SAA ボルトタイミングの改善

ふりかけ療法・ドロ沼へのお誘い
写真00

「な、な、なんだっ?!この傷はっ」 と、驚いてもしかたありません。やったのは自分です。 中古で購入したマルシンのSAA ですが、まったく動作させていない美品でした。 ハンドのタイミングも
よく取れていて、シリンダ回転不足もありません。いい感じ・・と、 ガチャガチャ動作させては、喜んでいました。ふとシリンダーを見ると・・・

ショック、まっさら品に傷を入れてしまいました。それにしても、凄い場所にボルトが着地しているものです。これは、いくらなんでもあんまりです。さっそく反省しながら調整します。 ボルトの調整は、CMC ジャンクで何度も調整したことがあります。以下、自己流です。


写真01

もともと、アサヒイーグルとマルシンが兄弟だということの証明に購入したのですが、 さきにひとつネタができました。


写真02

用意する物は、亜鉛の粉と瞬間接着剤ゼリー状です。

写真は、エアガン・パイソンのグリップウエイトをヤスリにこすり付けて採取した亜鉛の削りかすです。普通の液状の瞬間接着剤でもOK ですが、あまりに早く固まって使い勝手が悪いです。ゼリー状のほうが、ゆっくり固まります。整形まで2時間くらい置いています。

やることは、

  1. ボルトが着地するのを遅らせるわけですから、ハンマーのカムを膨らませてボルト上昇時間を長くしてやる。
  2. ハンド2段目を伸ばして、シリンダ回転を少し早める。
以上を目指してやってみます。

写真03

メッキがかけられているハンマーは、接着剤が剥がれますので、部分的にメッキを落とします。ハンマーカム上方とハンドに瞬間接着剤を塗って亜鉛の粉をふりかけ、ドライバー先端などで こねて整形します。ドライバーは、メッキ品なら接着剤が乾いて固まっても、あとから取れます。


写真04

2時間くらいするとガチガチですので、ヤスリで整形します。
ハンマーのカムは、あまり大きくするとハンマー打撃後にボルトがうまく乗りませんので、1mm以下にしています。ハンドの水平部分は、動作チェックしているうちに剥がれてしまいました。 マルシンのハンドの2段目は、かなり正確な位置なので剥げてしまったのでしょう。

写真は、どちらの部品も動作チェック済みで完成状態です。


写真12

CMC のハンドは、私が持っているものは、すべて2段目が低いため回転不足となります。写真は、調整後の完成品です。フルコックしたあとでシリンダを手でまわして1mmほど回って ボルトがロックするようなら、ハンドの2段目に写真のように亜鉛の粉を盛れば、よくなります。


写真05

では、どれだけ改善したかチェックしてみましょう。普段は、目で見るだけですが、それでは記事にならないのでビニールテープを貼って検証します。


写真06

シリンダのボルト着地地点にテープを貼ります。


写真07

シリンダーを本体に組み込んで4、5回カラ撃ちしてみました。

ボルトの着地でテープが、破れてしまいました。この写真を見てもずいぶん改良されたことが 判ります。


写真08

どうです?けっこう良くなったでしょう。もう少しで窪みに直接着地するようになりますね。また、バラしてゼリー状を塗るも良し、ボルトを叩いて曲げるのも一案でしょう。 熱して曲げたらあとですぐに折れますのでやめた方が良いです。

マルシンのくぼみは、非常に小さいのでなかなか厄介です。
こうしてSAA 調整は、ドロ沼へとあなたを導きます。


ここに落とせ!

写真09

本来は、書籍図のところに着地するべきです、ですからいくら作動させても シリンダーに傷なんか入らないのが本当です。
モデルガンは、柔らかい亜鉛のシリンダーに鋼のボルトなのですぐに傷つきます。また、プレス品で 点接触になるので余計に傷つきます。CAW のごとく削り出し品が最高でしょう。
ボルトの空間を金属パテなどで埋めることも傷が入りにくくなる方法だと思います。


写真10

また、コルトはS&W と違って銃のセンターにボルトは無く、上から見たら右に寄っています。
したがって銃を右手に持って上から眺めたときに、ボルトの左側が先にシリンダーに当たります。 よって書籍のように10度勾配をつけるのもいいでしょう。シリンダ回転を止めるのは、ボルトの右側が担当しますので、左側はすこし低くても大丈夫です。

削ると言っても、ボルト幅が4mmだとすると左右の差は0.7mmですので、削りすぎには注意です。実際にやってみましたが、見事に失敗しました。CAW の51ネービーでやってみましたが、削り過ぎになってシリンダー固定が出来なくなりました。ボルト水平面を削って復旧しましたが、やばいところでした。


写真11

参考書籍は、毎度のバイブル「ショップマニュアル」です。

いろんなシリーズがあります。米国外からの購入は出来ないようです。 ↓

http://www.gunbooks.com/

私は、こちらの「コンバット・ブックス」にてメール問い合わせで購入しました。 ↓

http://www.combatbooks.com/

ご参考まで。 購入は、自己責任でどうぞ。

ーーーーー*ーーーーー*ーーー−−*−−−−−

SAA の調整は、ドロ沼に陥りやすいのであまり追求するつもりはありません。が、この程度の 調整は楽しめる範疇だと思います。ハンマー、ハンド、ボルトが完全に一致した動作は、格別です。 ガンスミスになったような満足感が、得られます。特に金属CMC の回転不足は、ハンド盛り上げで解消しますので、ぜひ挑戦してみてください(ハンドが長すぎると全然回せなくなりますよ)。


[ひとつ戻る]