コルト60アーミー

と、61ネービー

コルト60アーミー・シリーズをそろえてみた。ほんとうはCAWの61ネービーもあれば完璧なのだが・・・。 上からマルシン、フランクリンミント(マルシン)、デニックス製。

実銃の世界では、1851年の36口径ネービーが大ヒットしたコルト社はその後ドラグーンを製造し、1860年に44口径のアーミーを発売。南北戦争に遭遇し銃は売れまくったことだろう。そのせいか知らないが、創業者サミュエル・コルト氏は1862年働きすぎて亡くなった。
47歳という若さである。


1851ネービーと比べると流線型を使用し少しでも銃を軽くしようとした事が判る。
シリンダーも後方部分は肉厚を減らしている。真ん中の36口径は肉厚は変わらない。

●一番上のマルシンのモデルガンは結構キャシャである。
 本物はもう少し大きいのでは?と思ってしまう。

●真ん中のフランクリンミントは、大変良く出来ている。すばらしい。
 これで金属製であったらいいのに。

●デニックスのモデルは、昔のMGC も「負けたっ!」というくらいメカのデフォルメが激しい。日本のマニアには受けが悪いだろう。しかし私は、その「重さ」が気に入った。この3丁の中では一番重く、見た感じもごつい。以下に3つのレポートを書いてみる。


マルシン60アーミー

当時のモデルガン業界では、前装式のモデルはMGC の51ネービー、CMC のレミントンくらいであったが、何を思ったのかオリジナルで登場したマルシンの60アーミー。
MGC の猿まねが横行するモデルガン業界にあって貴重なモデルアップだったと思う。
しかし、作りはかなり貧弱だ。シリンダーの彫刻など素晴らしいのに残念だ。

いつの海戦を彫っているのか良く調べていないが、帆船同士の海戦でアメリカが勝利した時のものであろう。当時はひとつの海戦で国の勝ち負けが決まるなんてことはよくあったようである。 モデルガンの物は金型によるものだがきれいに出来ている。


書籍に、これとそっくりなモデルが載っていた。
マルシンは、この書籍モデルのようにストック取り付け可能な物をコピーしている。 フレームに4つあるネジのうちハンマー下の大きなものは、ゆるめてストックを引っ掛けるのに使う。また、リコイルシールドの下方が三角形に削り取られているのもストック取り付け銃の特徴である。 ここにもストックが引っかかるようになっている。

私が入手したこのモデルは、最初、板バネが折れていた。その後パーツを見つけ入れ替えたが フルコック出来ない。右写真のようにフレームにバネがぴったりと当たってしまい、ハンマーがそれ以上起こせないのだ。あと少しのところなのだが・・・。板バネ形状に問題がありそうだ。
また、この写真のようにフレームはオリジナルとはずいぶん違う形だ。 実銃だったら折れそうである。貧弱な印象がする。

フランクリンミント61ネービー

かつてフランクリンミントから販売されていた61ネービー。
すごく高かったらしいが、最近マルシンから再販されるようだ。 彫刻が素晴らしいモデルだ。

上記の書籍に同じようなモデルが載っていた。 このモデルガンは、カスター将軍モデルだったかな?よくは知らない。 プラスチックにメッキが施されている。

ばらしてみて驚いた。実銃と同じ作りである。素晴らしい。かつてのモデルガンでは再現されていなかったフレーム形状もオリジナルどうりに作られている。MGC 51ネービーもマルシン60アーミーも バレル上のキーは飾りであったが、このモデルは生きている。最近のCAW 製品は、皆このようになっているが 当時の日本でこれを再現した最初のモデルではないだろうか?

貫通シリンダーではないのに左下写真のようにちゃんとインサートまで入っている。安全対策はばっちりだ。


私が入手したものは、保存状態が悪かったと見え、錆だらけである。
プラスチック製なのにさびるとは驚きだ。メッキが十分厚いのかメッキ浮きは見られない。 緑青のようなものを吹いている。コンパウンドでこすってみたら表面はきれいになるが錆の痕跡は残った。

金型による彫刻であろうが素晴らしい出来栄えだ。
シリンダーを支えるボルトも実物のように加工されている。いい出来だ。
全体に非常に良く出来たモデルだ。これで重ければ言うことなしだが。
スペイン・デニックス社60アーミー

フレーム右に燦然と輝くひし形のデニックスマーク。スペイン製のモデルガンだ。
かつては輸入され販売されていたが、現在では売っているところはない。販売店に聞いてみたところ警察からの指導で輸入はしていないそうだ。こんなすぐに壊れそうなモデルガンまで規制されるとは、寂しいもんだ。

ばらしてみておどろいた。超っ!簡略化されている。機関部パーツはたったの4つ。ハンマー、ハンド、トリガー、スプリングのみである。さすがに昔のMGC もここまでは、やっていない。 しかしこれでもちゃんと遊べるから面白い。シリンダストップは、トリガーが兼ねている。

グリップは、ばらせないようである。
パーツの配置は写真のようであるが、バネが本当はハンドの裏側に入るようになっている。 フレームを開けたらバネが飛び出してくるので要注意だ。

バレルは、けっこうグラついている。黄色の矢印の2点でフレームと接しているのでここにゴムなどを挟むと良くなる。
また、シリンダーをはずすとグラつき防止の小さなスプリングが青い矢印の穴から勢いよく飛び出してくるので紛失しないよう注意が必要だ。

このモデルガンは、たいへんに組み立てにくい。フレームプレートを乗せたときにトリガースプリングがハンドの裏側から外れてしまう。テンションがかかったままでフレーム留めねじを差し込むのは容易ではない。

しかし、何度もやっているとコツが判って来た。左手で持って組み立てたり、平らな机で組み立てていたらいつまで経っても組みあがらないが、布団の上に置いて組み立てると、いとも簡単に組みあがる。 これは銃のセンターラインがピッシリと出るためで、すべてのパーツがあるべき位置にきちんとおさまる。お試しあれ。


エピローグ

コルト社のヒット商品をモデルガンで再現してみた。
時代順に上から36口径51ネービー、44口径60アーミー、45口径SAA である。
全体のラインは、よく継承されている。ということは、一番初めのデザインが、すごく優秀だったことがわかる。こうやって見るとSAA が、かなりでっかくて丈夫に見える。

文中2度登場した書籍写真は、この本からである。The Colt Heritage
著者は、コルトコレクターで有名なR.L.ウィルソン氏。 この人の本は、数多く出ている。
この本は昔のコルトから現代のオートまで 紹介されている。

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