上の写真を見てすぐにわかった人は、けっこう歳が行っているんじゃないでしょうか?

写真01 最近はゴッドファーザーなんてあまり聞きませんものね。素晴らしい映画なのですが。

チーフのスクエアバットっていったら最近では、映画ジョーカー、古くはタクシードライバーですが、 私にとってはゴッドファーザーでした。

ビニールテープで指紋が残らないのか、どうだかは知りません。


失敗その1

写真02 タナカさんからこの8月に新たにスクエアバットのチーフが発売されることをMGC のWEB で知り、さっそく予約して ゴッドファーザーの写真を撮ることを楽しみに待っていました・・・が、オークションを見るとあれっ?発売前なのに すでに売っている、

おっかしいなぁ・・・と思いよく見るとヘビーウエイトでした。私が予約したのは「スチールフィニッシュ」 でした。私にとってはスクエアバットであれば、どちらでも良いのでオークションの中古でよかったのに、と残念でした。 まぁ、MGC さんやタナカさんには随分とお世話になっているので、たまには新品購入も悪くは無いでしょうと自分を慰めるのでした。


失敗その2

写真03 購入してからよくよくゴッドファーザーのシーンを調べてみたら、なんとターゲットグリップが装着されているではありませんか。 普通のグリップは、マグナグリップと言います。ターゲットグリップはグリップアダプターの部分まで一体で出来ている 幅広の大きめのグリップのことです。

うーん、どうしようかな・・・と思っていたところ、神のお告げが・・・オークションにターゲットグリップを装着したチーフが 登場したではありませんか。これぞ運命の出会い(いつものパターン)とばかり勇んで高値で落札いたしました。 購入して分かったのですが、ターゲットグリップはラウンドバットでもスクエアでも装着できるように出来ているのですね。 まぁ、失敗ではないけれど、勇んでスクエアを買った意味は無かったということで、すこしガックリ。あっそうだ、ラッチ形状が旧型なので映画の再現は出来たのだ、と自分をかばってあげることにしました。


失敗その3

写真04 バラしてみてビックリ、エキストネジが正ネジだ。比較のためにマグナムが撃てる最新のチーフも購入したのですが、そちらは 逆ネジでした。これはタナカさんが実物をよくコピーしているようで、最近のS&W では逆ネジになっているようです。

ところが私は、最初に逆ネジからバラしたので、オールドチーフも逆ネジだと勘違いしてやや壊してしまいました。 しかも新品の方です。バカ丸出しでした。やけに堅かったのでえいっと思いっきりネジってシリンダーを欠いてしまいました。

以前、実物のフォーラムを読んだときにカートを2発入れてエキストネジを回せと書いてあったのですが、わたしにはその意味するところが分かりませんでしたが、この度の失敗でようく分かりました。カートを入れるとこのようなエキストラクタの連れ回りは 起こらないのです。ネジだけが回ります。失敗して初めて学びました。また偉くなっちゃいました(犠牲は大きい)。

モデル360モデル36
スクエア
モデル36
写真05 写真06 写真07
逆ネジ 正ネジ 正ネジ

タナカさんのチーフは、いずれもエキストネジが、きつく締められていますので分解時は要注意です。 カートを2発入れて布を介してプライヤーなどでつかんで回しましょう。


チーフの歴史

写真08 もともと永遠のライバルであるコルト社のディテクティブに対抗するために作られたようです。 それまで、小型のリボルバーで38SW 口径のテリアを作っていましたが、より強力な38S&W スペシャル を撃てる 物をコルト社が出してきたために対抗馬としてテリアのiフレームを大きくしたJフレームを開発しました。

写真はタナカとマルゴー。マルゴーさんはトリガーガード形状がイマイチです。

写真09 そうして完成した5連発の名前は公募したようで、コルトの「探偵」に対して「チーフ スペシャル」となりました。

チーフとは警察所長のような意味合いだそうです。スペシャルは38S&Wスペシャル弾を撃てるということだと思います。

チラシの左下に書かれているチーフ・エドワード・ボイコ さんの投稿が採用されたようです。 お礼のS&W から送られたチーフ初期型をこの人は実際の仕事に使っていたようです。


