ギザギザ背中の凄いやつ

写真00 トカゲの木彫りはインドネシアから買って帰ったものですが、チェッカーリングで皮膚表面のざらつきを表現しています。 素晴らしい出来栄えです。下のタナカさんも実は負けてはいないのです。

↑写真のM27 はプチカスタムしています。


実銃の写真

写真01 いやぁ凄いですね、機械加工を少しでも知っている人であれば、このチェッカーリングがそうとうに面倒な作業だと すぐにわかると思います。エッジがよく立っていますね。とてもモデルガンでは再現できそうにありませんでしたが・・・。
写真03 写真04 写真02

左からMGC ハイパト、CMC M27、今回発売のタナカ M27 の頑張った背中写真です。
MGC もM28のハイパトだと謳っている割には、背中がM 27 だったんですね、知りませんでした。けっこう頑張っていたんですね。 CMC は、なんだかガーゼを被せたような出来栄えです。右のタナカさんは、金型鋳造なのでしょうが見事に再現していると思います。素晴らしいです。この姿を見られて幸せです。発売していただき有難うございます。
実は、M27 やレジスタード・マグナムのギザギザ背中に 憧れていたんです。


うわさのモデル

写真05 リボルバーマニア憧れのレジスタード・マグナム・・・ではないけれど、それに限りなく近い形のモデル27がタナカさんより 発売になりました。つい先日4インチのモデル28が出たばかりなので買う方も大変です。今度の3.5インチというのは 明らかにオヤジ・ホイホイ、いえ、すでにジジイ・ホイホイとなった旧MGC のハイウエイパトロールマンを懐かしく思う人たちが パクッと喰いつくに違いない銃身長なのです。(ゴキブリ・ホイホイもすでに死語か?)

私もアクションさんからそのうち発売されるであろうと思っていたら、タナカさんから思わず発売となったので 瞬殺で予約して買っちゃいました。上写真は左から登場順でMGC ハイパト(1972年)、CMC M27(1976年)。タナカ M27(2024年)です。

引用:ここを読めば感動します。


外 観

写真06 写真07

なんといっても感動ものは、この背中のギザギザです。これをちゃんと再現してくれるとは、なんともうれしいです。 タナカさん有難うございます。チェッカリングツールで軽く彫りなおすと、もっと迫力が出るかもしれません。

3月に初期のタナカ M 28 を購入した方々、すみません今回はエジェクターの回り止めピンは初めから付いていました。


メ カ

写真08 写真09

メカは既に完成されています。素晴らしくS&W の精密メカが再現されています。右写真はネットから取ってきました実銃の Kフレームですが、ハンマーブロックなどが旧式です。ビクトリーモデルでしょうか?


357・銃の歴史

357マグナムは、もともと特別な弾で普通の人には関係ない領域であったため、それを発射する銃も特別あつらえでした。 1935年に「ザ・S&W 357マグナム」と弾と同じ名前で発売されたその銃は、バレル長など注文どうりに製作され、個別の登録証が付いてきたため、コレクターからレジスタード・マグナムと呼ばれました。 こちら、 登録証 です。レジスタード・ナンバーとシリアル・ナンバーは別のものです。
−−−−−*−−−−−*−−−−−

こちら パットン将軍の仕様書 ですが、フロントサイトはマクギバン型となっています。そう、伝説の早撃ちおじさんエド・マクギバンさんです。またパットンの銃は近距離戦闘用にサイトは15ヤードに合わせています。このようにいろいろ選択できたのです。 こちら いろいろ選択できるカタログ の一部です。

−−−−−*−−−−−*−−−−−

これは パットン将軍のレジスタード・マグナム ですが、上が本物で下が映画用プロップです。 見分けるのは簡単で、わがままなパットン将軍は自分のイニシアルをグリップの真ん中に刻ませています。 なので本物はグリップスクリューの位置が下方へと変えられています。


こちらは オーダー表 ですが、フロントサイトは6種から選び、リアはスクエア・ノッチかUノッチか選べたようです。 サイト照準を15や25ヤードに選択できたようです。

下写真は、書籍からですが、あらゆる銃身長が用意されていた一覧写真です。すごいですね、あなたなら何インチにしますか?

写真14 写真15


357・銃の歴史・戦後

写真12 写真13

レジスタードマグナムは第2次大戦にかかり生産されなくなり、S&W 社のすべてのパワーは戦争用に振り向けられました。 ふたたび357モデルが出現するのは、1950年代に入ってからで、そのころは特別あつらえ品ではなく、用意された銃身長のみで 販売されました。

また、1954年には高威力の357マグナムを使いたい警察からの要望により4インチと6インチのみで表面仕上げを落とした廉価版のハイウエイパトロールマンが発売されました。
それらは1957年からのモデルナンバー制の導入に伴い、かつての レジスタードマグナムはモデル27となり、ハイパトはモデル28の番号が与えられました。ハイパトは仕上げ精度を落としたので 背中のギザギザは無くなりました。


