写真x 写真は、タナカのガスガンGew33/40 マウンテントルーパーです。
もともと明るい色の銃床だったと思われますが、前オーナーさんによって塗り替えられています。

Gew というのは、小銃を表すドイツ語で、スラッシュ40というのは、採用年度が1940年だからです。 ドイツ軍が海外の製品を正式化したときにこういう呼び名をつけたのではなかったかと思いますが、 ややうろ覚えです。もともと、チェコで作られていたVz 33 というKar98 を10cmほど短くした カービン銃が元です。それにストック強化プレートを付けて山岳兵用に採用したものです。


大きさ比較

写真09 上からCAW のGew 98、PPS ・中正式、CMC・Kar98k、イラニアンカスタム、タナカGew33/40 です。 下の2丁がチェコで生産されたモーゼルライフルのモデル化です。

中正式とGew33 がエアガンで他はモデルガンです。

こうやって見ると、全部同じ弾薬を使用しますので、Kar 98 ですら結構な反動だったらしいので 下の2丁は、本物ならば、とてつもなく強い反動だったことでしょう。


刻印を読む

写真10 dot というのは、チェコのブルン・アーセナル で製造されたことを示します。
ブルンはドイツ語発音でチェコ語ではブルノと言います。
ブルノと言えばZB 26 機関銃が有名です。 石炭が産出するチェコは、ドイツ資本により工業が発展していました。

機関部左側には、G33/40 の刻印が見られます。


ZB 26写真 ZB 26 軽機関銃 →

チェコの歴史

写真21 長い間ドイツ人系に支配されていたチェコは、第一次大戦でオーストリア・ハンガリー帝国が敗れ、滅亡し たことにより念願の国家として独立を果たします。1918年のことです。ただし隣のスロバキアと一緒ですが。
同じく一次大戦に敗れ、多大な制裁に苦しむドイツでは、民族主義のヒトラーが率いるナチス党が政権を得て やりたい放題になっていきます。そうして1938年から39年にかけて、ふたたびチェコを配下に納めます。

それにより、チェコで生産されていた銃器は型番をドイツ式に改められ、ドイツ軍へ納入されることになりました。


Vz 33とGew 33

写真18 上は実銃の写真ですが、もともとチェコで生産されていたVz 33 というバレルの短いカービン銃は、ドイツにより Gew33 /40 という名前でドイツ軍に採用されました。その際、短い銃の需要がある山岳兵用とされ ストックには、マウンテンブーツの氷を叩き落せるように鉄板補強プレートが新設されています。

タナカのGew 33/40

写真11 一番右がタナカのGew33 ですが、上の写真の実銃と同じリアサイトが再現されています。 真ん中のイラニアンは、小銃タイプの長いリアサイトのままですが、実銃もそうでした。 下のほうに実銃写真を掲載しています。
写真12 補強プレートもよく再現されています。

実銃ボルトハンドル

写真17 これは、実銃の写真ですが、Gew33/40 は、少しでも軽くするためにボルトハンドルの球形をえぐっています。 私が持っているタナカのGew33 は、これが再現されていませんが、最近売られているロットでは、ちゃんと 再現されています。タナカさんもやります。

この写真のロッキング・ラグがモーゼル第3のラグと言って、もしもチャンバー付近のラグが吹き飛んでも 射手へボルトがぶつかるのを防いでくれます。これがモーゼルの安全神話の元ですが、モデルガンでは、残念ながら再現されていません。


CMC と比較

写真08 上からCMC、タナカ・モデルガン、タナカ・ガスガンですが、スコープ取り付けアダプターがあるのがタナカ製で、 CMC 時代には存在していませんでした。 マウンテントルーパーもCMC の製品にはスコープアダプターはありませんでした。


マウント位置・タナカ

写真27 タナカのスコープアダプターの位置が、カービンとマウンテントルーパーでは違っています。 マウンテントルーパーのほうが、スコープ位置が前方になっています。 これは、実銃でも2種類あったのかもしれません。以下実銃の2例です。

