒れ式だから大丈夫です。
正確動作出来る設計です。HFは、カムが小さくてボルト後端も出っ張っていないので作動が難しいです。
写真25
上の写真のホビーフィックスのボルト先端が丸っこいのが実物同様です。タナカのは角ばっていますので、シリンダーの 溝から脱出できなくって全く動かなくなることがありました。そこでこの写真のようにボルト先端を丸く削って やると、スムーズに動きます。ついでに黄色の円のように前から見て右側をやや斜めに削ってシリンダーの 導き溝に入りやすくしています。実物もこうなっています。
写真10
コクサイの2型パイソン改良パーツと同じ理屈で動作します。
 
組み込むときは右下のイラストのように組みます。

写真06
素性の良いガスガンから発展したとはいえ、素晴らしい出来栄えです。
コルト・クラシックメカを勉強するには格好の教材です。

チューンナップ

写真20
わたしが購入した個体は、最初からトリガーの戻りが悪かったです。
 
リバウンドレバーのカムの倒れ動作が重くて、ボルトを越え切らなかったのでリバウンドレバーが止まっちゃってトリガーが元の位置に戻りませんでした。
だいたい買うときから想像出来ていたのでさっそく直しました。
 
左イラストのように点線くらいまでカムの斜め部分をすこし削ってあげました。 目の細かいヤスリで削り、ペーパを掛けています。一度に多く削ると取り返しがつきませんので すこし削って組んでみて、再び調整して合わせました。現在はたいへん快適に動きます。

ハイブリッド

写真16
ガスガンとフレーム構成は同じなので、市販の亜鉛メタルパーツにモデルガンを組み込めないか 試してみました。
 
すこしでも重くしようと思った次第です。

写真17
おぅっ、インナーが入らない。
さっそくインナーをヤスリで削ってしまいましたが、結局それでもインナーフレームは組み込めませんでした。
 
フレーム内側と接する部分の形状がガスガンとモデルガンでは違っています。これを合わせるには、 0.7mmほど亜鉛フレームを削る必要があります。労多くして得るものは少なそうなので諦めました。 まぁ、やめたほうがいいです ← 実感。どうせシリンダーがプラなんですから。

写真18
ところで、メタルパーツには写真のように撃針の入るミゾがありません。
ガスガンはシリンダーセンターでバルブを開くようになっているからです。
ここをいじらなければ、撃発機構なし=模擬銃器ではなく模造けん銃の項目をクリアするだけでよいと思われ るので、私はメタルパーツをモデルガンに組むことはOKだと思います。
 
しかし、これは私の勝手な考えであって報道者や裁判員、警察官、検察官、裁判長などがそう思うかどうかは 解りませんのでお勧めしません。トリガーとハンマーが連動しているだけで撃発機構と言えなくもありませんから。写真は左からガスガン、モデルガン、ガスガン用パーツ。

写真21
なんともマニアックな古きアメリカンの風を感じるモデルガンでした。
こんなふうに素晴らしい製品が続々と出現するのは、驚くとともに嬉しくてしかたありません。
 
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オマケ情報

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私服勤務の警察を刑事といいます。ディテクティブとは、刑事のことなので大きなスピードローダーよりも ゴム式の薄い物の方が小道具としていいのではないかと思って探してみましたが
意外にも国内では売っていないんですね。仕方が無いので海外のこちらから購入しました。
 
ペリシモ(日本語ページ)
http://www.belisimo.com/default.asp
BIACNHI ビアンキ  580, Speed Strip Pair Leather/Ranger BI20054
(ビアンキ・スピード・ストリップ:1個に2つのゴムバンド入り)
1,020円/個 ×4個+送料 2,500円=6,580円 =>1,645円/個
到着まで2週間かかりました
 
送料が高いのでまとめて4個買いましたので、自分の分以外に3つあります。1個に2本入り。
希望の方がいましたら1個送料込みで2,000円でお分けします。メールでお問い合わせください。 おひとり様一個でお願いします。
 
おかげさまで売り切れました。有難うございました。