登 場
1986年5月号のGun誌 に登場広告が載っています。
今までモデルガン化されていないだけでなく、世界でも目にすることが珍しい 100式を自分の手に持つことができるという素晴らしい企画です。拍手喝采です。
最終生産
こちらは1993年5月号のGun誌 ですが、登場から7年が経ち最終生産の広告が載っています。
のちにCAWから100式が発売され、マイナーバージョンも生産されましたので、タナカの
金型がCAWへと渡ったのではないでしょうか?
外 観
何とも精悍な面構え、バレル下の銃剣保持部材も用途的には要らぬ物でしょうが、見た目的には 力強さを演出しています。バレルやマズルブレーキ、ジャケットは鉄製です。切削で作られていますので手間がかかっています。
バレル基部は太くなっていて、ここにタナカマークが輝いています。
ハンドル横のネジの造形は、本物ではネジ込み式のエジェクターなのですが外形だけ表現しています。 タナカのエジェクターは実銃とは違う形で作られています。
1976年1月号のGun 誌に国本さんの貴重なレポートが載っています。
その中の写真にあるように、実銃の前期型はバレル基部の太いところのネジを外すことで バレルを分解できるようになっています。
また、1986年5月号では新見さんがモデルガンダイジェストでタナカ百式を取り上げています。 その中の写真は、おそらく試作品だと思われます。エジェクター部やバレルの止ネジなどが 再現されています。
メ カ
通常分解は、あっという間にバラせるのですが、完全分解は面倒くさいです。思わず笑っちゃいそうな安全装置です。上下するシアが下がらないようにつっかえ棒を施します。 一〇〇式の量産型では変更されました。
そのシア部ですが、世界に似たものがない独特の形状です。シアの突起をトリガーで下げるようになっています。 実銃でもこのような形状だったのしょうか?その場合は、鉄板の蓋は溶接されていたのでしょうか? この部分は実銃の写真を見たことがありません。
完全分解を面倒にさせているのがこの部分、ボルトストップです。写真のように片側に穴が開いていてそこに 分解用のD環が通っていますので、それをペンチで広げて外さないといけません。ストックへの取り付け部分はバラす必要はなかったです。
問題あり
でくの房さん https://dekunobou2010.militaryblog.jp/ 製作の素晴らしい100式スリングを 取り付けて喜んでいたのですが 銃を持ち上げるとバレルジャケットが取れてしまいました。この部分に問題がありです。写真右の赤の線で描いているようにバレルジャケットの納まりが非常に 浅いので左のイモネジでの固定くらいでは止め切らないのです。
写真の黄色矢印のイモネジ部は、前オーナーがバカになった純正位置の隣に開けなおしていますので 穴が2か所になっていました。もっとバレルジャケットをぐっさりと差し込みもっと大きなネジで固定する のが本当でしょう(分解図ではそのように描かれています)。
この部分は設計ミスではないかと思いますが、のちのCAW ではどのように作っているのか見てみたいですね。
と、書いていたらCAWをお持ちの方から写真をいただきました。有難うございます。
写真を見ると何も変更は行われていないようですね。前方のカラーが同じ大きさならば、ジャケットはイモネジのみで支えられて
いますのでスリング付けて振り回すのは危ないですね。
改善方法
イモネジでの固定は無理そうなので強力なバレルのネジで締め付けるのが一番だと考え、寸法を測ってみました。 17×30というワッシャーが適当だと思い近所に買いに行きましたが、そのものずばりは置いていなくて 16×32というものがあったので買ってみました(3枚入り120円)。使用してみると、バッチリ合いました。ただし一枚では効かなかったので2枚入れています。 あとは、ガンブルーででも色付けして、フラッシュハイダーをイモネジ緩めて穴を上方に向ければ 完成です。これでどんなにスリングを振り回しても大丈夫です。 お安く済みました。純正カラーは使用しません。
同様にバレルジャケットが取れて困っている人の参考になれば幸いです。
歴 史
上の記事のようにワッシャーを入れる前の写真撮影でイモネジを紛失してしまったので、組み立てたら バレルジャケットがくるくる回って困ったので、その辺に転がっていたM-16 のハンドガードキャップを挟んでバレ ルをネジ込んで固定しています。適当な奴ですみません。写真のように一〇〇式は、サブマシンガンの祖先であるMP-18 をイメージして作られています。
しかし、シアー部分やテイクダウン機構など全くの別物です。見た感じほど中身は似てはいないものです。
写真のMP-18は、電動ガンですが前方のスリング止め位置は、本当はもっと後ろでないといけません。
どこかに一〇〇式の祖先があるのではないかと探してみたら「南部式軽機関銃」という 96機関銃の教練銃にそっくりの形を見つけることができました。おそらくこちらが祖先と思って間違い ないでしょう。詳しくはこちらに記事を書いています。
https://lolipop-yonyon.ssl-lolipop.jp/column/type100/index.html
下に紹介しています参考書籍からの写真ですが、一〇〇式前期型の銃剣保持部分が何故に付いているのかの 謎が解明しました。元々はこんなに長かったのですね。普通の小銃に対抗するためにわざわざ着剣部分だけ 伸ばされていました。
その着剣部分を無くして、ストックをアリ溝結合部材にして一〇〇式量産型は生まれました。 マガジンキャッチやセフティも別形状になっています。世間的には前期型、後期型と呼ばれて いますが、私は前期型はすべてがプロトタイプではないかと思っています。したがって 後期型というものこそ量産型であり、一〇〇式だと思っています。
カート
この度紹介したダミーカート型のカートです。また、右にはカタログから発火用のカート図です。 ただし、このモデルガンは中古入手なので、写真のカートが本当にタナカ製なのか完全保証はできません。
紙 箱
ちゃんと短機関銃ではなくって機関短銃と書いています。当時の日本陸軍のサブマシンガンの呼び方でした。
タナカの大先輩?
Gun誌 1976年4月号の広告よりミコアームズ製の量産型ですが、翌年には鉄製長物は禁止になる 52年規制が始まりました。規制前に、ミコアームズの100式が実際に発売されたのかどうなのか、私は知りませんが おそらくは発売されなかったのではないかと思っています。
他に1968年(昭和43年)8月号 の床井さんの記事に六研製ではないかと思われる100式量産型の写真が載っています。
参考書籍
小銃・拳銃・機関銃入門―日本の小火器徹底研究 (光人社NF文庫)アマゾンで1000円くらいで売られています。文庫本なので小さいです。 めちゃめちゃ貴重な資料が満載なので、もっと良い紙で大きな判で出してほしいなと思います。 お勧めです。
終わりに
世にも貴重で珍しい一〇〇式機関短銃をモデルガン化してくれたタナカさんに絶大な拍手を送りたいです。 そうしてエアガンでもいいから後期型もどこかで製品化してもらえたらいいなぁと期待しています。写真は上からガスガンのステン5、ハドソンのPPsh、電動グリースガン、タナカ一〇〇式、電動MP-18、CMC ステン、タナカ・トンプソン、左端にMGC MP-40。
取 説
おまけ分解図
後期型参考WEB
モノクロ写真ですが、後期型のきれいな写真がいくつか載っています。ブリーチフェイスの写真など珍しいのではないでしょうか?- 参考 WEB こちら
https://smallarmsreview.com/japanese-type-100-submachine-gun/