アダプタ位置
リアサイト直下

写真13 ネットで見つけた画像ですが、こりゃまた凄いコンディションです。新品ですね。 スコープアダプタは、リアサイト直下にあります。
写真14 ほぼリアサイト直下に設置されています。
写真15 ストックには、軍用検査マークがたくさん入れられています。

アダプタ位置
リアサイト前方

写真16 ネットからとってきた書籍写真ですが、タナカのようにリアサイトよりも前方にマウントがあります。

ZF41スコープ

写真23 CMC から金型を引き継いでタナカから発売されたのは、最初はエアガンでした。その当時すでにスコープマウントが 付いていました。そののち発売されたモデルガンでも、リアサイトにマウントが付属していました。 CMC 時代には、存在していなかったZF-41 用のスコープマウントです。ワンタッチでスコープが取り付けられるので ユーザーには喜ばれたでしょう。
写真07 スコープマウントを実装してくれたのは、たいへん感激なのですが、残念なことにスコープの形が タナカ製と実物とは、全くかけ離れた形をしているのです。どっちにしろあの位置では使い辛いものだったことでしょう。

ZF41 は、本物はもちろん、レプリカでも非常に高価で、とても買えるような値段ではありません。 しかたないのでまったく違う形なのですが、タナカ製で我慢しましょう。

こちらのページに素晴らしい写真が満載ですのでそれを見て満足してください。
ZF41 をはじめドイツ軍の装備に大変詳しい超!おすすめの日本語ページです。

https://www.german-smallarms.com/

WW II ドイツ軍消火器の小図鑑


イラニアン

写真19 こちらのフォーラムにすごく鮮明な写真がたくさん掲載されています。

https://www.calguns.net/calgunforum/showthread.php?t=1355075

チェコで生産されたモーゼルライフルは、世界各地へと輸出されました。南米、中国、イランにも何十万というライフルが 輸出されました。そのうちの写真下の銃身の短いカービンが、ペルシアン M49 カービンと言われています。イランでの ライセンス品かもです。バレルは450mmのようです。

Persian M49 Mauser で検索するとたくさん出てきます。

このモデル49 カービンが中田のカタログに使われていたのです。私が子供のころから眺めていて 目に焼き付いていたものです。


写真20 これが中田商店のカタログ写真です。

じつは、友人に教えていただいたのですが、ようく見るとモーゼルカービンのストックに何やら数字のようなものがあります。 これは、実はアラビア文字でイラニアン M49 の実物銃床を使っていることがわかります。 なんと、やけに短いモーゼルだと思っていたのは、イラニアンだったのです。


写真24 なんという偶然、自分が中田のカタログをマネして撮った写真のモーゼルは、キヨノアームズのカスタム品である イラニアンカービンだったのです。

何だか知らないけれどすごくうれしかったです。情報教えていただきありがとう ございました。


写真25 チェコの銃にチェコの銃剣をつけてみました。ドイツの銃剣と違ってバレルに被さるようになっています。
写真26 ドイツのKar98 用銃剣は、写真のようにバレルに被さるところは省略されています。 (ドイツ軍の銃剣は合金製のレプリカです、すこしツバが薄い)

おわりに

写真22 チェコを併合したドイツは、チェコ生産銃を自軍にも正式にも採用しました。 写真上のVz 33は G33/40 となり、下のVz 24 はG24(t) という名で採用されました。 かっこt というのは、生産国のチェコのt(ドイツ語)です。


チェコは長年にわたり他民族の支配を受け、2次大戦後はチェコ・スロバキアとして存在していましたが、 1989年に血を流さずに民主化が行われ、ビロード革命と呼ばれます。

また、その後1993年、話し合いののちにチェコとスロバキアは、平和裏に別れます。
とかく民族対立は血を見ることが多いのですが、チェコとスロバキアは例外ですね。
きっと素晴らしい人たちが暮らしているのでしょう。やればできるんですね。
現在では、スロバキアの経済もチェコと対等程度に上がり両国は、良い関係を保っているようです。 (ビロード離婚=ウィキペディアより)