写真00 キノハナさん から頂いたブローニング・パテント・セットのご紹介です。 上記写真は、何も考えずに黒スプレーを吹いてしまった結果です。本当は、プロトタイプの銃は、ブルーイングされていないものが多いので 下に示す写真の作者さんの作例のごとく銀色が正解でしょうね。
写真12 大きさは、1/6 となっています。
他に1/12のキットもあるようです。

写真は、MGC のプラスチック・モデルガンGM5と並べたところです。


作者さん製作例

写真05
このようにプロトタイプは、銀色が正解でしょう。
右の2丁は、生産品となったガバメントとFN 1900 ですので黒色が正解です。
どちらも大量生産された、歴史的銘品です。

当初の形状

写真01
キットは、3Dプリンターで製作されたもので、当初はこのように薄いあめ色の状態です。

写真06
キットには、それぞれのモデルについての作者の詳しい解説がついています。
ガバメントに至る系譜とFN1900のモデルが紹介されています。
以下に私も少し述べてみたいと思います。

ガス圧作動式オートマチック

写真03
今現在では、ライフルの動作機構で当たり前な「 発射後のガス圧 」を初めて利用した人って知っていましたか?私は当初知りませんでした。 そうです、ブローニングさんなのです。このモデルは、その基本原理を拳銃の形にしたもので、バレルの穴から噴き出したガスで作動します。 ピストルとしては大型になっています。この機構は、のちのコルト・マシンガンに採用され世に出ました。

こちらに最初の特許についてキノハナさんが詳しく書かれています。ぜひご覧ください。

https://garlandsgunland.blog.fc2.com/blog-entry-110.html

拳銃の形で試作されたのは、この時代が自動拳銃の夜明けだったからでしょう。
ボーチャード拳銃の誕生が1894年で、ブローニングの特許出願が1897年 ですから、このころは世界中の技術者たちが、まだちゃんとした形になっていない 自動拳銃というものを試行錯誤しながら開発していた時代だったのです。


同特許図

写真02

パテント図は、グーグル・パテントからPDF で誰でもダウンロードできます。 手順は

  1. google 検索窓に「 google patent 」と打ち込む。
  2. 検索結果の一番上のgoogle patent のページに行く
  3. そのページの検索窓にアメリカの特許なのでUS を付けてブローニング特許番号を打ち込む。 「 US580923 」
  4. Firearm ファイアー・アームと見出しの付いた特許書類が出てくるのでクリックすると 中身が見れたりダウンロードできる

イーベッツさんの改良特許

写真07
イーベッツのパテント検索は、同様に「US580935」と入力すれば得られます。 ブローニングのガスオート機構を改良したもので、ブリーチが動くのではなくって、バレルが前進する 「 ブロー・フォワード 」式になっています。

キノハナさんからご指摘いただきました。 ガスロック式なのでバレルが前進するのは、単にカートを入れるためでブローフォワードではありませんとのこと、了解しました。

キノハナさんのブログページのイーベッツの項

https://garlandsgunland.blog.fc2.com/blog-entry-230.html

↑ 素晴らしい記事です、ぜひご覧ください。


写真04
同特許図、ブローフォワードになっていることが分かります。
あえていうならバレルフォワード式ガスロック型拳銃。

有名な3連発特許

写真08 ガスオペ拳銃と同じ日に出願された、3個の特許は、ガバメントとFN1900 として世に出ることになった 有名な特許です。

左写真の一番上と一番下です。真ん中の銃は、製品化はされませんでしたが、10年後にステアー拳銃の設計者がブローニングのアイディアを流用したのではないかと私は思っています。



のちのガバメント

写真09 一発目は、のちにガバメントとなるリンク式の物です。はじめのころは特許図のようにリンクが前と後ろに2個ありますので パラレルルーラー式といわれます。コルトにより製品化されました。

コルト1900写真 こちらが製品化された38口径のコルト1900です。のちに45口径となりコルト1905 として製品化され、1911年に米軍トライアルを経てガバメントとなって巣立っていきました 。

上記写真は米国オークションから取ってきたものですが、スライドには1897年の特許年月日が彫られているのが見えます。


2発目は製品化ならず

写真10 前方銃口部分のカムでブリーチが回転するんでしょうね。M16 のような感じかな? アイディアを拝借したのではないかと思われるステアー1907拳銃では、バレルがカムで回転するようになっています。

3発目はヨーロッパで
大ヒット

写真11 こちらのブローバック式特許は、言わずと知れた32口径のFN1900 の元になったもので、ヨーロッパで大ヒットし70万丁以上生産されたそうです。 のちに改良されてFN 1910、FN 1922 となり日本でもなじみが深い拳銃となりました(大日本帝国軍で使用されていた)。


天才ブローニング

知れば知るほど、ブローニングの天才ぶりが分かってきます。また、現在では当たり前な散弾銃の自動化もブローニングが作ったオート5が最初です。 もっとも、それに価値を見出さなかったウインチェスター社と縁を切ることになった銃でもあります。

また、現在でも米軍などに使用されている息の長いM2機関銃は、基本構造がブローニングです。その昔B−29にも搭載されて 日本にも脅威をもたらしました。もちろん陸上戦でもBAR をはじめとして使用された多くの銃器はブローニング設計でした。

そのなかでも最も輝かしいガバメントの開発にあたって、コルト技術者のイーベッツ氏との関わり合いを発掘し紹介してくれたキノハナさんは素晴らしいです。 どうも有難うございました。皆さんもぜひブログを訪ねて素晴らしい多くの記事を読んでみてください。

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