357・弾の歴史

写真18 1920年代ローリング・トゥエンティと呼ばれるバブル経済に沸いたアメリカでしたが1929年の株価大暴落を受け1930年代は 大不況となり暗黒の時代となっていました。法を破るギャングが重武装で活躍する中、38スペシャルでは応戦できなくなった 警察から、もっと威力の大きな弾が欲しい 、との要望が出され、コルトからオートマチックの38スーパーという高速弾が登場したことにより S&W 社さんも38スペシャルの大きさのままで威力を強めた、 38/44 という弾とそれを発射する 38口径、N フレームのハンドエジェクター が 開発されました。

その銃を使って大いにテストを繰り返したエルマー・キースさん(Elmer Keith)と、NRA のシャープさんの おかげで357マグナムが誕生しました。38スペシャルと同じケースで倍以上のエネルギーを発揮するスーパー威力の弾の誕生です。普通の銃のシリンダーに入れて発射すると危険なので数ミリケースを延長し、むかしの38スペシャル専用の銃からは、発射できなくしました。

エルマー・キースさんは後年44マグナム、41マグナムの生みの親ともなりました。


38スペシャルの歴史

写真19 写真20 357マグナムは、上記のようにもともとは、38スペシャルの強力版です。では、38スペシャルというものは、というと 38ロングコルトの強化版なのです。

38ロングコルトって、軍用正式となったけれどフィリッピン戦争でモロ族に効かなくて その後45口径の弾に移行し、コルト・ガバメントを生むことになる逸話が有名な弾です。その 38ロングコルトは、38ショート・コルトのケースを延長して強力化したものです。

38ショート・コルトってもともとは 36口径 51ネービーのカートリッジ化の際に誕生したカートなのです。 したがって357マグナムのご先祖様は36口径の鉛玉っていうことですね。何だか歴史を感じさせます。 鉄砲の弾ってこのように経験則に沿って開発されるものがほとんどです。方程式などは存在しないのでしょう。ですから使いやすければ 22ロングライフルや22ショートなんて150年以上使われているものも存在しています。


レジスタード・マグナム
なんちゃってカスタム

写真23 写真24 右実銃写真のような、むかしのレジスタードマグナムっぽいものをお手軽にやってみました。

(あとで気付いた上写真ホルスターがP38?)

タナカの1917 のハンマーとサムピースと
グリップを M 27 に装着したものです。
フロントサイトは薄いゴム板を両面テープで張り付けています。ウエッソン式グリップアダプター はボール紙の自作です。チープ・カスタムです。

↑と、思ったらすでに消されていましたので、保存しておいた写真を下記に挙げておきます。

写真24_01 写真24_02 写真24_03
写真24_04 写真24_05 写真24_06

また、こちらにも良い写真がいっぱいですのでぜひご覧ください。

写真357_01 写真357_02 写真357_03 写真357_04

ハンマー形状は ハンプ・バック と呼ばれるオプション品です。フロントサイトはビーズの付いたマクギバン式のようです。


ウエッソン式
グリップアダプター

写真25 鉄板で挟まれた真ん中の部分はゴム製のようです。オリジナル品は、なかなか見られないそうです。 プチカスタム用に型紙を作りましたので参考にする人はどうぞ。やや形状がアバウトなところがあります。 私はボール紙で作りましたが、やはりプラ板や金属板が良いかと思います。ちなみに自作の真ん中部分は発泡スチロール製です。
写真26 pdf

PDF ファイルは、右クリックで名前を付けてリンク先を保存して(ダウンロード)使用ください。タナカ1917のグリップを使用する際はネジ穴が少し違います。


トイガン・モデル化

写真22 1972年(昭和47年)MGC はプラスチック・リボルバーの初めての生産に当たり、バレル長を発火のためなのか3.5インチ とし、また少しでも重たくするためにカートの口径を大きく 41マグナムとし、結果として実在しない口径で販売しました(41マグ弾の全長は357 マグと同じ)。ところがこれが大ヒットしたので、その後ハイパトは、44口径となり実銃の世界とは離れた状況が日本のトイガン界では続いていましたが、コクサイからM28 2代目で4インチ銃身が出てとりあえずハイパトの空白は収まりました。でもイマイチな造形でしたので2024年3月発売のタナカさんのM28 4インチで、すべての不満は解消されました。

そうして、このたびのタナカ M27 の登場により、CMCのもう一歩な背中状態から脱却し、本物のギザギザを手にすることが出来てモデル27への不満も解消しました。私はとても満足しています。


おわりに

写真28 まったく素晴らしいモデルガンでした。タナカさんモデル化してくれて有難うございます。 プラスチックとはいえ、きっちりと出来ているモデルガンは感動しますね。なんだか最近はタナカ製ばかり購入しています。

写真は左上からコクサイM29、タナカ1917、タナカ R8、コクサイM 28、右側上からCMC M27、タナカM 27、MGCハイパト です。


参考書籍

写真29 357 のことなら網羅されています。

素晴らしい書籍です、お勧めします。

ただし44マグナムの事は何も書かれていません。


おまけ

m27 分解図