写真x 写真00
ご存じのように中田商店のモデルガンを製造していたのは、マルシンです。
 
ナカタが46年規制後何年かしてモデルガン販売をやめて、販売がマルシンに引き継がれました。 それで私は、マルシンのP38は、エキストラクタがライブな事以外はナカタと同じ物だと思っていました。 しかし友人から指摘され、いろいろ眺めていると、ずいぶん違っていて、もはや別モデルとさえいえるように 思えてきました。以下に比較してみたいと思います。

ナカタとの違い

写真03
まずはエキストラクタがライブな事とフロントサイト形状が違うことがあげられます。
 
そうして自分は気がつかなかったのですが、セフティレバーが全然別物になって長くなっています。 また写真の赤矢印の分解レバーも全く作り直されています。やや幅が小さくなって実物と同じくらいになりました。
 
※写真は上からナカタ、実物写真、マルシンです。
写真02
よってフレームには、穴径を小さくしたためにリブが生じています。
小写真の右端は、マルシンのタニオP38の物ですが、分解ラッチはマルシンの新しい物がはめられているためにガバガバ状態です。そう、マルシン・タニオP38のフレームはナカタと同じ物でした。

写真01
なんともピンぼけ写真ですが、エジェクターも固定式だったナカタから実物のような 可動式に変えられています。また、取付け位置もナカタがやや内側に入っているのに対して マルシン版はマガジン側面位置まで外側にずらされています。

写真04
おかげでファイアリングブロックの形状が変わっています。
写真左がナカタの物ですが、エキストラクタを逃がすミゾが切ってあるのに対し、マルシン版は 全くの四角形に変わっています。
 
右側の写真でセフティもでっかく厚くなっていることがよく判ります。
写真05
こんなに、あちこち違うのならひょっとしてサイズも違うのかなとマルシンのフレームに ナカタのスライドをはめてみました。 写真のようにほんの少しですが、マルシンの方が大きいようです。
 
マルシンのP38は、ナカタのマイナーチェンジでは無くって、あちこちが見直されて 別モデルと言って良いようです。
写真06
リコイルスプリングのガイドも長さが全然違います。
その他の部分も微妙に違うので、ナカタのレストアをマルシン部品で行うのは、必ず微調整が必要になります 。特にハンマー・シアの関係はどちらかがペアで無かったらうまくいきません。マルシンのハンマーならば マルシンのシアで組む方が良いです。下記にナカタのレストアにマルシンのパーツを使用した例を書いています。
 
ナカタのレストアページ

最終型フレーム??

写真13
2016年11月、写真を投稿いただき追記しています。
sm マークも王冠マークも無いマルシンのP-38 です。セフティ形状が違うとのことですが写真からはよくわかりませんが 大きく違うのはシアーレバーが存在しないことです。

写真14
左上写真のタイプと違って、このようにフレームに溝が掘っていなくてシアーレバーが存在しません。当然デコッキングはできません。 セフティは働くそうです。

私が思うに、これは機械切削工程を省略した最終型なのではないだろうかと・・・。 マルシンさんは、中田のP-38 のスライド後方を2分割して切削工程を無くしたように省力化=原価削減に取り組んでいたようですので この写真のフレームは、省力化が行き着いた最終型なのではないでしょうか?
何かご存知の方がいらしたら情報をお寄せください。 写真、情報をいただきありがとうございました。


フレームの違い

写真11 写真12
上の2枚の写真は、どちらも下段がナカタのP38です。
フレームのカット具合がずいぶん違います。シアの窓も広くなって入れやすくなりました。

刻 印

写真07
なんともあっさりとした刻印です。ミリタリータイプは、どうなっていたのでしょうね?
 
刻印図

カート

写真08
 
左端は、9mmルガー実物ダミーカートです。


BOX

写真09

ハイブリッドに挑戦

写真08
マルシンのプラスチック製P-38 に金属モデルを合体させて見ました。
惜しいですね、上のようにバレルが金属製のほうが大きくてあと少しのところで はまり切りません。

写真09
このくらい大きさが違います。
でもほとんど同じサイズなので同じ金型かもしれません。
細かなパーツ、特にファイアリング系は全然形状が違います。 よってセフティなどもそのままでは使用できません。少し細工が必要です。

おわりに

写真10
マルシンのp38は、ナカタとほぼ同じ物だという先入観がありましたが、 別モデルだといえるくらいに改良されていることが判りました。 一度作ったモデルでも、改良が続けられていたんですね。感心しました。
 
写真は左からナカタ、マルシン、マルシン・タニオの三兄弟ですが 右端のタニオタイプはナカタの型が使用されています。 52年規制でタニオしか売られなくなった時にナカタの金型を修正して タニオが作られました。ですからマルシンの通常タイプは、別の金型が 存在していたんですね。
 
では、通常タイプは規制後どうなったのでしょうか?改修されてプラスチック用に なったのでしょうか?規制後に金属製と互換があるマルシンP38 プラ製が 一時期あったと聞いたことがありますが、それになったのでしょうか? よく判りませんが、面白い話だと思います。

分解図

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