ボイコさんの銃

写真10 写真11 ボイコさんのシリアルナンバーは29だったようで、ごく初期のチーフの特徴が出ています。 フロントサイトがラウンドで、この銃はファイブスクリューですね。また、トリガーガードのスタートがこのあとは すこし前進してトリガーガードが卵型になりますが、ボイコさんの銃は、テリアと同じデザインになっています。

オールドチーフ

写真24 オールドなチーフは、ハーフムーン型のフロントサイトで、トリガーガードのスタート位置がテリア・リボルバーと 同じ位置です。のちに前進します。

下のテリアの写真とシリンダ長が違うだけでようく似ています。


Iフレーム・Terrier

写真12 写真13

参考にアイ・フレームのテリアの写真です。私はチーフの小判型のラッチは、オールドなタイプだと勝手に思い込んでいましたが、 この写真のようにもともとあったラッチの形をチーフではスムースな形状に変更して小判型に変えられたものだと分かりました。 ポケットから引っ掛かりなく出せる印象を与えたかったのかもしれません。



テリアの大きさ

写真14 Iフレームの実物グリップを購入してタナカと並べて写真を撮ったものにネットから取って来たテリアの写真を 重ねてみました。右のイラストは、かなりサイズが違うようです(大きい)。

写真15 こうしてみるとシリンダーが短いのでフレーム後端もかなり前進しています。グリップも右写真のようにタナカのチーフに 装着してみると短い事が分かります。


写真36 上記ページは、こちらの本の内容と同じようなので、この本を購入してみましたが、字ばかりであまり面白くありませんでした。

Smith & Wesson Hand Guns
Roy C. McHenry , Walter F. Roper


テリアと言えば

写真16 テリアと言えば小型の猟犬を指すようで何種類か上げられますが、やはり私としてはマスクに出てきた ジャックラッセル・テリア のマイロ君を挙げたいものです。

箱の話

写真17 写真18

タナカさんは、紙箱にもたいへん凝っておられて実物そっくりの出来栄えに感動してしまいます。このようなマニアックなこだわりはありがたいです。


実物写真

写真19 写真20 写真21

本物は斜めに銃が入っているのでタナカの物よりもずいぶん小さいです。


写真22 写真23

他にもきちんとコピーしてくれています。またコルトSAA の箱などもコピー度が素晴らしく有難いです。


新旧比較

写真25 写真26

いつのころの製品か判らないのですが、タナカのラウンドバットとこの度購入のスクエアバットを 比較してみました。S&W のマークの大きさが違います。また、右側の住所の刻印にあるS&W のアンド の字体が横長になっているのはオールド刻印の特徴です。


マグナム・チーフ

写真31 最近ではJフレームのチーフでも357マグナムが撃てる機種が用意されているのですね。ビックリです。 Kフレームのモデル19でも痛みが激しいというのに大丈夫なんでしょうか?
写真29 写真30 フォーシングコーンからの激しい爆風からフレームを守るプレートを設置することでマグナム発射が可能になってるのでしょう。 タナカさんは、この難しそうな形状をきちんと再現してくれていて有難いです。モデルガンは弾が出なくて、全く反動もないのに、ちゃんと再現してくれているおかげで実銃への知見が広がります。


MGC 2型と比較

写真27 写真28 MGC 2型チーフとシリンダー長を比較してみました。モデル360はマグナムが撃てるので38スペシャル専用の シリンダーよりは数ミリ長く出来ていますが、MGCのシリンダー長もほぼ同じ感じで少し長いようです。 むかしのチーフのモデルガン全体に言えるのですが、少し大きく作られている感じがします。これはシリンダー先端に インサートを入れる関係からカートが短くなるので、すこしでもカートを長く作りたいからシリンダーが長くなっているのでは 無いかと勝手な想像をしています。

おわりに

写真32 チーフのオールドタイプ、スクエアバットを購入してあらためて昔のMGC がモデルアップしたものは、けっこう正確だったのだと感じました。かってにアレンジしているものと勘違いしていた自分を反省しています。ハンマー形状やフラットラッチなど 良い感じに仕上がっています。先達の素晴らしい仕事ぶりに拍手を送り、最新のタナカさんの素晴らしさにもいっそうの拍手を 送りたいと思います。みなさん素晴らしい製品を届けてくれてありがとうございます。

おまけ・M36とM360

写真34 写真35
写真33